【半ぐれ銀行マンの天下取り】  23  純子の初仕事・・クソ社長を黙らせろ!
30代前半  大阪府
2025/12/13 22:08
【半ぐれ銀行マンの天下取り】  23  純子の初仕事・・クソ社長を黙らせろ!
純子が集めてきた資料は、厚くも派手でもなかった。
だが、福山鉄工という小さな町工場にとっては、致命傷になりかねない内容が揃っていた。
借入状況、保証人の名義、資金繰りの実態、そして娘・里美の名前。

立夫はそれに一通り目を通すと、顔を上げた。
「……いいか、純子」

声は低く、はっきりしていた。
「向こうが銀行に怒鳴り込む前に、 これを持って先に行け 来られてもびくともせんが 世間の目がある。。」

資料を机の上で指ではじく。

「ぐうの音も出んように、叩き潰してこい」

純子は一瞬も迷わなかった。 「俺に盾突くような奴は、容赦せん」

立夫は言葉を切り、念を押した。

「暴言を吐くようなら、お前の判断で警察を呼べ  お前の初仕事や 気張っていけ!」

「はい」

それだけで十分だった。
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姫路北部の加西の福山鉄工は、相変わらず油と鉄の匂いが漂っていた。
事務所に入るなり、社長は怒鳴り声を上げた。

「銀行? 何しに来たんや! 純子は立ったまま、冷静に答えた。」

「お話があります」
「話などない!」

社長は机を叩いた。

「おまえとこの支店長はな、 娘をたぶらかして弄んだんや! 結婚するとか、嘘クソ抜かしたのや!」

「今さら話なんぞ聞くか!帰れ!」

社長は吐き捨てるように続けた。

「明日でも銀行に行って、 思い知らせたるわ!」

「言いたいのは それだけですか?」

「なにい!!」

社長は目を剝いた

純子は、その言葉を待っていたかのように、静かに資料を机の上に置いた。

「……その前に、こちらを見てください」

社長は一瞬、訝しげに目を落とした。次の瞬間、顔色が変わった。

「……なんや、これは」

「あなたの会社の現状ですよ」
純子は淡々と説明した。 「銀行に来られた瞬間、 この資料は正式な記録になります」

「そうなれば、 困るのは銀行ではありません」

社長は黙り込んだ。

「ううむ」

絞り出すような声だった 「くそっ ま。まけた 銀行には行かん 」 

その言葉で、勝負はついたはずだった。

だが、社長は顔を上げ、純子を見据えた。

「けどな」 声に、父親の色が混じる。

「娘の話とは、別やろ?」

「……あんたも女やったら、 分かるやろ?」

純子は、わずかに表情を引き締めた。

「里美はな、 全部あの男のためやと思って頑張っとった」

「司法書士の試験を受けたのも あの男のためやった そして合格したんや・・」

社長は拳を握りしめた。

「不憫や」「かわいそうなんや」「親として、黙ってられん」

純子は、しばらく沈黙したあと、静かに答えた。

「……そのお気持ちは、分かります」

「ですが」視線を逸らさず、言い切った。

「怒鳴り込んでも、娘さんは救われません」

「むしろ、 追い込まれるだけです」

社長は、深く息を吐いた。

長い沈黙の末、肩を落とした。

「……分かった」

だが、言葉の奥には、 父としての情だけが、重く残っていた。

純子は、資料を静かに回収し、深く一礼した。

福山鉄工の扉を出たとき、この件は終わった――

が しかし指示された任務は 終わったわけではない

純子の車の行き先は 里美に向けてだった

つづ
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