免職撤回要求 2
「何の関係?なんてそんなものにこたえなきゃいけないのよ!」
「これは失礼しました」
部長は一瞬、言葉を失った。机の上に置いたペンを無意識に指で転がしながら、喉を鳴らす。
「い、いや……その……処分 は正式な手続きに基づいて――」
「手続き?」
千賀子は一歩前に出た。声は震えているが、目はまっすぐだった。
「もう一度申します あなたひとりの裁量でしょ。最終決裁は人事部長でしょう? 私はメールそのものを知らないと本人が言ってるんですよ。撤回するのが当たり前でしょう」
部長の額に汗が浮かぶ。海棠常務の娘という言葉が、重くのしかかっていた。椅子の背に寄りかかることもできず、背筋を伸ばしたまま硬直している。
「そ、それは……事実関係を再確認する必要がありまして……丁重に検討を――」
「検討では困ります」
即座に言葉を重ねる千賀子。声は先ほどより強い。
本人の処分が不当なら、訂正するのが人事の仕事でしょう!」
部長は完全に押されていた。眼鏡を外し、ハンカチで額を拭く。
「……わ、わかりました」
「何をわかったというのですか?」
千賀子は引かない。手ぶらでは帰れないという焦りが、彼女を突き動かしていた。
「前島氏の免職処分について、再審査の手続きを直ちに開始します。資料を再確認し、必要であれば処分の見直しを上申します」
「“必要であれば”ではなく、“見直す前提で”でしょう」
部長は小さく息を吐いた。完全に折れた表情だった。
「……再検討を前提に進めます」
部長はたじたじだ・・
その言葉を聞いて、千賀子はようやく椅子に腰を下ろした。胸の鼓動が激しく、手の震えが止まらない。それでも顔だけは強気のまま保っている。
「進捗は私に連絡してください。必ずです」
「……承知しました」
部長は深く頭を下げた。
部屋を出た瞬間、千賀子の膝から力が抜けそうになった。だが唇には、かすかな笑みが浮かんでいた。
(やった……立夫さんのために、ちゃんとやれた)
神戸本社の廊下を歩きながら、彼女は震える手でスマートフォンを握りしめた。
立夫にその旨を伝えた
「すげーな・・驚いたな よくやったな 俺 君に感謝するよ」
千賀子は胸をなでおろした 立夫はいった 「結婚の入籍を明日でもやろう・・」
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人事部長は 姫路の担当を呼び出した
いきなりどなりつけた
「君、海棠の娘と分からなかったのか!」
「えっ? 」
「前島の事だよ 君が免職相当という稟議をあげたんだ」
「知らなかったです すみません」
「馬鹿野郎!海棠ってめったにない名前だ 知らなかったなんて なにをやってるんだよ おかげで娘からボロクソに言われたよ 君、この責任は取ってもらうからな」
担当は青くなった