【半ぐれ銀行マンの天下取り】 39 思い知らせてやる!都市計画課長への復讐へ 2
立夫は、一度だけ深く息を吐いてから、受話器を取った。
かけた先は、姫路支店の法務担当ではない
大阪本店・法務部。 銀行には、弁護士資格を持つ者が珍しくない。しかも本店法務は、単なる相談窓口ではない。猛者が揃う攻めるための部署だ。
「……姫路の海棠立夫です」 名を告げるだけで、相手の声色が変わった。
「これは……どうも 支店長ご本人ですか」
「そうや。至急で頼みたい案件がある」
一拍置いて、立夫は続けた。「都市計画課長の不正絡みや」
受話器の向こうで、空気が一段、張り詰めた。
「……詳細を」
立夫は、要点だけを淡々と話した。
開発行為二十九条申請。職権による便宜。反復的な金品供与。その結果としての不動産取得。そして――銀行融資、三億超。
話し終えると、相手は短く言った。
「……分かりました」
明日には 姫路へ入ります」 それだけだった。
翌朝。
支店長室に現れたのは、スーツ姿の三人。
名刺には、大阪本店・法務部。肩書の下に、小さく「弁護士」とある。
立夫は、一人ひとりと名刺を交わしながら言った。
「忙しいところ、すまんな」
「いえ」
年長の男が答えた。
「この件は、放置できません」
同席する純子が資料を机いっぱいに広げた
純子が集めた証拠。行政文書。金の流れ。融資契約書。
法務の男たちは、黙々と目を通していく。
やがて、年長が口を開いた。
「まず、都市計画課長の行為は――職権乱用の疑いが極めて濃厚です」
立夫は、黙ってうなずく。
「次に、開発業者」
別の男が続けた。
「便宜供与を知りながら、それを利用して土地を取得している」
「共同不法行為が成立する可能性が高い」
三人目が、融資契約書を指で叩いた。
「銀行は、市の許認可が適法であることを前提で 融資しています」
「その前提が不正で崩れた場合――」「銀行は、被害者です」
その言葉を聞いて、立夫の口元が、わずかに動いた。
「つまりや」立夫が言う。「開発許可が取り消されれば、担保価値は消える」
「その損害を、誰に請求できる?」
法務の年長者が、はっきり答えた。
「課長個人、 および業者です」
「損害賠償請求、可能です」
「金額は――融資残高、利息、付随損害まですべて含められます」
純子が、思わず息を呑んだ。
「三億どころじゃない」
「ええ」
法務は淡々と言う。
「人生が終わる額ですな」(笑)
「よしわかった」(笑)
立夫は、ゆっくりと言った。
「……準備だけは進めてくれ」「撃つかどうかは、俺が決める」
つづく
コメント
2025/12/20 11:27
1. 流石行政書士詳しいね!
返コメ