戦国の猛将 【真田幸村】 3 戦国の特攻
前線に張り出た砦。
「みなの者――」
幸村は、六文銭の旗を背に、 壇上に立ち一歩、前へ出た。
「そちたちは これまで 勇猛に戦い 耐え、残った兵だ」
「いま、最後のその時が来た」
百有余の息が、ひとつに重なる。
「六文銭は、冥途の渡し賃にあらず 覚悟の証だ 生き延びるために掲げる旗ではない 退かぬために掲げる旗よ」
幸村は、声を張り上げなかった。それでも、言葉は胸を打った。
「そちたちの命を、わしにくれい!」
砦の内は、一瞬 静まり返った
そのとき、 一人の老臣が、前へと進み出た。 鎧の留め金が、かすかに鳴る。
膝を折り、深く、額を下げる。
「殿――」
声は低い。だが、震えてはいなかった。
「われら一同、 国を発つ時より、 この一命は、とうに殿に捧げ奉ってござる」
その言葉に、周囲の者たちが、次々と膝を折る。 音もなく、だが、迷いもなく。
老臣は、顔を上げた。目は赤い。それでも、光を失ってはいない。
「みなのもの!六文銭の旗印を、満天下に示そうぞ!)
と声をからして叫んだ
「おおおーーつ」 地響きのような歓声が巻き起こった
一死をもって100人を倒すという 腹に火薬の束を巻いての 決死の自爆攻撃が始まろうとしていた
幸村が採った作戦は 今でいう生きて還れぬ 特攻攻撃だった
果たして、前代未聞の作戦は うまくいくのか・・つづく