前回の日記に続き、ネタがない。
そこでまた昔話である。
人間、年を取ると昔話が多くなる、しかも同じ話の繰り返しが多くなる、その典型であるが、年寄りの昔話としてお許し願いたい。

もう10年以上前の私がサイトを始めたばかりの頃、ハメ撮りのアポを取ったときの話だ。
相手は20代ふつう体型、待ち合わせは郊外の団地の一角にある公園、早く着いた私は缶コーヒーを買い公園のベンチに座った。
到着を伝えるメールを打っていると突然背後から女の子が声をかけてきた。

「ねっ、何してるの？」
細身で未発達の体型、中高生くらいだろうか。
私は「ちょっと休憩…」とことばを濁した。
地味な顔立ちで見ようによっては20代に見えなくもない。
「もしかして待ち合わせの人？」
と私が尋ねると、彼女は納得したように
「違うよ」
とだけ答え、去って行った。

その後現れた待ち合わせ相手はプロフとは大違いの推定30代半ばの小太り女性だった。
私がお断りしようと思案していると、相手もそれを察したらしく私が口を開く前に
「やっぱりダメかぁ」
とつぶやいて去って行った。

私が彼女を見送っていると、背後からまた声がした。
「こんにちはっ」
先ほどの女の子だった。
「かわりに私じゃダメ？」

夜の歌舞伎町ならこの手の後追いは珍しくないが、団地内の公園で遭遇することではない。
当時の私はサイトを始めて日が浅く経験値も低かったが、「これには何か裏がある」ことだけは感じた。
ただいろいろ思案を巡らせてもどういうカラクリになっているのか見当がつかない。

こんなさびれたところでポン引きのおこぼれ狙いをするのはどう考えても効率が悪い。
この彼女が本命だとすればわざわざプロフ違いの小太りを当て馬にする必要はない。
何より私が現地に着いたことを伝える前に彼女が声をかけてきた事情がさっぱりわからない。

とりあえず自分が考える時間を稼ごうと思い、条件を伝えさらに「ハメ撮り」希望であることも伝えた。
私は相手が引く、あるいは考え込むことを期待したのだが、意に反して彼女は全て「大丈夫だよ」「平気だよ」
あっという間に話がまとまってしまった。

話がまとまってしまったので、私は訳がわからぬまま彼女と近くのホテルに行った。
彼女は色白で細身の割に弾力がありエッチのときには細いウエストをしならせる。
謎だらけの子だったが写真にも映え、抱き心地もよい、私は大満足だった。

ところが、家に帰ってから事件が起こった。
写真のメディアが故障したのか読み込み不能になっていた。
薄暗く不気味な印象の老朽団地で得体の知れない女の子との出会い、私は一瞬自分が出会ったのが魔物か妖怪の類なのかと錯覚してしまった。

もう覚えている人はいないことと思うが、これは10年前に書いた日記「背筋の凍った物語」(2011.07.31)の再編である。
10年前の日記はこのとき感じた恐怖をモチーフに怪談風に書いたものである。
今回は今でも解けない彼女との出会いの謎に焦点を当てて日記にしてみた。

どなたかこの彼女の謎を解明してください(^^;;

※ 写真は２年くらい後にデータ復元ツールで復元した彼女