近所のスーパー銭湯にたまに行く。
子供から大人まで 裸で過ごす憩いの場所だ。
それ故に、それぞれの色々な事が見えたり 聴こえたりする時がある。
先日、日頃の疲れを癒そうとスーパー銭湯に行った時の話だ。
湯船のお湯が白く濁っている、“ミルク風呂”というのがそこにはある。
保湿効果があり、肌がスベスベになると 風呂の説明書きには謳ってある。
そんな ミルク風呂 に、見慣れぬ様子の人が、、、
お風呂にいる人は、殆んどが初対面なので、見慣れないのは当然なのだが、様子が、、、
湯船に浸かってるその人の頭には、何やら白い布がぐるぐると巻かれているのだ。
パッと見 バスタオルでも頭に巻いているのかと思ったが、よく見ると“ターバン”なのだ!
初めて見る“生ターバン”に 興味津々な俺^_^
テレビや雑誌などでは、幾度となく頭にターバンを巻いている人を見た事がある。
しかし、生で しかも スーパー銭湯という 癒しの場で、ターバンを巻いた人を目の当たりにするとは思っても見なかったので、興味津々にならずにはいられない。
恐る恐るというか、少しドキドキしながら 自分も ターバンさんのいる ミルク風呂に入り
素知らぬふりして、ターバンさんの顔を覗き見る。
“お~ やっぱり中東系の顔してる~~”
ー当たり前だー
“彫り深いな~~”
ー当たり前だー
“タイガー・ジェットシンみたいだ~~”
ー例えが 古すぎー
“サーベル持ってるかな~?”
ー持ってるわけないー
ミルク風呂に浸かっていた ターバンさんは、イメージ通りの中東系の方で、色が浅黒く、彫りの深いギョロっとした目で、髭を生やしている。年齢は40代50代にも見えるが、ひょっとして、まだ20代か30代なのかもしれない。見慣れないせいか、年齢が全く分からない。
そんな事を思いながら、ターバンさんを見ていると、ふいに ターバンさんと目が合ってしまった。
ギョッ として慌てて視線を逸らす、、、
“焦った~、一瞬目が合っちゃったよ~
サーベルの柄で殴られたらど~しよ~”
ータイガー・ジェットシンじゃないし、サーベルなど持ってるわけがないー
ドキドキしながら、再びターバンさんを何気なく、目が合わない様に盗み見る。
よく見ると、ターバンさんの目尻には皺が数本あり、やはり40代か50代くらいだろうとという年齢設定に落ち着いた。
そうして、ターバンさんウォッチをすること数分、ターバンさんが 蛭子能収 に似た従業員を呼び止めて、何やら自分の頭を指差して話している。
しかし、蛭子能収 似の従業員の男性には全く言葉が通じない様で、身振り手振りが段々大きくなり、ジェスチャーゲームのようになって来たので、俺も心の中で参加する事にした。
ターバンさんは自分の頭を指差す、
“この ターバン、、、”
両手で頭の周りをぐるぐる回す、
“巻くの大変なんだぞ、、、?”
ー わざわざ ここへ来て、ターバンの大変さを、語る訳がない ー
顔を洗う素振りをする、
“お~ これは分かりやすい!顔を洗うだな!”
体を洗う素振りをする、
“お~ これも分かりやすい!体を洗うだな!”
お風呂のお湯を手で、バシャバシャ
、
“楽しいなぁ~~?”
ー わざわざ ここへ来て、楽しさアピールをする訳がない ー
話しかけられている 蛭子能収 似の従業員も、全く意味がわからない様で、困惑している。
まさに、蛭子能収 本人がよくやる、頭を掻きながら 少しにやけて「オレ ワカラナイヨ~」そのものだ。
ジェスチャーゲームの答えが 不可解なものになった俺も、そろそろ露天風呂に行こうと思い、ミルク風呂を出て露天風呂へ移動する。
しばらく 露天風呂に浸かりながら、雲がかかる月をぼんやりと眺め、さっきのジェスチャーゲームの答えを考えてみるが、一向に答えまで辿り着かない。
数分後、そろそろ サウナでも入ろうかと思い、再び室内へ移動する。
サウナに行くまでに、さきほどのミルク風呂の脇を通ると、ターバンさんはまだそこにいて、ジェスチャーゲームの相手をしていた蛭子能収はもういない。
が、
ターバンさんの頭(ターバン)に 異変が!!!
どうした事かと思い、サウナに行くのも忘れて、ターバンさんの異変を確かめる為に ミルク風呂に再び入る。
ターバンさんがよく見える場所に座り、ターバンさんを見ると、ターバンの上からビニールが 被せられている。
“はうあっっっ!! シャワーキャップ!!”
((((;゚Д゚)))))))
“しかも、ほのかにピンク色っっ!!!”
“そうかっ! 今 わかったぞっ!ジェスチャーゲームの答えがっ!”
不可解な答えしか出てこなかった謎が今解けたぞっ!
ターバンを指差す=このターバンに
両手で頭の周りをぐるぐる=何か被せたい
顔を洗ったり、体を洗ったりして
お湯を両手でバシャバシャ
=ターバンが濡れる
答えは 『ターバンを濡らしたくないので、何か被せる物は有りますか~(外国人風の喋りで)』 だったのだ!
“そーかー、ターバンを濡らしたくなかったんだね~”
“ターバンさん よかったね~意味が通じて~”
この、中東系の男性を巻き込んだ(ターバンだけに)国際問題は、従業員のズバ抜けた理解力と適切な判断で幕を閉じた。
“good job! 蛭子能収、 ほのかにピンク色はいい判断だ”