【半ぐれ銀行マンの天下取り】 60 村木、結婚しろ!
無二の親友である、相棒の村木がまだ独身だということでいろんな不都合が出てきた
立夫にとって、それは個人的な世話焼きではない。実務上の不都合があるから 結婚させねばと思った。
立夫の右腕として、村木はあちこちの社交場に顔を出す。企業の会合、政財界の集まり、後援者の席。
そこでは、男一人では場が持たないことがある。立夫は千賀子を含めて4人いるから困らない が
村木に同伴してくれる女がいないのだ 同伴がいるかどうか。 それだけで、空気は変わる。
「村木よ、結婚しろ それがだめなら愛人でもいいんだよ」と、立夫は、何度も言った。
冗談めかしても、真顔でも。 だが村木は、決まって首を振る。
「探す気がない、というより 探せないんだ」
女に声を掛けられない?いや、正確には声を掛けられる場所に、立てないというのだから 不思議な男だった。
「あはは 何を言ってるんだよ 20やそこらの 青い男じゃあるまいし」と 冷やかすが・・
社交場では影のように控え、打ち解ける前に一歩引く。だが、夜の店には行ける。
金を払えば、女は笑う。それは分かっている。だからこそ、割り切れる。
だがそれは、立夫の思うような 公の場に連れて行ける関係ではない。
立夫は、頭を抱えた。これから、海棠一門は広がる。勢力は拡大する。 盟友が独身では話にならない。
立夫は、決断した。集めたのは、M女だった。
だが、プロではない。純子が、学会の中から拾い上げた女たちだ。
忠誠があり、言葉を飲み込み、空気を読む。それだけで十分だった。
比較的 容姿もいい三人を純子が、選んだ。
村木を呼んだ。 部屋に入ってきた瞬間、 村木は察した。
「……これは」
三人の女は、立ち上がって村木に一礼した
純子が予め言い聞かせた3人だった 結婚してやってくれと・・っていうか 先ずは付き合ってやってくれと・・
「立夫、俺は・・・」
「分かってる とにかく一人選べ それからだ」
村木は、三人を見る。 誰も、迫ってこない。 ただ、待っている。
当たり前だ 村木から声がかかるのを待っているのだ
純子が 村木に背中を押した
立夫は、煙草に火をつけた。
村木は立ち尽くしている そしてほんのりと 顔を赤らめて ただ立っているだけ・・
立夫は さすがにイラっとした お前な・・
と言いかけたら 女の一人が 私、 お付き合いしたいです!と声を発した・・
あとの二人もそれにつられるように 私も!と前に出た・・
それに村木はやっと反応し 最初に声を出した女の前に行き 「付き合ってください」と 照れた顔を見せた その顔はまるで童貞の表情だつた、
立夫は笑ってしまった(*^_^*) 純子は村木の後ろで おめでとうとパチパチパチと手をたたき ニッコリしたのである
立夫は 村木の純粋さに 少し感動を覚えた。 同時に久しぶりに 新鮮ないいものを見た気がした。
おわり