赤穂浪士討ち入り前に 寺坂吉右衛門は本当に逃亡したのか? 史実を問う
雪は、なお降り続いていた。
吉良の首はすでに布に包まれ、内蔵助の足元に置かれている。屋敷の奥では、戦いの気配は消え、ただ荒い息づかいだけが残っていた。
内蔵助は、静かに周囲を見渡した。
47の顔――血に染まり、疲れ切りながらも、誰一人として迷いのない 澄み切った目。
そして、其の中の一人を呼んだ。
「寺坂」
名を呼ばれ、寺坂吉右衛門は一歩前へ出た。
「よく聞け」
内蔵助の声は低く、しかしはっきりとしていた。 「これより我らは、泉岳寺へ向かう。吉良の首を供え、主君に本懐を告げるのだ」
一瞬、言葉を切る。
「その後の沙汰は 切腹か、流罪。いずれにせよ、生きては戻れぬであろう」
寺坂は、唾を飲み込んだ。誰もが分かっている結末だ。
内蔵助は続けた。
「だがな……四十七人が死ねば、すべてが“物語”にされる」
「都合のよい忠義として、削られ、歪められ、やがて忘れられる」
内蔵助は、寺坂を真っ直ぐ見た。
「だから――お前は、生きよ」
周囲が、ざわめいた。
「生き延びて、今夜のことを、後世に伝えよ」
「誰が恐れ、誰が震え、それでも前へ出たか」
「それを、ありのまま 語り残せ」
寺坂は、思わず叫びそうになった。
「ご家老、それでは……私は、逃げた臆病者となります! 卑怯者と罵られ、名を汚し、仲間を裏切ったと……!」
内蔵助は、静かに首を振った。
「それでもだ」
「汚名を背負う覚悟が、お前の忠義だ」
雪の中で、内蔵助は微かに笑った。
「誰かが死に、誰かが生きねばならぬ」
「生きる役目を、お前に預ける」
寺坂は、その場に膝をついた。
「承知、つかまつりました!」
声は震えていたが、内蔵助に告げた
「卑怯者と呼ばれようとも、逃亡者と罵られようとも……」
「私は、生き延びます そして、皆さまの働きぶりをを、必ずや、伝えます」
内蔵助は、ただ一言だけ言った。
「行け」
寺坂は、雪の闇へ走り出した。 背後で、誰かが名を呼んだ気がしたが、振り返らなかった。
夜が明けるころ、 浅野内匠頭の後室、遙泉院が住まいする 南部坂に立った。
報せを聞いて 感涙する遙泉院のお姿を 自分だけが見れる幸せを嚙みしめたのである
おわり
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私の いつもの妄想だけど 実際にあったと思いますね
コメント
2025/12/23 15:35
1. そうですね(^O^)
返コメ