伝説のレスラー 番外編 アントニオ猪木 珠玉の名勝負コレクション vol.36-2
伝説のレスラー番外編
炎のファイター '燃える闘魂 'アントニオ猪木
「珠玉の名勝負コレクション」vol.36-2
今回は世紀のスーパーファイトまでの経緯と、試合直前まで転々としたルールをお届けします。
先ずは試合までの経緯から。
◇1975年
◆4月22日
モハメド・アリが「誰か東洋人で俺にチャレンジしてくる勇気のある奴はいないか?」と発言したことが新聞で報じられ猪木が応戦。
◆6月9日
7月1日にマレーシアで世界ヘビー級王座防衛戦を行うアリが東京に立ち寄った際、猪木の代理人が改めて応戦状を手渡しにアリの元へ。
文面には
「私はあらゆる格闘技のチャンピオンはプロレスリングであると信じて疑いません。私の挑戦に対し速やかに勇気ある承諾をしてくれることを希望します。」と書かれていた。
これに対してアリは
「面白い。やってやる。猪木がプロレスラーなら俺もレスリングで勝負してやる!猪木は10分で眠らせてやると書いてあるが、俺は5分で眠らせてやる!」と得意のビッグマウス発言。
◆6月20日
アリのマネージャーが来日し、アリの発言を撤回。
実現不可能であると見解を示した。
◆10月
猪木サイドがアメリカ、ヨーロッパのマスコミにアリ戦をアピールする記事と写真を送りつけ反響を得る。
内容は「アリよ逃げるな!」的な感じだった。
◆12月15日
反響が高まり、無視できなくなったアリ陣営と、MSG初登場を果たした猪木がニューヨークで極秘会談。
その後、第2回会談がロサンゼルスで行われ、試合形式、ギャランティ、ルール等の交渉が進められた。
◇1976年
◆2月26日
ロサンゼルスの新聞が「アリと猪木が6月に日本で闘う!」と6ページの大特集で報じ、アメリカでも話題が沸騰。
◆3月10日
日本でも報道が過熱し、ついに東京スポーツが
「夢の決戦の舞台は6月26日、日本武道館である!」と報道。
ファンの間にセンセーションを呼んだ。
◆3月25日
ニューヨークのプラザホテルで正式に調印。
例によってアリはマスコミへの話題作りのために猪木に対して「水辺に居るアゴの大きな鳥は何て言ったっけ?そうペリカンだっ!お前はペリカンと呼ぼう。」と挑発発言。
それに対して猪木は不気味な笑みを浮かべ
「殴ると危険なアゴだ。自分の手を壊すぞ。私のアゴはマッサージもできるのだ。」と軽くいなすのみであった。
注目のファイトマネーはアリが18億3千万円で猪木が6億円と発表された。
◆5月12日
猪木は極真空手の道場へ出向き、大山倍達総裁と特訓。
大山総裁は「外から3発。内側から1発のローキックで倒せる!」と猪木にアドバイスを送っている。
◆5月19日
猪木はプロモーションのために渡米。
クローズドサーキットをシカゴで主催する"AWAの帝王"バーン・ガニアと対面。
ガニアは猪木に「誰もが考えていても出来なかったことをやってのけた。これは偉大な仕事だと思う。プロレスラーの権威を高めてくれた。」と称賛した。
◆6月16日
遂にアリ軍団が来日。
フレッド・ブラッシーがマネージャーとして帯同。
翌日には早くも渋谷のセンタースポーツ・ボクシングジムでサンドバッグ2Rの打ち込み。
その後、2人を相手にスパーリング。
◆6月18日
有楽町の外国特派員クラブにおける予備計量で両陣営が一触即発。
盛んにケチをつけてくるアリに猪木も怒り「俺はレスラーであり、ファイターだっ!口では絶対に闘わない。なんならこの場で闘ってもいいぜ!」とアリに掴みかかる。
更にブラッシーが猪木を罵ると今度は坂口が激昂し乱闘騒ぎに発展した。
◆6月19日
アリが緊急記者会見を開き「この試合は真剣勝負。 俺は素手で闘う!」と発表。
それに対して猪木は「私は最初からベアナックルでOKだと言っている」と全く動じない発言で切り返した。
◆6月20日
後楽園ホールで有料公開スパーリング。
ここで猪木の関節技、延髄斬りを見たアリ陣営が夜に会議を開き、ルールの修正を要求。
◆6月23日
京王プラザホテルにて調印式&ディナーパーティー。
5万円という料金にも拘わらず400人の一般客が参加した。
この模様はNETテレビの「水曜スペシャル」で生中継された。
その席上で、それまでルール問題で「飲まなければ試合はキャンセルする。」というアリ陣営の強硬な態度と言い分を聞き入れてきた猪木が遂に強烈な逆襲に打って出たのだ!
ファイトマネー、興行収益、全てを勝ったほうが取るという賞金マッチを爆弾提案。
これにはアリも渋々だが同意書にサインをした。
◆6月25日
京王プラザホテルにて公開計量。
猪木 100.5キロ。 アリ 99キロ。
◆6月26日
日本武道館に1万4千人の大観衆を集め、遂に決戦の時が来た。
チケット料金は
ロイヤルリングサイドが30万円という破格の料金。
しかしこの席は後援者や関係者に用意された席で一般客には10万円の特別リングサイドから用意されている。
他にリングサイドAが8万円 、リングサイドBが6万円 、1階特別席が5万円 、2階指定席Aが4万円 、Bが3万 、Cが2万 、Dが1万 、Eが5千円であった。
当時のプロレスの試合はリングサイドが5千円 、ボクシングの世界戦でも2万5千円だったので、この試合が値段だけ見ても特別だったことがお分かりいただけると思います。
テレビ中継は当日の昼間(生中継)と夜に録画中継の2回。
夜はニューヨークとロサンゼルスに同時に放映。
昼間が13時から14時50分までで、夜が19時30分から21時21分まで。
視聴率は昼の生中継が平均46%。
最高視聴率は54.6%で、夜の平均は19%、最高視聴率は26.3%であった。
次はルールです。
ルールは試合の直前まで難航しました。
アリの来日後、特にアリ陣営が猪木の公開スパーリングを観てからは、要求を飲まなければ試合中止も辞さないと、強硬な態度で禁止事項を追加してきたからです。
試合前にルールの詳細が説明されることはなかったといいます。
もしルールがもっと認識されていたら試合の評価も違ったものになっていたと思います。
何故 発表できなかったかと言うと、直前までルールが決まらなかったことも原因のひとつだと思いますが、それよりこのルールでは猪木が成す術が無いことが明らかになってしまい、興行的にも発表が出来なかったのでしょう。
それではルールの全文をどうぞ!
~6月23日決定の最終ルール~
1.試合時間
1ラウンド3分の15ラウンド制。
インターバルは1分間。
2.採点方法
1人のレフリーと2人のジャッジが各ラウンドを5点法で採点する。
3.装備
a)
ボクサーはボクシング用トランクスの着用。
レスラーはプロレス用タイツの着用。
b)
ボクシング、プロレス用のシューズ着用。
または裸足。
c)
ボクシング用グローブ、空手用保護グローブ、素手、またはバンテージ着用。
(各ラウンド選択は自由とする。)
d)
バンテージを巻く場合は相手が承認した物。
バンテージは日本ボクシングコミッション及びレスラーの代表に監視させること。
e)
いかなる物質も体やグローブに塗ってはならない。
但し怪我をした時は例外。(ワセリン等)
4.試合の終了
a)判定
15ラウンド終了した時はレフリー、2人のジャッジの合計得点が多いほうが勝ち。
b)フォール
肩甲骨を含む両肩がマットに着いて3カウント経過した時。
c)KO
ノックダウンして10カウント経過した時。
d)ギブアップ
競技者またはチーフセコンドが棄権を申し出た時。
e)怪我
酷い怪我をした時。
但し判定する権利は予め競技者が指名したドクターの診断による。
5.反則
a)
拳でベルトの下を打つこと。
b)
膝、肘で打つこと。
c)
急所を打つこと。
d)
頭で打つこと。
e)
指またはオープングローブで目を攻めること。
f)
レフリーがブレークを命じた後、攻めること。
g)
首の後ろ側、腎臓を打つこと。
h)
手の平で打つのを除く、プロレスで使う全てのチョップ。
i)
喉を打つこと。
※注意
プロレスで通常認められているキックは禁止する。
但し膝を着いたり、しゃがんでいる状態の時は、足または足の甲、足側を使って相手を倒す足払いは認められる。
ギブアップを迫る場合は相手に意思表示をするチャンスを与えなければならない。
大きな反則を犯した場合はレフリーが失格を宣言できる。
6.規定
a)
ボクサーは立っている時はボクシングのルール。
寝技になってもパンチが打てる。
途中でレスリングスタイルに変更する権利を持つ。
b)
レスラーは反則と規定された他のプロレスルールに従う。
2人共に立っている時はパンチできる。
ホールドしている時はパンチできないが腕で打つことができる。
c)
競技者がロープに触れた時はブレークとなり、リング中央に戻る。
d)
競技者がロープ外へ出た場合は20カウント内にリングに戻らなければならない。
e)
パンチでダウンした時は、8カウントを数え、その間は攻撃してはならない。
判りづらい部分もありますが、アリに有利なルールであったことに間違いないようですね。
以上(^O^)/
アントニオ猪木
珠玉の名勝負コレクションvol.36-2でした!
次回は世紀のスーパーファイトの1Rから15Rまでの経過をお届けします。
どうもアリガト~(-o-)/
コメント
2015/08/04 23:09
24. >>23 アギーさん
ヘビー級もそうだけど黄金の中量級にもスゴイのが沢山いた(^∧^)
シュガー・レイ・レナード、マービン・ハグラー、トーマス・ハーンズ、ロベルト・デュランの4選手ならプロレスラーと言えども、なかなか懐に潜り込めないだろうね(^^)
返コメ
2015/08/04 22:45
23. プロレスとボクシングどちらが強いか?
興味のあるテーマだよね。
今だと、総合格闘技の視点が入るから、プロレス優位に思うけど、この当時のヘビー級ボクサーの評価はとても高かった。
レスラーは警戒して、踏み込めないよね。
返コメ
2015/08/04 22:37
22. >>19 殉星のシンさん
動体視力っていうのかな(-。-)
やっぱ世界王者は違うよ(^.^)
現に猪木サンも胴体タックルに
失敗してるしね(-_-;)
それにカウンターがあるから
迂闊に踏み込めない。
アリがヘビー級のボクシングに革命をもたせたと言われてる要因の1つにカウンターパンチがある。
他には華麗なステップワーク。
殴りあいだけのヘビー級ボクシング界にアウトボクシングを導入したアリに若手のプロレスラーなど足元にも及ばないと思うけどな。
返コメ
2015/08/04 22:04
21. >>18 コテツさん
若い時の猪木サンのアゴはかなり
しゃくれてたね(・o・)
あれは自信の表れだよね(^ー^)
返コメ
2015/08/04 22:02
20. >>17 ファンキーさつき![[野球]](https://img.550909.com/emoji/ic_baseball.gif)
![[グッド(上向き矢印)]](https://img.550909.com/emoji/ic_good.gif)
さん
そうなんだよね(^.^)
アリが居たからこそ世紀のスーパーファイトとして後世まで語り継がれる試合が成立したんだから(^^)
マス大山が猪木に稽古つけた時に、どさくさに紛れて「次はウチのウイリーとやらんかね。」って言ってきたらしいぞ(* ̄∇ ̄*)
意外とチャッカリしてんだ、あのオヤジ(* ̄ー ̄)
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2015/08/04 21:57
19. >>7 ☆コイサン☆さん
タックルして倒せば余裕なんじゃない? ボクサーとプロレスは噛み合わないけど
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2015/08/04 21:06
18. こんばんは(^^)/
アリ戦は勝敗うんぬんよりボクシング王者をプロレスのリングに上げた事ですなぁ(^^)
それまでの過程がやっぱアツイですわぁ!
若く雄弁なアントンしびれました(^^)b
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2015/08/04 19:52
17. >>14 ☆コイサン☆さん![[手(パー)]](https://img.550909.com/emoji/ic_p_hand.gif)
![[猫2]](https://img.550909.com/emoji/ic_cat02.gif)
![[決定]](https://img.550909.com/emoji/ic_ok.gif)
![[グッド(上向き矢印)]](https://img.550909.com/emoji/ic_good.gif)
ごきげんよう
だろうね
だが、この対決が実現した事が素晴らしい
(  ̄▽ ̄)
次は熊殺しウイリーウィリアムスかな?
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2015/08/04 19:26
16. >>15 レインメーカーさん
アリをプロレスのリングに上げるなんて、まず考えられない時代だったからね(・o・)
本当に奇跡だしアリに感謝だよね(^ー^)
猪木サンの名が世界中に知れ渡ったのはアリの御陰だからね(^∧^)
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2015/08/04 18:59
15. アリ陣営は、ピリピリしてたみたいッスね…。
確かに、アリにメリットのある試合ではないし、万が一アリが壊されたらって考えると、あのル-ルでも仕方ないかなぁ…って思いました。
改めて舞台裏を見てみると、試合を出来た事自体奇跡ですよね~("⌒∇⌒")
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