【半ぐれ銀行マンの天下取り】  54  不穏行員の粛清 前編
30代前半  大阪府
2025/12/25 9:50
【半ぐれ銀行マンの天下取り】  54  不穏行員の粛清 前編
 10億という金はできた。 支店長という権限もある。 

次の野望に向けて 盤石の体制になったといいたいが 足元で不穏な空気があるというのだ

最初に行内の異変を感じ取ったのは純子だ。

 支店長室の一角、誰にも気づかれぬよう設けられた小さな机。 そこが、彼女の戦場だった。支店内で、支店長の悪口を言って回っている連中がいる。

 雑談のふりをした愚痴。
 飲み屋での軽口。
 コピー室、喫煙所、女子更衣室の隅。
 それらはすべて、純子の耳に集まっていた。

 立夫から「洗え。徹底的にだ。金と、人間関係と、過去をな 俺に反駁するやつを!」 それが調査課の、純子が与えられた任務だった。

 最初に名前が浮かび上がったのは、二人。
 いずれも中堅行員。
 支店長就任当初から不満を口にし、陰で空気を濁らせていた年増の女行員

 聴聞は、非公開で行われた。

 狭い会議室。机の向こうに立夫。 その横に、無表情で座る純子。

 最初の男は、顔色がなかった。

 「……で? 俺のことを“成り上がりの半ぐれ”と言ったそうやな」

 低い声だった。 だが、それがかえって恐ろしかった。

 「い、いや……冗談で……」

 ドン!

 立夫の拳が机を叩いた。 「冗談? 誰に言うとる。銀行を舐めとるんか。俺を舐めとるんか。 お前、自分の立場わかっとるんか?」

 男は椅子からずり落ちそうになり、慌てて頭を下げた。

 「す、すみません! 一時の気の迷いで……」

 「気の迷いで組織は腐るんや」

 立夫は立ち上がり、男の前に立った。

 「一人の軽口が十人に伝染る。十人が百人になる。その芽を摘むのが、支店長の仕事や」

 処分は即決だった。  降格、配置転換、事実上の左遷。

 次の古株女行員は、泣き崩れた。

 「許してください……家庭が……」

 「家庭があるのは、お前だけちゃう」

 立夫は一切、声を緩めなかった。

 「家庭があるから何や。銀行は慈善事業やない。甘えは、全部不正の温床や」

 二人は、支店から消えた。その速さが、何よりの警告だった。

 次だ

純子が差し出した資料の束。そこに記された名前。

 田島庶務課長か・・ こいつは許せん、純子から聞いて立夫は血が上った

 公開聴聞の日。

 田島は妙に落ち着いた顔で現れた。

 「誤解ですよ、支店長。 私はただ、職場の風通しを……」

 「黙れ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
つづく

 
コメントする

…━…━…━…

無料会員登録はコチラ

…━…━…━…