【半ぐれ銀行マンの天下取り】 12  度肝抜く就任あいさつ
30代前半  大阪府
2025/12/06 7:44
【半ぐれ銀行マンの天下取り】 12  度肝抜く就任あいさつ
東京から姫路に戻ったその日から、
前島――いや、海棠立夫の環境は激変した。

復職の辞令を受け、姫路支店に顔を出した瞬間だった。

■ “支店長が飛んできた”

入口をくぐるやいなや、現支店長が血相を変えて走ってきた。
肩で息をしながらも、表情には緊張と作り笑いが張りついている。

「か、海棠さん! ようこそ……! 本当に、お、お待ちしておりました!」

この前までの関係とはまるで別物だった。
まるで“腫れ物に触るように”と言うより、下手に触れたら切り裂かれる虎でも相手にしているかのような態度だった。

名刺の「海棠」の二文字が、これほどまで行内の空気を変えるとは――
立夫自身が一番驚かされた。

案内された応接室は、いつもの狭苦しい部屋ではなく、来賓を迎える最上級仕様。
茶もコーヒーもやたらと種類が出てくる。

――おれ、昨日まで無職やで……。
その急激すぎる落差に、立夫も思わず苦笑した。

だが、それ以上に驚かされたのは――

■ “海棠の秘書”からの連続コール

東京から戻った翌日から、海棠常務の秘書室からのメール、電話が次々と入った。

「海棠様、本日は姫路支店におられますでしょうか」
「明日は大阪本部の人事部長と打ち合わせがございます」
「常務より伝達事項があります。折り返し急ぎご連絡を——」

その口調は“命令”でも“お願い”でもない。
海棠家の一員として当然の確認だった。

まるで常務室の延長線上に、立夫の居場所が自動的に組み込まれたかのようだ。

三日も経つ頃には、秘書たちが自然と
「海棠さん」「海棠様」と呼ぶようになり、
立夫も反射的に返事をしていた。

■ “大阪本部の人事部長”からの異例の連絡

さらに異変は続く。

大阪本部から、普通ではありえない人物から電話が来た。

人事部長本人である。

「海棠支店長、復職の件、心よりお祝い申し上げます。
 近日中にご挨拶に伺いたいと思っております。」

人事部長が支店長に挨拶に来るなど、銀行では聞いたことがない。
上下関係が逆転していた。

人事部長ですら“海棠の養子”を無視できないのだ。

■“度肝を抜く就任あいさつ”
― 12月21日 姫路支店・会議室 ―

午前九時。
姫路支店の会議室は、異様な緊張感に満ちていた。

全行員百名近くが整列し、
正面には海棠立夫――
“海棠天皇”の名を継ぐ男が立つ。

立夫は、ゆっくりと視線を支店全体に走らせた。
古参はこわばり、若手は息を呑み、女性行員は緊張と期待で背筋を伸ばす。

沈黙を切り裂くように、立夫は一歩前へ出た。

そして、開口一番――いきなり大砲級の言葉をぶち込んだ。

「みんな、聞け!」

声が会議室を震わせた。

「この姫路支店の預金額は、現在 1,200億。俺はこれを――1兆円にする!」

どよめきが走った。口を押さえる者、目を見開く者、顔色を変える古参。

立夫は構わず続けた。

「貸出もだ。現行の数字なんぞ 屁のようなもんだ 預金1兆、貸出1兆。この姫路支店を“日本一”にする!」

一瞬、空気が止まった。

しかし立夫は、さらにエグい言葉を叩き込む。 「姫路管内の競合銀行を叩き潰す!」

「達成方法は単純だ!」手刀で空気を切り裂く。

 市場を全部――この支店が取る!」金融の常識を完全に無視した“暴論の極み”。 だがその目には、実現を疑わぬ狂気と迫力があった。

古参幹部が蒼白になって立夫を見る。若手たちは“とんでもない時代が来た”とごくりと唾を飲んだ。

「使えない奴は切る。やる気ある奴は抜擢する!」「はっきり言うぞ。」

立夫の声が低く鋭く響く。

「使い物にならないやつは容赦なく切り捨てる。肩書きも年齢も関係ない。 やる気と実力のない者に、俺の支店に立つ資格はない。」

会議室が一瞬ざわつく。しかし立夫は、すぐ次の言葉で空気を塗り替えた。

「だが、やる気ある者は――
 年齢性別を一切問わず、即座に抜擢する! 派閥もクソもねえんだ! 俺の下では全員フラットだ!」

若手行員が目を輝かせ、女性行員たちは何かが始まる予感に背筋を震わせる。

そして、立夫は最後に 支店全体の意識を“ぶち上げる”一撃を放った。

「目標を達成した暁には――君らの年収を、今の三倍にする!」

静寂。
次いで爆発的などよめき。

「三倍……!?」
「マジか……?」
「そんなこと……」
「いや、海棠が言うなら……!」

支店全体が“信じてはならない現実”を前に揺れた。

しかし――立夫の目は一切揺らがない。

「三倍だ。俺はそのためなら何でもやる。銀行の慣習も、しがらみも、全部ぶっ壊す。ここ姫路支店から、新しい銀行の姿を作る!」
「今日からは“海棠支店”と呼んでもらっても構わん。この旗の下で、全員、死ぬ気でついてこい!」

その瞬間――
姫路支店は完全に掌握された。

誰も逆らえず、誰も立夫の目を直視できず、ただその迫力と威光に呑まれるしかなかった。

“海棠姓”を名乗る男が、本物の暴君として君臨する瞬間だった。
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コメント

60代前半  愛知県

2025/12/06 8:49

2. おはようさん。
むむむむ。このまま、サクセスストーリー?
画像:この笑顔が何より。
(^o^)

50代前半  愛知県

2025/12/06 8:14

1. ユリちゃんが欲しいよ。溜まらないねぇ~。

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