エッチの後、シャワーを浴びて洗面台の鏡を見る。
鏡の向こうにはハゲ散らかって額にしわが寄った中年、というよりは老人に近い男がいる。
鏡に映った自分を見ながら私は思う。

「こんなジジイとセックスのお相手をしてくれる女の子がいるなんて、本当にいい世の中だ」

そう、私はまた「ハズレ」を引いて帰ってきたのだ。
先々月のような快進撃(怪進撃?)は長く続くものではない。
先月の半ばからは「大凶」→「小吉」→「凶」…のような出会いを繰り返している。

「大吉」、「中吉」、「末吉」のように「吉」にいろいろな段階のある神社のおみくじとは違い、
「大凶」、「凶」、「やや凶」のように「凶」にいろいろな段階があるのがワクワクの出会いだ。
大凶を引くのが嫌ならワクワクでアダルトな出会いを求めてはいけない。

以前の日記に書いた通り「脚色」や「拡大解釈」しながら日記を書くうちにイヤな思い出は薄れ、楽しかった部分だけを思い出に残すことができるようになる。
だが、脚色が通じるのはせいぜい「やや凶」くらいまで、どんなにご都合解釈しても「大凶」が「吉」になることはない。
それが最近少し変わってきた。

自分を客観視することで大凶女子以上に天中殺レベルの自分を自覚することで、会ってくれる女子がいるだけで感謝できるようになってきたのだ。

「年をとるのは素敵なことです。そうじゃないですか？」
「忘れっぽいのは素敵なことです。そうじゃないですか？」
「悲しい記憶の数ばかり飽和の量より超えたなら、忘れるより他ないじゃありませんか？」
中島みゆきの歌「傾斜」の一節だ。

年をとればイヤなことはすぐに忘れることができるようになる。
年老いた自分と比肩することで相手を受容できるようになる。
自分に無理難題を望まないようになる。

案外年をとるのは悪いことではないのかもしれない。