非人道的なのは熊を殺すことではない
先日札幌の住宅地の近くにヒグマが現れ駆除された。
札幌市には熊を射殺したことを非難する苦情が相次いだとのこと。
その意見の多くは「熊を殺さず生け捕りにして山に放せばいいじゃないか」のような内容だったと言う。
私の先輩で猟銃の免許をもち趣味でエゾシカ猟をしている人がいる。
彼は札幌猟友会に加入しておりヒグマ駆除にも参加している。
現在北海道ではヒグマの駆除は地元の猟友会に依頼して射殺するのが一般的だ。
彼の話ではヒグマを射殺するに当たっては2~3人のハンターが銃を向け一斉に撃ち、1撃で射殺するのが原則だそうだ。
「手負いの熊」という言葉がある通りクマは負傷すると凶暴化する習性があるためだ。
麻酔銃など眠らせようとすれば麻酔が効いてくるまでの数分間住宅街に「手負いのクマ」を放し飼いにしてしまうだけだ。
(麻酔弾が当たった瞬間に気を失うのはテレビだけの話、実際には薬液が血流に乗って脳に到達するまで最低2~3分が必要)
また、檻などに捕獲するにはその方法論が問題だ。
ヒグマはものを咬む力は大型犬と同程度で大したことはないが、前肢の力はトラやライオンよりも強大な「怪力の持ち主」である。
その腕力は立ち木をへし折るほどに強く人間などはジャレつかれただけでも死んでしまう。
近づくと非常に危険なのだ。
鎧などで身を包んでもこの怪力は防げない。
卵をスポンジにくるんで鉄の箱に入れてもそれを2階から落とせば中の卵は割れてしまう。
鎧では銃や刀剣の鋭い衝撃を跳ね返すことはできても大きな力を吸収させることはできないのである。
それに加えてケガや刺激などで凶暴化しやすいヒグマの習性を考えると住宅街でヒグマを捕獲するのは方法論として難しいだけではなく危険でもある。
将来ヒグマを迅速、安全に捕獲するための手段が開発されれば話は別だが、現時点ではその方法がないのだ。
ここまで考えてヒグマを射殺しなければならないのは非人道的と言えるだろうか。
ここでもまた一番の問題は「無知」である。
無知による市民感情を納得させるには正しい知識を広めるのが正解のはずだ。
いつもこの手の報道を見て思うこと、報道は事実を伝えるのが使命であるが事実のみを伝えるだけでは無知による誤解を生じるのは避けられない。
知識を深めるための「報道特番」もありこちらを見れば基礎知識もある程度深まり多くの誤解は解消される。
しかし現在のネット社会では断片的な事実の報道があっと言う間に日本中に広まるのに比べ、正しい理解に必要な知識は興味をもって見た一部の人にしか伝わらない。
たった一言でよい。
「ヒグマを安全に生け捕りにするのは非常に難しい」ためヒグマは射殺された。
これを追加するだけでこのニュースを見た人が感じることは大きく違ってくるはずだ。
それをせずに事実だけを流せばそれでよしとする報道の姿勢、これを非人道的と言わずして何とすべきか。
コメント
2012/04/24 20:20
17. >スザクさん
こんばんは
私はその小説を読んだことはありませんが、自然界においては人間はクマはもとよりイヌにも勝てないほど弱いものです。
クマは日頃おとなしい動物ですが、本気を出さなくても人間を殺せるほどの力の差がありますから、自分を襲おうと思っていないクマであっても目の前にいるだけで非常に危険なものですよね。
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2012/04/24 20:14
16. >琴洙吉さん
コメントありがとうございます。
「情報は武器」というのは本当にその通りだと思います。
そしてこの場合もそうですが、情報は両刃の剣、伝え方によってとらえ方も異なる、これが怖いところです。
「街にクマが出たので撃ち殺しました」
「クマを安全に生け捕りにするのは非常に難しいため射殺されました」
たったこれだけの違いで聞いた人の反応は大きく違いますよね。
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2012/04/24 19:38
15. 古い話になりますが…『三毛別羆事件』
あれをご存知の方であれば、そして大切な家族、
お子さんを持つ方であれば、『捕まえて山に放てば』
とばかりは、言っていられないかと…。
ただ、秋田県のクマ牧場の方は、少し哀れな気がします。
脱走出来る環境下で餌を十分に与えない環境で、
人が飼養しておきながら逃げたら射殺、ですから。
人が人の社会を守る上で、他の生物を駆逐する。
他の種族では至極当然の『正義』ですが、
それに異を唱える方は、人の力を過信し過ぎ
なのかも知れませんね。
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2012/04/24 19:09
14. 前にシャトゥーンという小説を読んでから、漠然と思っていた熊のイメージが恐怖に変わりました
可哀想なんて言う人は熊に出くわしてみたらいいと思います(笑)
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2012/04/24 18:33
13. 柔道家を雇えばよかったですねW
言葉が雑ですみませんでした
)
情報は武器だから
使い方しだいでどうとでも変化しちゃいますね
その中で『熊がかわいそう』と思う人もいれば『我が子の安全が守られた』って思う人もいて
情報のとらえ方がその人の『答え』のような気がします
苦情が意外と多かったとゆう事は、日本人は熊さん大好きだったのでしょうW
(私の感じたままコメントしました
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2012/04/24 17:35
12. >ちびすけ(*´∇`*)さん
こんにちは
その通りです。
クマはヌイグルミなどで人気のキャラクターなので「かわいそう」と思う人がいるのは当然ですが、かわいそうと思うだけでは問題は解決できません。
問題の根底になっていることを多くの人に考えてほしいと思いこんな日記を書いてみました。
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2012/04/24 17:32
11. >Marvellousさん
コメントありがとうございます。
日本では麻酔銃は一般人には手に入らないものなので、麻酔銃を使うにはまずそれを撃てる人を育成する必要がありますね。
射殺はイカンと主張する人たちに麻酔銃のトレーニングを率先して受けてもらうのもアイデアとしていいかもしれません。
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2012/04/24 17:28
10. >うるお【クソ真面目>sir】さん
こんにちは
そういう見方もありますね。
私が考えていたのは、中途半端な情報で「クマがかわいそう」という感情を煽動してしまう今の報道姿勢こそが最も問題なのではないか、というあたりを結論においていたのですが、大局的にはもっと大きな視点で捕らえるべきですね。
人と自然、共存が難しい理由は多くの場合人が自然の脅威に対して弱すぎる存在であること、難しい問題です。
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2012/04/24 17:22
9. >一堂くんさん
こんにちは
その通りですね。
人間の都合で排除される動物の立場で考えると人間の身勝手さが露呈します。
具体的な解決策が限られる中で人の被害を最小限に抑えることを考えるなら、現状では選択肢が限定されてしまいますね。
返コメ
2012/04/24 17:17
8. >小町。さん
コメントありがとうございます。
ニュースだけを見れば「殺すまでの必要はないのでは?」と感じるのは当然だと思います。
他に安全にヒグマによる危険を解決する有効な方法がないことを多くの人が理解していれば、このような論争は起こらずに済んだのではないかと思ったわけです。
人間と自然(野生)はできるだけ共存を目指すべきだとは思うのですが、自然の力は人間にとって脅威であり危険であることも少なくないですよね。
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