昭和ロマン小説 4 【母親は遊郭の女将】
母親は光恵といい 立夫が3歳の時に男と逃げた女だ それからはもらい子としてたらい回しされた。
12歳の時に縁あって 船場に居を構える将棋指しの弟子となり
将棋指しながら士官学校まで行かせてくれた、師匠でいうなれば恩人だ ダチの隆司は その時の兄弟子だった
母親の光恵は 元は京都の置屋の芸妓だったが 旦那衆を誑かし
大阪の飛田新地の大店の遊郭までついに乗っ取った。
女の細腕一つで ここまでのしあがった、凄腕の女将として君臨しているのが今だ
兄貴は大事に育てられたが 俺はどうなんだい! と 自分を捨てたその恨みをずっと持ち続けていた・・
3年前に一度 母親と名乗り光恵が来て 土下座して詫びたが 立夫は罵倒し追い返した・・
その後 何人か珠代のような使いの者が来たが 相手にしなかった。
羽振りが相当いいのか 金や女はむろん しまいには 車まであてがうから 私の元に帰ってきてと 哀願されていたが一切応じなかった
「そうかあ・・そういうことなんや・・」と
隆司は 初めて知ったと驚き、珠代もびっくりしたようだ・・
が、いよいよ 年貢の納め時がきたようだ・・
立夫は黒田屋に行こうと決断し それを二人に告げた
「羨ましいぜ・・俺にはそんな家族がいないからな・・立夫よ 幸せになれよ」
「何言ってるんだ!お前もくるんだよ!
「・・・・しかし・・」
「あほか! お前を置いていけるかよ 唯一の友だちだ 黒田屋に行っても 俺と将棋指すんや!」
「た、立夫・・」 隆司は泪すら浮かべて 立夫の手を握りしめたのだ
「珠代、今から飯食って 身支度だ 床屋もいって 髭を剃らないとな・・むさくるしい貌を婆ぁに見せられんからな」
「女将さんになんてことを!」と言いつつ、うれしい!! と立夫に抱きついてきた
つづく