映画レビュー2016 #7 『死霊館2 エンフィールド事件』"The Conjuring 2"
50代前半  愛知県
2016/07/27 13:14
映画レビュー2016 #7 『死霊館2 エンフィールド事件』"The Conjuring 2"
"The Conjuring 2"

2016 アメリカ: ホラー


Directed by James Wan
Produced by
Peter Safran, Rob Cowan, James Wan
Screenplay by James Wan, Chad Hayes, Carey Hayes
David Leslie Johnson
Story by James Wan, Chad Hayes, Carey Hayes
Based on Characters by Chad Hayes, Carey Hayes

Starring:
Vera Farmiga
Patrick Wilson
Frances O'Connor
Madison Wolfe
Simon McBurney
Franka Potente

Music by Joseph Bishara
Cinematography by Don Burgess
Edited by Kirk M. Morri
Production company:
New Line Cinema
The Safran Company
Atomic Monster
RatPac-Dune Entertainment
Distributed by Warner Bros. Pictures
Release dates
June 7, 2016 (TCL Chinese Theatre)
June 10, 2016 (United States)
Running time
134 minutes[1]
Country United States
Language English
Budget $40 million[2]
Box office $310 million[3]


アメリカでは高い評価を獲得したジェームズ・ワン監督の新作ホラー"The Conjuring 2"。前作である一作目の舞台アメリカから今回はイギリスに舞台を移し、実際に起こったことで有名な「エンフィールドのポルターガイスト」を題材に主人公である心霊現象研究家であるウォーレン夫妻が活躍する物語となっている。

「エンフィールドのポルターガイスト」とは、1977年8月からイギリス、ミドルセックス州のエンフィールドで起きたポルターガイスト現象で、およそ二年間にも及んで様々な心霊現象によるとされる騒ぎを起こした事件で、この手の事件では最も調査された事件と言われている。現象としては、壁や床をたたく音がする、家具が動く、変なボヤが起きる、物が他の物を通り抜ける、得体の知れない声が聞こえる、人間が宙に持ち上げられる、などで、この事件は、始めから終わりまで記録が残っており、その膨大な調査結果資料や目撃報告などは前例がない。調査に関与した人々の中でも主たる人物は、モリス・グロス(en:Maurice Grosse)とガイ・ライアン・プレイフェアの2名であり、いずれも英国心霊調査協会(SPR)のメンバーであるのは、本作と同じである。調査員による数ヶ月の調査中に発生した怪現象の記録だけで1500を超えており、目撃証言は、本作でも登場するように、事件のあった住居の家族以外にも、調査員、警察、報道関係者が含まれる。そして、記録は映画にもあるように、録音テープや写真やフィルム(動画)で記録されている。調査員のモリス・グロスは、でっちあげなどありえないほどの この量の多さこそが、この事例に最も説得力を与えている、と述べている。

心霊現象の真偽はともかく、そういった事実、は今回の本作でも同じようになかなか忠実に登場及び説明されており、その辺りはネタ元が有名なだけに、まずまず好感度は高い。ただ問題の家は形からして違っており、その再現性はイマイチだ。こういうホラー映画では、家の形となりは非常に大事で明らかにオリジナルの家の形状の方が不気味なのでこだわって欲しかった。登場人物の人となりここまで事実に忠実なら、尚更だ。とにかく今回の映画化は、元の事件があまりに有名であるので、大変気を使う必要があると感じた作品だが、観賞してみると微妙な感じの映画であった。主人公であるエドとロレイン・ウォーレン夫妻も実際の人物だが、前作でも少し指摘したが、かなり事実と印象が違う。その辺りも、あわせてハリウッド映画調というか、アメリカ調に調理されていて、二人にパラノーマル調査団というような雰囲気はあまりない。まあ、映画はフィクション・エンタメなので何でもあり、といえば、それまでだが、なら尚更、映画はフィクションなら事実に沿った名前や話を持ち出す必要もないとも思われる。そういった意味でも消化不良な作品となっており、ホラー映画として見れば、前作同様、今一つパットしない出来だ。

登場人物でかなり重要度の高い、モリス・グロスという眼鏡の人物が登場するのだが、いったい何者か説明が薄く(というより、ほとんどなく)、唖然とさせられる。御興味のある方は、アミティーヴィルと同様、出版物が色々あるので、読むことをお勧めする。また心霊現象の推移もサスペンスが感じにくく、雑な印象。色々シーンがあるが、効果的とは言い難く脚本自体に、問題があるのは、前作同様だ。かといって構成は起承転結、捻りも商品化の段階で必要なようにノルマ的にしっかりハリウッド映画しているので、商魂だけはたくましく、尚更印象が悪いと言わざるを得ない。

基本ジェームズ・ワン監督作品のホラー映画に一貫しているのは、ホラーではなく、スリラーで、いわゆる「ぞっとする」その演出はすべて「タダのこけおどし」の演出によるもので、その辺りは、往年のスクリーム・シリーズと同じ路線である。その辺りは、ホラーをお茶を濁してスリルで誤魔化しているのは非常にB級なところで、同じB級路線なら、その辺りをわきまえた感がある、リー・ワネル作品の方がまだ好印象だ。という事で、余り内容に触れると観賞の妨げになるので明かさないが、かなり甘い作りの良くあるハリウッド商業映画的な路線の映画であるのは間違いない。という事で、マニアックなホラー映画や本格的恐怖映画ファンには全くお勧めできない、普通のエンタメと同じと思っていただければ、まず間違いないと思われます。

ザックリ言うと、まとまりは前作よりはマトモで、雰囲気は普通、ヒネリはそれはないだろ(笑)、ラストはファミリー・ファンタジー映画、といったところでしょうか(笑)。観るならDVDで大丈夫です。(笑)


★★★☆☆

(最高点=★★★★★)
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