優しさのカタチ
40代後半  千葉県
2018/03/07 8:45
優しさのカタチ
俺は娘二人と三人で暮らしている。
上の子が高2 、下の子が中2の
“もろ お年頃”の娘達

ある日 三人でいつもの様に晩ご飯を食べていた時の話だ。

その日のメニューは、サラダとグラタンとオニオンスープ、それにバケット。
三人で “いただきます” を言った後に、揃って食べ始める。

グラタンに口を付けた次女の“ホマレ”が口を動かしながら何かを考えている。
そんな ホマレをよそに、長女の“コトネ”は、美味しい、美味しいと言って食べている。

数秒考えていた ホマレがおもむろに、

「美味しいんだけど、ホワイトソースに も少しコクが欲しいなぁ!」と静かに呟いた。

すかさずコトネが険しい目を ホマレに向けながら強い口調で言う

「充分美味しいじゃない! いちいち、カズ(俺のこと)の作った物に文句言うのは辞めなよっ!」

そう言われたホマレは、涼しい顔でしれっと応戦する

「いい よく聞いて!
歌と味には音痴な高校2年!
カズちゃん(俺のこと)の作るものは確かに美味しいんだけど、もう一つ何かが加われば もっと美味しくなるはずなの!
私の友達が遊びに来て、よくご飯を食べて帰るでしょ!
みんな 美味しいって言って食べてるけど、社交辞令半分だと思うの!
めちゃめちゃ美味しいって、言ってくれたら心から本当に美味しいと思ってくれてるはずなの!
カズちゃんには、そういう物を作って欲しいの!
ただでさえ、カズちゃんは年頃の女の子を育てているって、周りのママさん達から注目されているんだから、そこで料理も上手ってなったら 私達も鼻が高いでしょ!
カズちゃんの為を思って言ってるの!」

それまで 黙って聞いていたコトネが躊躇いも無くスパッと切り返す

「いい よく聞いて、学校から帰ってきて、手も洗わずに鼻クソをほじりながら駄菓子をむさぼって テレビを見る中学2年生 !
結局は自分の為じゃない!
カズは評判を上げようと思って料理を作っている訳ではないの!
仕事から疲れて帰って来て、私達の為にご飯を作ってくれているの!
それなのに、味付けをどうこうしろって失礼だと思わない?
そんな事を言うのなら、ホマレが自分で作ればいいじゃない!
全然 カズの事なんて考えてないよ!」

二人とも俺の事を考えて言ってくれてる事が痛いほどよく分かる。
そして、両方の言い分もよく分かる。

疲れて帰って来て、なんとか作ったそれほど手の込んでいない料理を 「美味しい」って食べてくれると、とても嬉しいし その笑顔を見ると、明日も頑張るぞっ! ていう気持ちになる。

一方でもっと 美味しい料理を作る事が出来れば、子供達も もっといい笑顔で美味しい と言ってくれるに違いない。
(決して評判を上げたいなどとは思っていない 笑)
なので、もっと料理上手になりたい気持ちもある、、、

黙っていると、二人の言い争いが一晩続いてしまうので、遮る様に二人のやり取りに割って入る。

「いいか よく聞け!父親思いの可愛い娘さん達!
ホマレの言う事はよく分かる!
ただ、コトネの言う通り 俺は仕事して疲れて帰って来て、それから晩ご飯作りだ、、、
洗濯や片付けの事を考えると、あまり料理に時間をかけていられない。
そこで、料理に関しては ホマレが俺の手伝いをする事にすればいい!
そしたら、自分の思った通りの味付けが出来るし、今以上にホマレも料理が上手くなるし、それがいいと思うんだ、、、
コトネは勉強の合間をみて、洗濯をしたり 洗濯物を畳んだりしてくれ!
どうだい?何か問題あるかな?」

話が思わぬ方向へと進んでしまい、戸惑う二人の顔は明らかに、藪から出てきた蛇に、思いっきり咬まれた様な、苦くも痛々しい顔になっていた
:(;゙゚'ω゚'):[あせあせ(飛び散る汗)]

“ 娘達よ、俺の事を本当に考えてくれるのなら、笑顔で受け入れてくれ~~[表情(嬉しい)][あせあせ(飛び散る汗)]


皆さんはどちらの優しさがいいですかね(笑)
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