【半ぐれ銀行マンの天下取り】  78   世界一の超高層ビル 2
30代前半  大阪府
1/14 0:35
【半ぐれ銀行マンの天下取り】  78   世界一の超高層ビル 2
――この計画をぶち上げたのは、
支店長を追われた腹いせなどという、安い感情だけではない。

むしろ逆だ。それは、立夫にとっては副産物にすぎなかった。

日本だけではない。世界をあっと言わせる。その一語に、すべてが集約されていた。

世界一。高さも、階数も。実現するかどうかは、二の次だ。

人は「完成したもの」よりも、語られる夢に金を出す。ロマンに酔い、名前を刻みたがる連中は、国内外に掃いて捨てるほどいる。

――寄付。
――協賛。
――出資という名の名誉。

「姫路に、世界一を」

この言葉に胸を打たれ、財布を開く者が必ず出る。立夫は、それを知っていた。

そして案の定だった。マスコミが嗅ぎつけ、立夫の名は独り歩きを始める。

【元メガバンク支店長 左遷と失脚 地方から世界一】
と、新聞も取り上げたのだ

物語性は完璧だった。世間は、こういう話に飢えており飛びついたのだ 
本当ですか? ほんまでっか? という電話が殺到したのである

だからこそ、立夫はグランド設計図を作らせていたのだ。絵に描いた餅ではない。 高さ、階数、耐震、風荷重、基礎構造、工期、概算費用――
すべてに根拠を持たせた。

「実現可能性は、ゼロではありません」
この一文を言わせるために、 専門家の名前も、試算も、理屈も、揃えた。

政府も、これで動く。動かざるを得ないだろう。

国家プロジェクトになり得る観光・雇用・技術力の象徴

そう位置づければ、1000億円程度なら集まる―― 立夫は、冷静にそう踏んでいた。

もちろん、これは壮大な博打だ。失敗すれば、笑い者になる。「夢想家」「詐欺師」「ホラ吹き」
そう罵られる可能性もある。

だが――立夫には、逃げ道も用意されていた。

仮に頓挫してもいい。地元の反対。景観論争。文化財保護。環境アセス。
理由はいくらでも転がっている。

「断念せざるを得なかった」そう言えば、大義名分は立つ。失敗ではない。志半ばで潰された英雄だ。

立夫は、椅子に深く身を沈め、ほくそ笑んだ

「勝てば英雄。負けても、物語は残る」

どちらに転んでも、俺の名は消えない。
そして何よりも 事の成否より 一発大逆転で銀行に復帰し 本部役員への道の足がかりとなるに違いないと確信したのである・・(笑)

つづく
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コメント

30代前半  大阪府

1/14 8:46

2.  >>1 イトガイさん
ありがとうございます(笑)

60代前半  岡山県

1/14 1:40

1. つづきを楽しみにしています

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