【半ぐれ銀行マンの天下取り】 73 立夫との対決 後編1 15億踏み倒し計画
立夫は、咥えたままのタバコに火が残っていることにも気づかず、しばらく天井を見つめていた。
頭の中で、数字だけが冷たく回る。70件、月1500万。――それが、音もなく消えた。
「……クソ女、斎藤め」
吐き捨てるように呟き、灰皿にタバコを押し付けた。 怒りはある。だが、それ以上に、現実が迫っていた。
銀行の仕事が止まれば、里美の事務所は一気に干上がる。
他の依頼を寄せ集めても、400万が限界。人件費、家賃、雑費……計算するまでもない。赤字だ。
明美と純子が切り盛りする料亭は、いまのところ順調だ。だが、それも「元・メガバンク支店長」という看板があってこそ。
時間が経てば、客足は確実に鈍る。
――詰みか? いや、まだだ。
立夫は、ゆっくりと背もたれに深く沈み込み、指を組んだ。
策はあるはずだ
15億。 研修所と保養所の建設資金。この返済を、このまま続ければ首が絞まる。
「……償還を止めてやる!」
独り言のように言った言葉は、すぐに現実的な算段へと変わった。元本は据え置き。五年。
理由はいくらでも作れる。稼働率、事業計画の見直し、地域振興――銀行は数字に弱い。
その代わり、銀行への賃貸料は一円たりとも譲らない。
貸している以上、払うのが筋だ。こちらは「債務者」である前に、「オーナー」でもある。
立夫は立ち上がり、ガラス張りの窓際に歩み寄った。眼下に、かつて自分が君臨していた銀行の建物が見える。
(今に見てろ 俺の野望を打ち砕く奴は ことごとく排除してやるぜ)
村木を料亭に呼んだ
事情を知っている 明美と純子が心配そうに立夫のそばに座ったが
「何も心配ない、俺は 姫路を支配し 頭取の道を行くのに変わりはないのや」というと 口を開けて笑い 二人は席を抜けた
「村木よ 俺はな15億を踏み倒す計画を立てたのや・・聞いてくれ」
と 今おかれた状態を説明した
「5年据え置き? そんなもの銀行がきいてくれると思ってんのか?」(笑)
つづく