大谷吉継と石田三成  【戦国の友情】
30代前半  大阪府
2025/12/31 10:16
大谷吉継と石田三成  【戦国の友情】
慶長五年、関ヶ原の戦雲が迫るころ――近江国・**佐和山城****。
城主 石田三成 のもとを訪れたのは、重い病を負い、輿に身を預ける 大谷吉継 であった。

三成は深く頭を下げ、西軍への参陣を請うた。
しかし吉継は即答しなかった。勝算の薄さは誰の目にも明らかだったからである。

城を辞し、自陣へ戻った吉継を待っていたのは、家臣たちの沈痛な顔であった。
中でも重臣・大谷吉治(芳次)は、意を決したように進み出た。

「殿……この戦、三成殿に与すれば、家は滅びますぞ」

重い沈黙が落ちた。 吉継は何も言わず、しばし庭先を見つめていた。芳次は続ける。

「徳川殿は大軍勢を擁しており はっきり申しますと勝ち目はないかと
殿が西に立てば、我ら一族郎党、子や孫に至るまで路頭に迷いましょう。
どうか、どうかお考え直しを……」

理で言えば、正しい。 家臣として、これ以上ない忠言であった。

やがて吉継は静かに口を開いた。
「さもあろう」

芳次の顔に、わずかな安堵が浮かぶ。 だが次の言葉は、彼の期待を打ち砕いた。
「……しかしな、芳次。
わしの気持ちが、それを許さぬのだ」
「殿!」

「勝てるか負けるかではない。家が残るか滅ぶかでもない。
三成はな、わしがこの身となったとき、 誰もが目を背ける中、平然と盃を差し出した男だ」

吉継の声は低く、しかし揺るぎがなかった。
「世が捨てたこの身を、人として遇した。 その恩を、計算で切り捨てることはできぬ」

芳次は歯を食いしばった。
「それでも……それでも殿、家はどうなります!」

吉継はゆっくりと振り向いた。

「家とは何だ。 主が己の心を欺いてまで残すものか。もしそうなら、それは空の殻に過ぎぬ」

そして、きっぱりと言い切った。
「わしは三成に“勝ち”を約するのではない。“共に滅びる覚悟”を差し出すのだ」

芳次は、もはや言葉を失った。
この主を止めることはできぬ――そう悟った。

ほどなくして吉継は、再び佐和山城へ引き返す。 三成に告げた言葉は短かった。

「三成。わしはおぬしに味方する」
その選択が、家を、命を、未来を失うものであることを、吉継自身が最もよく知っていた。

それでも彼は進んだ。
それは忠義でも、野心でもない。 人としての矜持が命じた、ただ一度の決断であった。

関ヶ原において、大谷吉継は敗れ、三成もまた滅びる。だが二人の名が今なお語り継がれるのは、
この戦が「損得」を超えた 友情と絆で結ばれたからである。

――滅びを承知で隣に立つ。
それこそが、大谷吉継という男の、最後にして最高の忠誠であった。

いつもの妄想で 戦国の友情を書いてみた

おわり
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コメント

60代後半  東京都

2025/12/31 12:07

1. 大谷刑部は義の男!ですね、

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