昭和ロマン小説 6 【黒田屋は超絶美女揃い】
大阪花街の中心地、遊郭楼がひしめく飛田新地
関所のような門をくぐると、灯りが揺れる目抜き通りが現れた。通りを行きかう人も多く 荒れ果てた昭和六年の大阪とは思えぬ熱気だ。
黒田屋の建物はひときわ大きい・・明治から続く老舗だ 3階建てという当時では珍しい 鉄骨も使用され建てたものだ
三人が黒田屋の暖簾をくぐると、周囲の女たちがざわついた。
「若旦那……ちゃうか?」
その声が広がった瞬間、二階の周り廊下から鋭い叫びが降ってきた。
「立夫!!」
女将・黒田光恵だった。立夫とわかった瞬間、光恵は着物も構わず転がるように階段を駆け下りてきた。
その勢いは、母親が迷子を見つけたような切迫そのものだった。光恵は立夫にしがみつき、
声を上げて泣いた。なりふり構わぬ号泣に、立夫は唖然と立ち尽くすしかなかった。
しばらく泣き続けた光恵は、やがて袖で涙を拭い、背筋を伸ばした。母の顔から、黒田屋の女将へ戻る瞬間だった。
「立夫、こっちや。広間で皆に挨拶してもらわなあかん。」
声には、涙の余韻と女将の威厳が混じっていた。
廊下で控えていた芸妓たちは、光恵が歩くたびに一斉に姿勢を正した。楼内の張り詰めた空気は、
光恵という女が統べてきた“厳しさ”そのものだった。玉枝も珠代も自然と背筋を伸ばす。
広間に入ると、膳を用意していた若い娘たちが慌てて立ち上がった。その姿を見るなり、光恵の気持ちの昂ぶりが爆発する。
「何をモタモタしとんねん!若旦那やで!挨拶ひとつ出来んのか!」
娘たちは震えながら頭を下げる。
「わ、若旦那様……お帰りでございます!」
「胸張らんかい!黒田屋の女が、そんなしょぼくれた挨拶してどうすんねん!」
怒声は雷のように広間へ響いた。泣いた直後とは思えぬ迫力。だが、その怒りの底には、この日を迎えるまでの年月の重みと、
ようやく取り戻した息子への深い情が滲んでいた。
光恵は娘たちを見渡し、力強く言い放つ。
「今日は立夫が帰ってきた日や。黒田屋、総出で迎えんかい!」
その声とともに、広間の空気が一気に熱を帯び、黒田屋全体が動き出した。
立夫はその娘たちの面々をみて 思った きれいどころばかりや! スゲー
隆司も 目を見張って 同じことを言った 「めっちゃ美人やないか どないなってんねん!」
つづく