【半ぐれ銀行マンの天下取り】  19   二人を試す 2
30代前半  大阪府
2025/12/10 10:09
【半ぐれ銀行マンの天下取り】  19   二人を試す 2
「ええか、まずは……
 不動産登記法について、知ってる限り言うてみろ。
 登記簿の構造でも、共有持分でも、何でもええ。」

純子はタブレットをそっと置き、
静かに息を吸い込んだ。

「——了解しました。
 支店長のお望みなら、全力でお答えします。」

明美も目の奥を光らせる。

「色気だけと思われたままじゃ、女が廃りますからね。
 見ていてください。」

支店長室の空気が変わる。
“秘書の雑談”から一気に
“能力査定の実戦”へ。

次の瞬間――
純子の口から、落ち着いた声が流れ出す。

「不動産登記法は、所有権その他の権利関係を公示する制度で……」

純子は、タブレットを閉じたまま姿勢を正し、静かに言葉を継いだ。

「不動産登記簿は“表題部・権利部(甲区・乙区)”に分かれています。
 表題部には物件の物理的情報、
 甲区には所有権、
 乙区には抵当権などの担保権が記載されます。」

立夫は思わず顔を上げた。

(こいつ……ただの秘書やないな。)

純子は畳みかけるように続けた。

「共有持分の構成、抵当権設定後の順位変更、
 根抵当の極度額の扱い……
 融資の実務に直結しますので、私は基本的に全部頭に入れております。」

次いで明美が微笑み、口を開いた。

「私は融資契約書・保証委託契約・金銭消費貸借契約のひな形程度なら、ほぼ暗記しています。違約条項、期限の利益喪失、代位弁済の流れ……
 訴訟になる前の回収実務まで把握しております。」

立夫は、言葉を失った。

(色気だけの秘書やと思っとったが……むしろウチの行員より戦えるやないか。)
「……わかった。おそれいったよ。おまえらの知識、度胸、想像以上や。」

立夫は姿勢を直し 腕を組み、二人を見据えた。

「せやけどな―― まだ“腹の底”までは見えとらん。本性を見せろ。」

純子と明美が息を呑む。

「今夜は、肩書も建前も全部捨てて、本音で語り合う場をつくる。 嘘も誤魔化しも通用せんとこや。
 そこで、おまえらの“覚悟”を見させてもらう。」

「……本音で、ですか?」

「ああ。親父の秘書として単に来たのか それとも、俺に尽くす気があるのか そこで分かる。」

二人はゆっくりと頷いた。

「支店長。 もちろん 私たちの忠誠心のすべてお見せします。それで その場所というのは?」

「そんなもの決まっとるやろ ラブホテルや」
と 立夫はニヤッとし 二人の顔をみた 

「わかりました」
「承知しました」
と 二人は即座に答えたのである これには 立夫は心底驚いてしまった

つづく


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コメント

60代前半  愛知県

2025/12/10 19:35

1. こんばんは。
さすが常務の配下、只者ではないですねえ。
あっちの方は如何に。
(^o^)

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