小説『前島記念中央公園』 2
◆ 第二章 公園という願い
前島立夫、52歳。
大手不動産会社・マンション開発部長。
数字と収益を追い続けた30年。
彼の机を埋め尽くすのは図面と経済性評価表ばかり。
ある日、町内会の住民たちが陳情に来た。
「子どもが遊べる公園をつくってほしい」
「老人も休める場所がないんです」
当然、会社の答えはいつも通り。
「公園は利益になりません」
立夫自身、そう言って住民を返したことが何度もある。
しかし余命宣告を受けた後、
住民からの“公園を”という声が
まるで自分に訴えかけてくるように思えた。
(俺が死んだあとも、この街に残るもの……
公園なら、それになるんちゃうか)
立夫は一人、白いノートを開いた。
タイトルを書いた。
『中央公園計画案』
震える手で、線を引いた。
これが、立夫の“最後の仕事”の始まりだった。
◆ 第三章 激論の役員会
企画書を提出した日、
役員会議室は冷えた空気で満たされていた。
専務が書類を投げるようにテーブルに置いた。
「前島くん、これは何だ?
公園の整備に3億の赤字? バカげている!」
「街のためになります」
立夫は静かに言った。
「利益にならんだろ!」
専務が怒鳴り、会議室が震えた。
「前島、お前最近おかしいぞ?
こんな無謀な企画を出して……君、正気なのか?」
(そら、そう思われるわな……
余命のこと、誰にも言ってないから)
それでも立夫は頭を下げた。
「どうしても……やり遂げたいのです」
役員会は大荒れになり、
案は即却下された。
コメント
2025/12/02 14:51
1. 新しい小説!
返コメ