自然体
コロナが広まる前、
ある通勤電車での事。
いつも乗る電車より、1本早い電車に乗った。
朝の通勤電車は、同じ時間同じ車両に乗ると大体顔ぶれが一緒で、知り合いではないけど割と顔見知り感が出てくる。
まぁ1本早い電車なので、アウェイ感…笑
ひとつ先の停車駅が、大きい駅なので
人の入れ替わりが激しく起きる。
その日はちょうど、その駅から
席が空いて座ることが出来た。
僕の座った目の前に、女性が立つ。
すらっとした30代半ばくらいの綺麗な女性。
電車が動き出す…
女性は揺れる電車の動きに合わせるように、吊り革を掴む。
吊り革をつかんだ女性の、ピンと伸びた小指にドキリとした。
女性らしいしぐさと言うか、こう小指を立てる女性特有の…あれ。
想像力がある種豊かすぎる自分は
エロスを感じてしまった。
朝から、何を馬鹿な。
でも、とてもとても気になってしょうがない。
彼女はああやって、掴むんだ。
あのエロい感じに小指を立てて、
ああ、なんていやらしいんだ…
あっという間に乗り換えの駅だった。
未だに、ひとつ先の駅で
その女性の姿を探す。
あれ以来、その女性を見かけていない。
あれは…幻?
ある朝のエピソード。