【読書】No.05 国境事変(誉田哲也)
40代後半  神奈川県
2012/02/13 15:13
【読書】No.05 国境事変(誉田哲也)
・単行本:367ページ

・出版社: 中央公論新社 (2007/11)

・読書開始日:2012/02/03

・読了日:2012/2/12

・定価:¥ 1,680

『出版社/著者からの内容紹介』
何者かが密かに上陸し、不穏な空気漂う長崎県対馬。東京・新宿の片隅で発生した在日朝鮮人殺人事件。捜査を巡り、対立する警視庁捜査一課と公安外事二課。己れの「信じるもの」を追い求め、男たちは国境の島へ向かった…。

『感想』
「北朝鮮」「在日」「反日教育」「工作員」「拉致」「国際問題」「政治」「金」「公安部」「刑事部」これらがキーワードになって書かれた作品でした。浅く広く歴史や情勢や思想を理解して追い付いていかないと上辺をすくって読んでしまうので、本に負けないように勉強しながら頁を進めました。それぐらい誉田さんが情報収集や勉強をして作品を作った行程の奥行きを感じましたね。

ここは東京や大阪じゃない。国境なんですよ!国境を侵された国境事変なんですよ!といまから始まる殺人現場での思いやり取りはジャックナイフのような鋭い切れ味と冷たさを感じた。

北朝鮮を憎み存在を憤り、北朝鮮の血が流れた在日の英男。川尻から接近され工作員として生きる道を選んでから死を覚悟していたかも知れない。けど最後の場面は仕事場で読んでましたが熱い気持ちにさせられ自然と涙が出てきました。

行かないで、行かないでいいんだよ、英男。英男、やられてしまうよ。そんな思いを活字にぶつけながら読む進める心は苦しく痛かったです。北朝鮮を変える革命を起こすためなら在日の血から逃げるのでなく自分から向かう道を選んだ英男。

銃口から放たれる咆哮が聞こえるたびに英男の身体は無残にも銃弾が切り取っていく。SAT、特殊警察、自衛隊の全てが犯人らと距離を詰め制圧をかける。そして死ぬ前にかすかな声で川尻に伝えた言葉「勝手にごめんなさい」川尻の顔面はくしゃくしゃに崩壊し「お前って奴は・・・」

現場にこだまする「犯人確保!」「確保!」国境を死守した英男の生き様、僕は支持してあげたいです。歴史背景など勉強しながらも出逢えてよかったそんな深い作品です。
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