本と恋とおじいちゃん
30代前半  埼玉県
2021/05/14 11:22
本と恋とおじいちゃん
学生の頃、ある一冊の本に出逢いました。

女性が写っている表紙に目をひかれ、題名を読んだ瞬間衝撃が走った。

部活をしていたので夜一人こそこそ部屋で読んでいると内容が難しくてはて?これは一体なんの話なんだろうと思いながらも読み進めると
大人びた中学生の少女がたたの興味本意で近づいた新任高校教師と恋をする話。

少女はただ多感な時期に感じる好奇心でその人との時間を過ごしたけど、教師はどんどんその子にひかれていく。
内容はそこまで深くはなかったけど、中学生の時に読んだ私にとっては少女の危うさと瑞々しさに怖くて切なく感じた。
最近になってその本が久しぶりに読みたくなって読んでみたら。

あの時とは違う感覚で、本の世界に入れた。

二人は付き合ったけど、別れた。
でも、20年後再開した。

私は病院で働いている。
入院患者がいる病棟で。
もう努めて長いので、顔見知りの患者さんが何人かいてその中の一人に同じように本が好きな方がいる。
今はもう私のおじいちゃんみたいでとても可愛いがっていただいている。
毎月二人で読書感想会を開いているので、この本の話をした。

そうかぁ、時を重ねると本の読み方も理解も変わってくるから何度でも同じ本を読むのがいいね。

そうなの。

あの頃と全然違った。
怖くて切なく感じた話だったけど、歳を重ねた今の私が読んだら苦しくて切なかったけど二人に愛しさを感じた。

最後の一行に
恋とは堕ちるものと書いてあった。

そうそう、恋とは堕ちるもの。人を好きになるのは心で感じなさいね。その気持ちを大切に慈しめばきっと貴方にとって大切なものになるよ。

仕事中なのに思わず泣いてしまった。


昔出逢った印象的な本が、今の私に大切な言葉をくれる人との時間を与えてくれた。

物も人もご縁なんだな。
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