爆発の科学
先日、札幌で恐ろしいビルの爆発事故が起きた。
死者が出なかったのが不幸中の幸い、被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げたい。
この爆発事故だが、木造長屋の端に入居していた不動産屋の中でスプレー缶100本余りのガス抜きをした後に湯沸かし器を使ったところ爆発が起きたという顛末だった。
建物は吹き飛んで隣の居酒屋の客を含め40人以上が負傷、50メートル離れたマンションの窓が割れ、数百メートル離れた車の窓も割れる、相当な規模の大爆発だった。
死者が出なかったのは奇跡的かもしれない。
爆発という現象は物が燃焼する1形態で、数十分の1秒のような短時間に一気に燃焼が生じて瞬時に膨大な燃焼ガスが発生する状況のことだが、爆発自体によって発生するものはその燃焼ガスによる圧力と衝撃波だけだ。
実は兵器の研究などにおいては従来から言われていたことだが、単純な爆発による殺傷力はきわめて低い。
爆弾が破壊力を発揮するのは爆発によって外殻の金属片を高速で周囲に飛ばすからだ。
爆発時に発生する衝撃波というものは現象としては爆音の一種であり、爆発によって音速を超える空気の流れが生じたときに発生するものだ。
普通の「音」と異なりエネルギー密度が大きいため当たると硬いものでも砕けてしまう。
おそらく数十メートル先のマンションの窓が一斉に割れたのはこの衝撃波によるものだろう。
これまで建物の中で大爆発が生じた場合、中にいた人はほとんどが助かっていない。
爆発によって生じた爆圧によって圧死してしまうか、壁を反射してくる衝撃波を受けて砕けてしまうかのどちらかだ。
その意味で今回のように建物が跡形もなくなるほどの大爆発でその爆発の瞬間を目撃した人が生存しているのは奇跡に近い。
今回の事故で死者が出なかったのは建物が脆弱で、爆圧によって一瞬で吹っ飛んでしまったおかげなのかもしれない。
だから中にいた人は圧死を免れ衝撃波を受けることもなかった。
ここには防災の観点から重要なヒントがあると思う。
まさか家を建てる時にドリフのコントみたいに大風が吹けば吹っ飛んでしまうような家を建てる人はいないだろうが、危険物を扱う工場などで万一の爆発事故に備え爆圧を建物から瞬時に逃がせるような工夫など、今回の事故を教訓に今後に活かせることが必ずあるはずだ。
大きな災害があったときはそこに教訓を見出すこと、これが重要だ。
コメント
2018/12/23 22:02
8. >>7 コウノスケさん
こんばんは
最初はいろいろな情報が飛び交っていましたが、入居していた不動産屋の中で100本以上のスプレー缶のガス抜きをして、湯沸かし器を使った途端に爆発が起こった、という結論になっています。
返コメ
2018/12/23 21:20
7. かなり後からのコメント失礼します。
現場検証の結果、プロパンガスのガスもれと言うことを何かで目にしたけどそれで合ってます?
ガスって見えないから恐いですよね…
返コメ
2018/12/19 19:52
6. >>5 まどかさん
こんばんは
本当にそうですよね。
近所に住んでいた人は落雷のような爆音と地響きがしたそうです。
返コメ
2018/12/19 11:50
5. こんにちは(^-^) 死者が なかった事が 本当に 良かった ガス爆発 怖いです…
返コメ
2018/12/18 12:37
4. >>2 ハダシさん
なるほど、言われてみれば塗料工場などもスレート屋根になっているところがよくありますね。
すでに万一のときには上に圧を逃す工夫がなされているんですね。
こちらこそ勉強になりました。
ありがとうございます。
返コメ
2018/12/18 12:34
3. >>1 (株)こうたさん
なるほど
可燃ガスは単体では意外に爆発しにくいものですが、建物が古くなると中を舞う埃も多くなり、その埃がロウソクの芯のような媒体になって粉塵爆発が誘発された、たしかに可能性としてはありそうですね。
返コメ
2018/12/18 12:26
2. なるほど
勉強になりました。
以前からプロパンガスのボンベ庫は外壁や搬入扉等は相当頑丈に造ってますが、屋根はスレート波板で造ってます。万が一の時に上方に圧を逃がし、周囲に被害が及びにくくしてるんですね。
返コメ
2018/12/18 12:21
1. これは、建物が、古いから
スプレーの可燃物と埃による
粉塵爆発の融合で起きたのではないのかな?
とも、思うのですが
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