この日記は私が過去10年余りの間に経験したことに基づく推論である。
内容の正確さは保証の限りではないが、実情と大きく解離したものではないと自分では思っている。

業者と言ってもいろいろな形態があるようだが、女の子の裏にアポ取り係がいて女の子が誰かと会っている間に裏方が次のアポを取る、これが代表的な業態だ。
もと業者の女の子に聞いた話では、売り上げは多くの場合女の子と業者で折半だが、裏方がスムーズにアポを取ってくれれば１人でやるよりも稼ぎは多くなる。
札幌では効率追求のあまりクロスブッキングが横行、待ち合わせると大幅に遅刻、会うと早上げが多く、男性陣にはとかく敬遠される存在である。
そのためもあり大部分の業者は素性を伏せ普通の女の子を装ってサイトに出入りしている。

私がワクワクを始めた当時もすでにアダルト系の過半数は業者だったと思う。
これがあるときを契機に爆発的に増加した。
2009年の出会いサイト規制法改正である。

利用者の年齢確認が厳格になり、年齢認証を行わないと定型文以外のメールを送れないなど大きな制約がつくようになった。
メールを受け取ってもマナー返信以外のメールが返せないのではどうしようもない。
かくして自力で年齢認証できない女の子は大部分が業者に取り込まれることになった。

自力で年齢認証できないのはU18ばかりではない。
地方から家を飛び出して来た女の子には免許証も保険証もなく成人していても年齢認証ができないことは決して珍しくない。
業者はそんな女の子たちを取り込んで急成長した。
アダルト掲示板の募集の８割が「推定業者系」になったのはこの頃のことだ。

中の女の子にとってはトータルの稼ぎは多くなる代わりに単価は少なくなる。
裏方にとって単価よりもトータルの売り上げだけが関心事だ。
したがって売り上げは回転で稼ぐ、これが業者の宿命である。

かくして行き場のない女の子を取り込んで業者は急成長したが、リーマン後の不況が尾を引いていた当時のこと、男性側の需要は頭打ちでたちまち供給過剰、過当競争になった。
質より量の回転で稼ぐ業者は過当競争になれば値崩れは理の当然、２年ほどの間にデフォの相場がイチゴからイチ近辺まで下落してしまった。
2012年にはごく普通の10代女子と別イチでハメ撮りできた、と言えばいかに単価が下落していたか理解いただけるであろう。

2012年の末に政権が交代しその後少し景気は上向きになるのだが、個人消費が拡大するにはタイムラグがある。
翌2013年には女性にとって「別イチでもアポが取れない」ほどアダルト消費が冷え込み多くの業者が撤退して行った。
翌14年には少し盛り返すのだが、相場が上がらないためか業者は元が取れなかったのか、またすぐに撤退して行った。

2016年になるとアダルト系は男性の需要が回復し、それに合わせて業者も少しずつ戻ってきた。
ただ、男性陣の需要回復ほどに女性の数は改善せず、男性過剰となった。
当然今度は相場が高騰、こういう状況には目ざとい業者のこと、供給不足に乗じて札幌アダルトは東京以上の高相場になった。

今年になって少し男女比は均衡を取り戻しつつあるようだが、まだ多くの業者は高相場に拘泥、今後の見通しは不透明だ。
ここまでの流れを見ればわかること、札幌のアダルト市場は業者が増えれば相場が下がり、業者が減ると相場が上がる。
つまり、アダルト市場自体が業者主導で動いてきた、ということだ。

札幌以外ではどのような動勢となっているのか、私にはわからない。
最近相場が割れつつある東京などはどうなっているのか、私には興味深い。
やはりワクワクのアダルト市場は資本主義の縮図と言えそうだ。