これは前回の日記の続編である。

私と彼女は図書館を出た後、近くの喫茶店で食事して植物園に行った。
森を散歩していると、不意にカラスが舞い降りて来て私たちを威嚇した。
近くで営巣しているのかもしれない。

彼女は驚いて私にしがみついた。
腕に彼女の胸の感触が伝わった。
彼女は動転したのかカラスが去った後も私にしがみついている。
ふと目が合った。
どちらからというわけでもなくキスをした。

当時まだ少し純真な心を残す私は動悸が止まらなくなった。

「続きは…」彼女はまたVサインを作った。

お話がロマンティックだったのはここまでである。




「続きは２…２万くれたらいいよ」

Vサインの意味が私に通じなかったと知った彼女は言葉で明らかにした。
なんと彼女はそういう子だったのだ。
援交という言葉もない時代のこと、当時風俗にさえ行ったことがない私には全く無縁の話だった。

もちろん私は言下に断った。
だが、彼女は「中出ししていいから…」と食い下がった。
私は「えっ？中出しって？？」
当時の私は中出しの言葉さえ知らなかったのである。

言葉の意味を聞いて私は一瞬ゴクリと唾を飲んだ。
私は中出しはおろかナマさえ経験がなかった。
唾を飲み込んだ反動で「よし、乗ったぁ！」と喉から出そうになったところで私は我に返った。

私は無言で首を横に振った。
「ゴムつけるなら特別に１万でいいよ」
彼女は値引き作戦に出たが、財布には５千円くらいしかないことを伝えるとさすがにあきらめたようだ。
「じゃあしかたないね。家まで送ってくれる？」
彼女の家は札幌から１時間ほどの隣町、私は彼女を連れて車を取りに一旦自宅に行った。

彼女は家の前に着くと
「便利なとこだね。ちょっとおじゃましてもいい？」
私は彼女を部屋に通し、彼女が喉が渇いたと言うのでアイスティを作って出した。

前回の日記と同様に私と彼女はベッドの端に並んで座った。
（私の部屋に他に座る場所はなく来訪者は必ずここに座るしかない）←実は作戦(^^;;
ふと会話が途切れ、またキスをした。

「ねぇ、私のカラダってどのくらい価値があると思う？」
彼女は尋ねた。
「さあ…出せる人には２万でも３万でも価値はあると思うよ」
私は言葉を選びながら慎重に答えた。
「じゃあ５千円でいい、って言ったら？」
彼女は私の腕に胸を押しつけながらきいた。
「うん、それなら考え…」
私は迷う気持ちを伝えようとしたのだが、彼女は
「ホント！？」
と言葉を遮った。

彼女は立ち上がると同時にスカートを脱ぎ、次にパンツを脱いだ。
それからベスト、ブラウスの順に脱いで最後にブラを外し全裸になった。
私にはこの順で脱衣する女子は初めて、昼下がりの明るい部屋で堂々と全裸を見せる女子も初めての経験だった。

彼女は私にも服を脱ぐよう促すとベッドに仰向けになった。
有無を言わせぬ据え膳、体の押し売りと言ってもよい状況だった。
そして、今から考えると彼女のエッチは「事務的」と言うべきかもしれない。
私がベッドに入るとすぐに手コキ、硬くなったのを確かめるとローションを塗り「いつでもどうぞ」だ。

もちろんそんな事情がわからない当時の私は「サービス満点、至れり尽くせり」と感無量、
喜び勇んで1, 2分でフィニッシュ（もっと短かったかもしれない）である。
「とっても気持ちよかったぁ」と彼女が言ったところで私はそれがビジネスであることを悟った。

ところが…家を出る前に私が財布を開けると彼女はそれを制し、
「いらないよ」
「私にはＵ助くんの全財産だけの価値がある、それでいいよ」
私は完全にキツネにつままれたような感覚になった。

残念ながらこのときの彼女の心理は今でもわからない。