昭和ロマン小説 9 【 浪曲芸妓候補、佳代】
宴が始まってまもなく 女将の光恵が立夫の袖をひっぱり 別室に手招いた
そこには5人の美女たちが 正座していた 宴から光恵が呼び出したものたちだ
「立夫、この5人の中から一人選ぶんや 芸妓の中で器量も気立てもいい子ばかりや お前の好きなのをな」
「かあさん 俺には珠代をあてがわれてるし 十分や・・」
「何を言うのや!跡取りやったら 何人でも持って こども生ましたらええのや 他の遊郭はそれが当たり前なんや・・
産んだ子供は 黒田屋の屋台骨支えてくれるんやで・・多いほどええんや」
「 あはは わかった そこまで 母さんがいうてくれるんやったら・・言うとおりするわ」
「5人に聞きたい 三味線はどうや? 」
えっ?とした顔で立夫をみたがすぐ返った
できます!
いつもしています。
踊りもしています!
「そうか もう一つや この中で浪曲に興味あるのはいてるか? ラジオなんかで聞いたことあるやろ?」
黒田屋の2階には 光恵の部屋と芸妓の集まる部屋に置いていた
これもすぐに間髪を入れずに 全員が答えた
なんとか私を選んでという必死な面持ちだった 選ばれたら 身売りする必要がなくなるし 日々の年寄りの接待に行くこともなくなるからだ
困ったなあ・・立夫は丸刈の頭を搔いて苦笑いだ
わかった! それでは ひとつだけ唸ってくれ 浪曲の一節を言うから 同じ調子でやるんや・・と
『旅行けば~~駿河のくにに~~茶のかお~~り』
これやで! わかつたか? お前からやと 指さした
その芸妓 必死だった『旅行けば~~駿河のくにに~~茶のかお~~り』
とやったのだ・・しかし これはあかん‥と思い
次や・・と替わった
で、結局は 5人の中で この女や! こいつはいける・・と思ったのが 佳代という娘で18だった
「かあさん この子に決めたぜ 佳代,来いや」
と手をとってやると 満面の笑顔になった
若旦那様 ありがとうございます。とすり寄ってきた
黒髪の香りに加え女体の匂いが 鼻をかすめた
つづく