希代のモテ男 ~ 親和力の人
決してイケメンではない、スラッと背が高くかっこいい訳でもない、なのに女性にモテる、そんな男がいる。
若者であれば珍しいというほどではない、だが、50を超えても変わらずに女性にモテる、これは奇蹟に近い。
私が彼と知り合ったのは4年前、オフ会にお誘いいただいたのが縁で、私もたびたびオフ会や内輪の飲み会に参加させていただくことになった。
不思議なことに彼は必ず若い女の子を携えて来る。
当時は女性の多くいるお店を経営していたので、私のために気を利かせて店の女の子を連れて来てくれたのかと思ったが、そうではない。
大部分は彼の個人的な「仲良し」の女の子だった。
彼と差し飲みのつもりの飲み会にもアイドル級の美少女を2人連れて来てくれたことに私は感激よりも驚愕してしまった。
柔和なものざしと落ち着いた口調の話し声、男女間、恋愛の機微に精通しそれは人生観にもつながって行く、彼の話を聞いているといつの間にか彼のとりこになってしまう。
なぜ彼がここまでモテるのか、この時点で私にはまだ理解できなかったが、私の年齢で彼のような友人を得たことは本当にうれしかった。
その彼が3年前の秋にバーを開いた。
性的な楽しみの真髄は会話の中にある、会話を通じて非日常的な大人の楽しみを得る、そんなコンセプトの店だ。
2週間ほどして私は店を訪ねた。
マスターが1人、タバコをくゆらせている。
客はいない。
開店直後だったからかもしれない。
彼は「半分道楽で始めたような店なんだからこれでいいんですよ」と笑った。
私にとって彼と差し向かいで話ができる初めてのチャンスだった。
終電まで5時間以上、ただただ彼との会話を楽しませていただいた。
彼の話は含蓄が深く飽きることがない。
「この店は当たる」、私はそう確信して帰った。
店は時を追うごとに常連客が増え、ほどなくして土日はもとより平日でも夜10時過ぎには満席の賑わいになった。
私は足繁く、とは行かなかったが機会を見つけてはバーを訪ねることにした。
1~2ヵ月に一度のペースでは常連とは言えないだろうが、私としては初めての「行きつけのバー」だ。
夜10時になるとカウンターに美人スタッフが入るのだが、私は美女よりもマスターとの会話を求め店が混み始める前の8時~9時を狙って訪ねた。
差し向かいで話ができるときもあれば早くから大勢が集まっている日もあった。
店にはもともとSMの重鎮、巨匠であった彼を慕うお客さんが多かったが、中には私のような単純エロオヤジや好奇心だけの若者もいる。
だが、時間が経つにつれいつの間にかカウンターの話題が1つにまとまり、客は皆マスターの話題に取り込まれている。
世の中にはいろいろな人がいる。
自分からはあまり話をしたがらない人、話し出すと止まらない人、彼はその全てを受け入れ、話をしない人は聞き役として話の輪に取り込み、話好きな人には要所を抑えつつ全体の盛り上がりを引き出す。
彼には全ての人を引きつける抜群の親和力がある。
私はやっと彼が希代のモテ男である理由を理解することができた。
SMのような難しい嗜好をかなえるには何よりも意志の疎通、信頼関係が最重要だと彼は言う。
無尽蔵の知識の宝庫に卓越した話術、「コミュ障」ということばがあるが彼はそれと対極の「コミュニケーションの天才」だったのだ。
その抜群の親和力をもって自分がモテるだけではなく、多くの人が1つ所に集まるコミュニケーションの場を作りたいという願いを名前に込めた彼が先日急逝されました。
彼から多くのことを学び、そしてこれからもますます多くのことを学びたいと願っていた者として、この悔しさ、悲しみは表現のしようがありません。
一緒に店を盛り上げてくださったスタッフの皆さまの悲しみはいかばかりかと存じます。
彼と出会えたことに本当に感謝しつつ、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
コメント
2016/02/27 14:27
40. >>39 U助さん
普通は、出会いサイトは家族や知人に隠れてこそっとやるものですから、亡くなっても、周りの人が本人のID使って日記などで報告することは出来ないし、やり取りしてた人に伝えることはないでしょから。最近日記の更新もないし、定期さんがいてもお誘いもないし、って思うのが関の山ですからね。私も10年ほど前定期さんが沢山いた時があったのですが、多分その時にパタッと逝っても、誰も気付かなかったでしょうね。
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2016/02/27 10:44
39. >>38 さっクンさん
おはようございます。
つい先日までお元気だったので私も本当に愕然としました。
突然いなくなっても誰にも気づかれないのは私の場合も同じです。
出会いサイトの性質上、他の大部分のユーザーもおそらく同じでしょう。
彼の場合、家族以上に彼を大切に思う女性がいたこと、ワクワクでも彼の周囲にそんな女性たちがいたおかげで最後まで礼節を貫くことができたのです。
その意味でも彼は「希代の英雄」だと思います。
返コメ
2016/02/26 23:55
38. いやーびっくりしました。しばらくワクワクにアクセスしてなかったので。私はU助さんを通じてしか知らないですが、つい先日まで日記も更新されてますよね。
そんなに年代も離れていませんから、回りでも、近い年代の方が亡くなったりしますから、ほんと自分自身もいつ何時パタパタと逝くか。まあ、私は居なくなっても、誰も気付かれないでしょうが。
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2016/02/26 16:25
37. >>36 U助さん
一度早い時間にお店に伺ってお会いしたのですが、とても温厚な方で、またお話ししたいなぁと思っていたのですが、残念でなりません。
突然過ぎて…
御冥福をお祈りいたします。
返コメ
2016/02/26 16:00
36. >>35 BISさん
おひさしぶりです。
残念ながら本当のことのようです。
今週の月曜日にBARの公式HPに公示が出て、今朝ご本人のアカウントからご挨拶が出ております。
冥福をお祈りしたいです。
返コメ
2016/02/26 15:08
35. お久しぶりです。
今みてびっくりしました。
一堂さんが亡くなられた?
どういうことことなんでしょうか?
本当なんでしょうか?
返コメ
2016/02/25 16:29
34. >>33 なおさん
私もずっと何かの間違いかジョークじゃないかと思っていました。
明日は皆様のおじゃまにならない程度にくつろがせていただきたいと思います。
返コメ
2016/02/25 15:50
33. U助さん~(T-T)
突然のことでびっくりしました…
生き返ると思っていました
お店にいらした際は是非ゆっくりしていってくださいね。。
返コメ
2016/02/25 12:15
32. >>31 くまちゃんさん
コメントありがとうございます。
コメントをいただくたびに彼が本当に多くの方に好かれていたことがよくわかります。
お互いにご冥福をお祈りしましょう。
返コメ
2016/02/25 11:02
31. 初めまして
あまりにも早すぎる訃報に悲しみです。
いつもこんなちいさな存在の自分を支えて下さいました。
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