レコードとカセットの思い出
最近また少しだけアナログレコードが静かなブームになっているらしい。
今のCDが世に出たのは1980年代、私の大学時代がちょうど過渡期に当たる。
私が大学に入った当時はまだレコードが主流、大学を出る頃には逆にCDが主流になっていた。
今から考えると当時としては驚くほど短期間でのパラダイムシフトである。
そのレコードであるが、一番の問題は聴いているうちに音が悪くなることだ。
レコードは繰り返し聴くうちに盤が傷み塵が詰まってプチッというノイズが混ざるようになる。
粗末に扱うと短期間でノイズだらけに劣化してしまう、レコードはそういう神経質なメディアだったのだ。
そして、LPレコードは直径が30センチもあり、持ち出して聴くなど問題外のことだった。
レコードの劣化を抑え、外でも音楽を聴くため、レコードはカセットテープに録音して普段はそれを聴く、これが当時の主流だった。
そのカセットテープであるが、こちらはレコード以上に劣化が生じやすい。
カセットテープは伸びたり傷ついたりして劣化が早かったため、当時の人が聞いていた音楽の大部分は多かれ少なかれ劣化した楽曲だったと言える。
ところで、CDが世に出た当時から言われていたことではあるが、原音をより忠実に記録できるのはレコードの方だ。
CDのデジタル信号は「3.14159265…」を「3.14」のように必ずどこかで四捨五入して成り立っている。
CDは当時のデジタル技術がネックとなりその信号密度が当時の処理能力に見合う規格とされたため、一部のオーディオマニアには物足りない規格となった。
だがCDはその携帯性のよさと劣化しない特性が受けてあっと言う間にレコードと置き換わってしまった。
当時の苦労を経験した人にはこの「劣化しない」ことが最大の魅力だったのだ。
CDの10年後に録音メディアとしてMDが世に出て来ると、あっという間にオーディオはCD, MDのデジタルが主流になってしまった。
そのMDも1円玉より小さいフラッシュメモリーにMD 100枚分以上の楽曲を収録できるようになった現在ではその役割を終えてしまった。
時代の変化とは恐ろしいものだが、今から当時を振り返ってふと気づいたことがある。
レコードの中のお気に入りの曲を編集してマイカセットテープを作る。
当時車の中でかける音楽はこのカセット作りも醍醐味の1つだった。
今のように倍速録音などなかったから、60分のカセット1本を編集するにも数時間かかった。
「渚のカセット、好きな歌だけ詰め込んで」
「できたばかりの僕のカセット、聞かせてあげる」
は決して誇張ではなく、当時としては手間暇かけた努力の結晶だったのだ。
今ではツタヤやゲオでCDを5~6枚まとめて借りて、それを1時間もかけずにiTunesにコピー、適当に選曲してiPhoneに同調させるだけ、この作業には音楽にかける努力も情熱も不要だ。
現代人から音楽に対する思い入れが薄れているのにはこんな事情もあるのかもしれない。
コメント
2018/12/11 8:18
12. >>11 トムとジェリーさん
おはようございます。
レコードが現役ですか。
今から考えるとそれも正解かもしれませんね。
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2018/12/11 4:08
11. U助さん はじめまして 質問ひろばの回答を拝見して来ました 分かりやすい文章 読ませますね レコードは我が家では現役です
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2018/12/05 19:56
10. >>9 かんざきさん
こんばんは
ソニーのウォークマンが世に出たのは私が高校の頃でしたが、あれは本当に画期的でしたね。
そう、ジャズは昔のものはCDで出されずレコードしかないものも多かったので、今でもジャズバーではレコードをかけているところがありますね。
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2018/12/05 17:32
9. お疲れ様でございます
こんばんは〓
私もウォークマンで自分で編集したカセットテープを聴いていました️
CDが出た時は、本当に凄い、画期的と思ったことを覚えています。私が、よく行くジャズバーには、レコードが何千枚と、所狭しに並べられており、リクエストをすると、直ぐに探して曲をかけてくれます。
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2018/12/04 23:09
8. >>7 みーさん
バッハやモーツアルトの時代は「宮廷音楽」ですが、蓄音機のなかった時代はオルゴールだったと記憶しています。
19世紀の英国には流しの音楽家とかも盛り場で活躍していたそうです。
現代ではYouTubeのように携帯やPCで手軽に見られるメディアにどんどんシフトしていますね。
未来のミュージシャンはYouTuberが大半、という時代が来るかもしれませんね。
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2018/12/04 22:56
7. >>6 U助さん
録音機のなかった時代は、楽譜を録音機代わりにしていたのでしょうかね?
楽譜を読んでピアノなりの楽器を弾いて楽譜通りに再現するみたいな。
それはさておき、現代の主流はYouTubeなりで誰かが上げた曲と映像を見て音楽を聴くという人が大半なのだろうけど、やっぱり人間の特性として音質や画質よりも、便利さお手軽さを優先するのでしょうかね。
CDがレコードにとって代わったように(^_^;)
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2018/12/04 22:46
6. >>5 みーさん
こんばんは
たしかに、娯楽が少なかった時代には音楽の娯楽価値が高かったのでしょうね。
音楽が大衆文化になった今では複雑な旋律が絡み合う壮大な楽曲は出て来る素地を失ってしまったかもしれません。
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2018/12/04 22:36
5.
こんばんは。
音楽に対する思い入れ。
確かに昔と今とでは温度差がありますよね。
考えてみると今では神様扱いされているモーツアルト、ベートーベン、バッハなどが名曲を作り上げたあの時代、その音楽への思い入れの熱さはレコードの時代よりも更に上。
それを考えると、やはり娯楽の種類が少なければ少ないほど、それに特化した良いものが出来上がるのかなと思ってしまいます。
音楽というジャンルに関しては、いくらこの先便利な再生機が発達していこうとも、根本である曲の発達は過去を越えることはないのかなと感じます。
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2018/12/04 22:26
4. >>2 バラバラさん
こんばんは
そうみたいですね。
特になぜか若い世代が増えていると聞いたことがあります。
ノイズと音飛びに悩まされていない世代だからかもしれませんね。
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2018/12/04 22:24
3. >>1 豊玉(年内、多忙につき休みがち御免)さん
こんばんは
私は結婚前にレコードプレイヤーを捨てるときにレコードも全て捨ててしまいました。
今から考えるとかなりもったいないことをしました(^^;;
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