【半ぐれ銀行マンの天下取り】 11 「海棠天皇」の絶大な権限
海棠常務は、組織内で“絶対権”を握る存在だった。
次期筆頭専務は既定路線、遠からず頭取の座すら射程に捉えると噂される実力者である。
人事畑を一途に歩み、数万人の社員の昇降を掌中で操りながら、気がつけば銀行の権力構造の頂点へと上り詰めていた。
その“海棠の一声”が落ちれば、部長級の幹部ですら一夜にして左遷・降格となり、
場合によっては一支店を丸ごと閉鎖し、「経営効率化」「地域戦略の再編成」という名目で統合してしまう荒技さえ辞さなかった。
ゆえに彼は、行内では“天皇”のような畏怖の対象として語られた。
その意向はまさに勅命。
ひと言が電光石火のごとく全組織に伝達され、
抵抗も議論も許されぬまま、“直ちに”実行されるのが常だった。
そんな海棠を“後ろ盾”にした 立夫はその威力がいかほどのものかを、身をもって思い知ることになる。
復職の内示から支店長就任の辞令まで──
わずか二週間。
通常なら数ヶ月を要する根回しも、審査も、会議も、へったくれもなかった
すべて海棠のツルの一声で吹き飛んだ。
「前島を戻し。姫路を任せる。」
その言葉が人事部から総務、役員、さらには姫路支店にまで
まさに“勅命”のように伝わり、電撃的に辞令が整えられていった。
年末に間に合わせるという、
海棠自身の強い意図が働いていたのだろう。
12月21日、前島立夫は姫路支店にて正式に“就任あいさつ”を行うことが決まった。
立夫自身、びっくり仰天の連続
こんな怪物のような親父に 俺は盾ついていたのだと思うと 身震いする思いが禁じ得なかった
想像を超えた 権力の絶大さに ほとほと 恐れ入ったのだ
真新しい名刺も受け取った そこには 姫路支店長 海棠 立夫とあり 常務が立夫を支店長にするかわりに 前島姓を捨てて
海棠姓を名乗ってくれと頼まれた 立夫はこれを二つ返事で承諾した 天皇のような存在の海棠の氏を名乗れたら 行内では無敵になると思ったからだ
つづく
コメント
2025/12/06 8:28
1. おはようさん。
続きは、如何に。
あっさりのハッピーエンド、バッドエンド
もあるようなないような。
画像:来客無用のお部屋では、こういう感じで、
彼女に居て貰いたいねえ。ワン君も。幸せ。
(^o^)
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