男と男と男の話
40代後半  千葉県
2017/06/29 17:39
男と男と男の話
近所のスーパー銭湯にたまに行く。

子供から大人まで 裸で過ごす憩いの場所だ。

それ故に、それぞれの色々な事が見えたり 聴こえたりする時がある。

先日、日頃の疲れを癒そうとスーパー銭湯に行った時の話だ。

大人30人くらいは入れそううな露天風呂に、若い男が二人、肩を並べて湯船に浸かりながら真剣な話をしていた。

夜も遅いせいか、その露天風呂には 俺と若い二人だけしかいない。

二人の真逆の方で、風呂に浸かって 夜空を見上げていると、必然的に若い男二人の声が耳に入って来た。

「どっちから、切り出したの?」

「向こうからだよ」

「で、結局 別れちゃったんだ、、、」

「そうだよ!泣きながら 別れてくれって言われたら、しょうがねーよ」

“おっ 何やら、男女関係のもつれ話をしているぞ!”
面白そうだから少し聞いてみようと思い 暫くの間二人の会話に耳を傾けた。

「俺は、コックだから あいつの誕生日には あいつの好きなもの全部作ってさ~、二人じゃ全然食べきれないくらいの量を作っちゃって、こんなに作ってどーすんの なんて、笑いながら食べたな~」

「今となっては、いい思い出だね~」

「向こうは美容師だから、俺の髪をいつも切ってくれてた。 切ってもらってすぐは、コック帽被るのが嫌でさ~」

「なんか、勿体無いよね、せっかく切って貰ったのに、帽子で隠れちゃうの、、、」



“お~彼女との思い出話か~、何だか切ないね~~”

そんな話を聞く事 数分、そろそろ体を洗おうかと、湯船を出る時に何気なく 二人の顔を見ると、二人とも結構な男前である事が分かった。 別れた方の男は 山田孝之 似の男前で、話を聞いている方は、ジャニーズ系のシュッとした今風の男前な感じだ。

体を洗い終えると、さっきの二人の事が気になり、再び 露天風呂へと向かう。

二人は まだ さっきの場所で、身振り手振りを交え、熱く語らっていた。

“お~ まだ話してるよ~彼女の事がよっぽど好きだったんだね~
でもさ、君みたいなイケメンなら、この先いくらでも 彼女は出来るよ、、、”
などと 上からの目線で胸の内側から話しかけ、再び二人の会話に耳を傾ける。


「でも、お前の話さっきから聞いてると、結局よりを戻したいんだろ?」

「いや~ でも もう完全に別れちゃってるからな~ 今更 どうこう言っても、どうにもならないと思うんだよ」

「このまま、ズルズル引きずっても、気持ちが晴れないだろう?
もう一回、今の気持ちを素直に言って、ダメならダメで、それからまた考えればいんじゃね?」

「でもな~、ケンジはあれで意外と頑固だし、あれから一度も連絡してないし、やっぱりダメだと思うわ」




・・・・・ケンジ・・・・?

((((;゚Д゚)))))))・・・・・男? ナ・ノ?

ちょ ちょ ちょ ちょ チョット待て
今、おじさん 気持ちの整理をするから(°_°)
話の展開が急過ぎて、おじさんの鈍った脳みそじゃ、話についていかれやん(´ρ`)

熱い風呂に入っているはずなのに、何故か全身に鳥肌が、、、

山田孝之 似の君は、そっちの方なのですね、そして、私が勝手に彼女(女性)だと思っていた方も 男性なのですね、、、
要するに、そちら側の方なのですね、、、
という事は、山田君のお隣のジャニーズ君もそちら側?
じゃ なに あれ、よく失恋した人の話を聞いてるうちに、その二人が何となく付き合っちゃう感じを、ジャニーズ君は狙ってるの?
その、聞き上手の裏側にはそんな狙いが?


様々な感情が一変に心の中で波打ち、それまで、心地よく浸かっていたお風呂が、何か別の刺激の強い液体の様に感じられ、肌をチクチクと刺されているような錯覚にまで陥入る。

別に そちら側の人が嫌いという事では決してない。
そちら側の友達もいるし、感性が優れている人が多くて、優しくていい人ばかりだと 思ってる。
しかしだ、今まで聞いてきて(勝手に聞いていただけ(≧∀≦)です)、女性と別れたと思っていたのに、、、

結末が~~、、、

のぼせてしまったのか、フラフラしながら、二人に気付かれない様に ゆっくり・フラフラお風呂を後にした。

“ジャニーズ君が 言うように、自分の気持ちを晴らす為にも、もう一度だけ 彼(彼女)に告白した方がいいと思うよ、山田君 ガンバレ!!”

フラフラしながら
心の中で 密かにエールを送った六月の真夜中の話でした。


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