僕には１１歳になる大切な相棒がいる。　ブラクラブラドル・リトリーバーとボクサーの合いの子の雌で、顔はリトリーバーに似ているのだが、耳が少し小さくそして毛がボクサーのように短い。　この子は人間で言えばもうかなりの年のはずなのだけれど、毎朝鞭のような尻尾を振りまくりおはようの挨拶をしてくれる。　ただ、この尻尾が痛い。　所かまわず振り回し、物に当たればパンパンと音をだす。　たまにぐるぐる回りながら振り回すもんだからたまらない。　本当にあざが出来るのではないかと思う。　ともかく恐ろしく元気がよく、庭にリスや猫などが出てくると一目散で走っていく。　でも気の優しい奴で、決して危害を加えようとはしない。　ただ鬼ごっこをしたいだけなようだ。　最近、猫どもはこのパターンを理解してきたようで、この前など近づいた時点でいきなり鼻先を引っかかれてヒーヒー言いながら逃げてきた。　図体はでかいくせに犬らしくない奴で良く笑わしてくれる。

この犬は不思議な奴で、どうも僕の心が読めるらしい。　ちょっと酔っ払っている時など、からかってやろうと思う時があるのだが、こんな時は自分の寝床の中に入ったまま出てこようともしない。　無理やり呼ぶとブツクサと文句を言いながら（人間で言うと、「うっせーなぁ」とでも言っているのだろう）しぶしぶ出て来る。　がしかし、僕が何かの壁などにぶち当たり、落ち込んでいると気が付けば側にいる。　ただいるだけなのだが、心配そうにそっと僕の事を臥せった状態から上目遣いに見ている。　この仕草は普通の人間にもなかなか出来ない事であり、最大の愛情表現だと思う。

何時か犬ではなく、心の通う人にそっと側にいてもらいたいものだ・・・