先日、千葉ポートアリーナで大相撲の巡業があった。
相撲好きの両親に一度くらいは大相撲というものを、観てもらいたいと思っていた俺は、国技館での本場所のチケット購入を何度も試みていたのだけど、先行抽選では ことごとくハズレ、電話申し込みでは 何度かけても、電話殺到で繋がることもなく、苦汁を飲んできました。

ある日、千葉で大相撲の秋巡業がある事を知り、早速チケットを購入する事にしました。
本場所のチケット購入とは違い、電話でチケット申し込みをした際には、選べる程席が空いており 座席の選び放題！
とはいえ、両親二人分のチケットだけなので、迷う事無く 土俵正面の溜席(東京ドームなどの ライブのアリーナ席の前列席の様なもの)に 即決。
奮発してお弁当セットもつけて
少々痛い出費にはなりましたが、少しでも親孝行の様な事が出来ればと思い購入しました。

後日チケットを持って、両親のいる実家へ行き、照れ臭くはあったのだけど、この事を報告してチケットと白鵬・鶴竜・稀勢の里の写真入り 秋巡業のチラシを一緒にして渡しました。

「相撲好きだろ？
二人で行って来なよ！
良い席取れたし、きっと良い思い出になるよ(^^;; 」
こういう事に慣れてないので、ちょっと気まずさを感じながら言う

「おー秋巡業か～
千葉でやるのか～
巡業とはいえ、チケット取るの大変だったろ？^_^ 」
父親は見たことも無い嬉しそ～な笑みを浮かべながら、チラシを眺める

「まーね～ 何とか良い席取るのに
必死だったよ！」
- 本当は 超 余裕で購入^^; ) -

「ありがとね～～
死ぬまでに一度は観てみたいと思ってたんだよ～～
まっ 死んだら幽霊になって、観に行こうと思ってたんだけどねっ(^^) 」
と 母親は相変わらずの自虐ネタで喜びを表現する(笑)

「10月 7日だからね
忘れずに予定に入れておきなよ」

思った以上のリアクションと
七福神の様な笑顔の両親に見送られ、満足感を感じながら、実家を後にした。



当日、折角なのでポートアリーナまでの送迎もする事にして、朝 8時30分に実家に両親を迎えに行く。
ポートアリーナまでの道中、普段口数の少ない父親はいつになく饒舌で、相撲のうんちくや名勝負を、ベテラン解説者の様に、俺に教えてくれた。
母親は、貴乃花親方の事が未だに納得出来ないらしく、
「ひょっとしたら、こっそり観に来てるんじゃないかね～～、、、
星飛雄馬のお姉さんみたいに、物陰に隠れて、可愛い弟子たちの姿を観に来るかもしれない！」
などと、“それはないだろ～”的な妄想をしていた。

会場の前には 老若男女たくさんのお客さんがいて、相撲の人気ぶりをうかがわせていた。

「じゃ、俺はここまでだから
楽しんで来なよ」

「わざわざありがとう
3時過ぎには終わるみたいだから、迎えも頼むね^_^」

大相撲初体験で、ドキドキしながらも笑顔で手を振る両親を会場入りするまで見送り、俺はポートアリーナを後にした。

家に帰り、掃除や洗濯を済ませ、天気も良かったので、布団も干して
昼ごはんを食べ終え、
“今頃、二人は楽しんでるかな～”
などと思いながら、過ごしていると
あっという間にお迎えの時刻。

時間どうりに午後3時過ぎには、ポートアリーナの前で待機。
程なく相撲を見終えた両親が、ニコニコ話しをしながら、駐車場に向かって来るのが見えた。
遠くからでも、楽しさに溢れた歩みが確認できる程、上機嫌な二人。

「楽しかったかい？」
プログラムを見直しながら、あれこれ楽しそうに顔を見合わせてる二人に話しかける。

「あ～ 最初から最後まで面白かったぞ～！
白鵬と豪栄道に握手してもらったよ！」
アイドルにサインをもらった中学生の様に喜ぶ父親

「勢(いきおい)関が大きくてビックリしたわ～～
アレ、ジャイアント馬場と同じくらいじゃない！
白鵬も意外と大きかった～
アレは、ジャイアント馬場よりも少し小さいくらいだね！」
と 何故か力士の身長を、ジャイアント馬場を基準にして、母親は俺に説明する。

帰りの車の中でも、興奮した様子のまま 父親は今日の取り組みの結果と決まり手を、覚えている範囲で細かく教えてくれた。
母親の方は、終始 力士たちを、ジャイアント馬場よりも大きい小さいで 比較していた(笑)
※ちなみに今は、幕内力士にジャイアント馬場さんよりも大きな力士はいない様です。


そんな話を聞きながら、実家に到着する。
もう少し二人の話に耳を傾けていたいけど、帰って晩ご飯の支度をしなくてはならない。
それに、俺がいなくても
今日は二人だけで充分 話が盛り上がるだろうし、、、

「じゃ、俺は帰るよ！」

「今日は、ありがとうなっ！」

「ありがとうね～～
貴ノ岩が出てなかったけど、
ジャイアント馬場よりも大きいかなぁ？」

「、、、 (⌒-⌒; )初場所のチケットも 出来れば取ってあげるから、
その時に確かめればいいよ！」

「なんか悪いね～～
催促しちゃったみたいで(^｡^)」

「期待しないで、待っててよ！
じゃ またね！」



軽く手を振り実家を後にする。


“あと何回あの笑顔を見られるか、
出来るだけたくさん 見てみたいもんだなぁ ^_^ ”


この歳になって、ほんの少しだけ親孝行が出来て、ほんのちょっとだけ大人になった実感を感じた日曜日の夕方 の話。


親孝行したい時に、親がいて本当によかった～～
(*´∀｀*)