【冥土からのラブレター  新婚2か月で失った妻】  6 母親の難病
30代前半  大阪府
2/6 18:28
【冥土からのラブレター  新婚2か月で失った妻】  6 母親の難病
 数日後、立夫は再び、あの難病の会を訪れた。
 光知子と結婚を考え始めた今、彼女の世界をもっと知りたいと思ったからだ。

 集会は、いつもと変わらぬ静かな空気に包まれていた。
 体調の話、生活の工夫、治療の情報。
 立夫はその一つ一つを、真剣に聞いていた。

 そのとき、何気ない会話の中で、耳に留まる言葉があった。

「……遺伝性、ですからね」

 一瞬、意味を取り違えたのかと思った。
 だが、別の参加者が頷き、静かに続ける。

「お母さまの病気は、遺伝性のものだと聞いています」

 立夫の胸が、わずかにざわついた。

 誰も騒がない。
 誰も特別視しない。
 それが、この会の日常なのだろう。

 だが、立夫の中で、ほんの小さな影が生まれた。

 ――遺伝性。

 その言葉は、重くもなく、鋭くもなかった。
 それでも、確かに胸の奥に残った。

 立夫は、光知子の笑顔を思い浮かべた。
 あの無垢さ。
 あの慈愛。
 そして、あの涙。

 まだ、このことを、彼女は何も言っていない。

 恋は、確かに成就した。
 だが、幸福のただ中で、運命は静かに、次の問いを差し出していた。
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