麦わら帽子を被ると、風に揺れてるマリーゴールドに似ているkazzです



子供の頃、家で一匹の犬を飼っていました


親父が何処かで譲り受けた柴犬で、まだ目が開いたばかりの愛くるしい犬でした


その時の事は、今でも鮮明に覚えています


それくらい可愛い犬でした


名前は、親父が命名し『ジミー』と名付けられます


なかなかカッコイイ名前ですが、親父が『地味』な女性が好みだった為、そう名付けられたのです


ジミーは、俺が５歳の時にやって来たので、ジミーと俺は兄弟みたいに育ちます




それから年月は経ち、俺が中学２年の夏


すっかりジミーは俺に懐き、散歩は俺がいつも連れて行くのが日課になっていました


そんなある日


いつものように決まったコースを、ジミーと散歩していると前方から犬を連れた女の子に遭遇します



今年から、同じクラスになった『ゆうこ』ちゃんでした



ゆうこちゃんは､少し大人っぽい生徒で頭も良くクラスの男子全員の憧れの女子です


実は､俺の初恋の女性です



そんな憧れの女の子と､同じく犬を散歩させながら遭遇するなんて・・


・・チャンス しかし


俺は、ゆうこちゃんを目の当たりにすると、緊張で上手く喋れません



緊張と胸のときめきを抑えきれないまま、犬を連れたゆうこちゃんに近づいていきます


すると


『カズ君も、犬の散歩なの？　可愛い犬ね！』


なんと、ゆうこちゃんの方から話しかけてくれたのです！


シジミー　チャンス～



俺は、ジミーの散歩のおかげで、憧れの女の子と話しが出来たのです


ジミーに心から感謝です


ゆうこちゃんの犬は、種類は分かりませんが、綺麗な白い毛でリボンを付けた可愛い犬でした



俺は緊張も解け、ゆうこちゃんと互いの犬の話題で話しが弾みます


本当に､幸せな時間でした


しかし、そんな穏やかで幸せな時間は長くは続かなかったのです・・


突然の事でした



俺と話しをしていた､ゆうこちゃんが突然悲鳴をあげます


『きゃあ～ああぁ～』


なっ！何が起こったのでしょうか？



悲鳴をあげる　ゆうこちゃんの視線を追うと､信じられない光景が俺の目に入ります


ジミーが・・


ジミーの奴が、ゆうこちゃんの愛犬の上に跨がり、激しく腰を振っていたのです


一心不乱に腰を振って、見事な腰使いです



俺は、慌てて鎖を引っ張りジミーを引き離し、ジミーを叱りました



ジミーは、俺の怒りを察知し悲しい顔で静かになります


それから


俺は、ゆうこちゃんに、ひたすら謝りました


心優しい　ゆうこちゃんは、顔は引き攣ってはいるものの、何とか許してくれました



だが、悲劇はこれで終わらないのでした



ゆうこちゃんは自分の愛犬を心配し､かがみ込み犬を撫でています


その時､俺達に更なる悲劇が起こったのです



ジミーが・・


ジミーの奴が、今度は屈んでいるゆうこちゃんの背中に跨がり、激しく腰を振り始めたのです



もの凄い腰使いでした


そして



ゆうこちゃんは、背中で腰を駆使するジミーを振り払い､泣き喚きながら走って逃げたのです



俺の淡い初恋が、木っ端微塵に砕け散った瞬間でした






それから、４年の年月が経ち・・



高校３年の時、俺にも待望の彼女ができました


『きょうこ』ちゃんという小柄で可愛い女の子です



まぁ、そうは言っても



映画を一緒に観に行ったり、一緒に手を繋いで散歩する程度の関係でした



そんなある日


きょうこから、自宅に一本の電話があります


自宅で飼っている犬が、可愛い仔犬を産んだので見に来て欲しいとの事でした



きょうこの家に行くと、きょうこは嬉しそうです


本当に可愛い生まれたばかりの３匹の仔犬を、自慢げに俺に見せます


父親であるオス犬は分からないが、仔犬を大事に育てると言っています



３匹の仔犬は､本当に可愛い奴です



３匹全て・・・昔・


生まれたばかりで家にきた、幼い頃のジミーにそっくりでした





それから、家に帰る途中、鎖で繋がれて家にいるはずのジミーに遭遇します


首輪が付いていません



きっと、首輪を掻い潜り抜け出してきたのでしょう



奴は・・・



自分より大きな犬の背中に跨がり、一心不乱に腰を振っていました





それはそれは、見事な腰使いでした