小説を読み終わると作者が何か記しておきたいのか分からないが『あとがき』を書く。
僕はそれを読まない。本編だけだ。

振り返ってみると、体調不良、人との関わり、毎朝の洗顔後に鏡に映る自分の顔が老けていくこととそれが嫌いな父親に更に似てきていて憂鬱な気持ちになること、精神崩壊してしまった先輩の分の仕事と後輩君の成長を背負ったことなど。

若い頃はオールとか言って朝まで遊んじゃおうぜ！！って言うことができた。無駄にカラオケ屋で朝を迎えることもあった。それも20代の頃までのことで、それからはしない。出来ない。
理由は単純で眠気と疲労だ。


今の僕は少し頭を冷やす必要があった。そうゆうことをしないといけないと思った。
夜、カメラとコーヒーを持って１人車を出した。
好きな音楽をかけて、西へ西へ。

夜の富士山が見たかった。夜の富士山は真っ暗で真っ黒で大きくて圧倒された。飲み込まれるんじゃないかと感じて少し怖かった。
空を見上げれば星がたくさん浮かんでいてキラキラ輝いていた。
肉眼でも分かるほど、天の川が見えた。

カメラを出して撮影の準備をしたが、いつも付けっぱなしにしているレンズだけしか持ってこなかったことに気付き、膝から崩れ落ちた。星空撮影用のレンズはずっと出番を待って玄関で待機中だ。

コーヒーを飲み、少し撮影して、またコーヒーを飲み、あとは何もしない。少し寒い。ふぅ～っと息を吐く。溜め息のような、そうじゃないような息をふぅ～っと。
プーさんの名言、『何もしないをしているんだよ』を実行しているように思えたが、そもそも何もしないためにそこそこ時間をかけてここまで来ているから複雑だ。どう捉えればいいのか難しい。

だんだん空が白んできて、明るくなっていく。
夜が明ける前に帰宅した。

今は眠気と疲労が押し寄せてきて、とても怠い。
まるでオールした朝のようだ。
でも、ほんの少しだけ心の中に余裕が出来たようにも思う。
また前に進めるかな。進めるよな。そんな事を思った。

またコーヒーを飲んでいる。
『あとがき』を、僕は読まない。

ーーーあとがきーーー