救世主現る
先日、いつも通勤時に使用している電車にて
信号トラブルが起きた。
リモートワークが広まって、多少空いてきたとは言え、それでも乗車率はなお高い朝方の電車。
そこへ来て、ダイヤが乱れたもんだから
駅のホームも改札もごった返していた。
もちろん電車もパンパン状態。
乗るには乗ったけど、身動きが取れない電車…いつもだるい朝が、なお辛い(><)
駅に着く度に、押しあいへしあいで乗る方も、降りる方も一苦労。
そんなごった返す、社内で大きな声が響き渡る。
なんだ!喧嘩か!
と一瞬ドキッとしたが、
「女の子降ろしてあげてください。小さい子降ります」
と男性の低くハッキリした声が繰り返す。
どんな人が声を出して、どんな女の子が降りたのか
ごった返す車内では、全く分からなかったが
明らかに、女の子が通るであろう動線が開き、降りたのだろうなと思われるタイミングでまた人が乗ってくる。
姿は見えなかったけれど、さぞかしイケメンなお兄さんだったんだろうなぁ…
と見えなかったヒーローの姿を想像する。
大の大人でも満員電車の乗り降りは一苦労だから、通学時間の小さい子、特に女の子だとはたまったものではないよね。
ああ、いうシチュエーションで
瞬時に気づき、行動ができる人って凄いなぁって思う。
そんな事を考えていた、同じ日の違う電車にて
僕が降りるのと同時に、電車に駆け込もうとして来た女性がつまずいて、電車とホームを橋渡しする感じで倒れた。
目の前で起きた突然のことに、一瞬固まったが、「大丈夫ですか?と手を差し伸べる」
しかし、車内にいたおじさんの方が
わずかに早く手を差し伸べて、
女性はおじさんの手をとって立ち上がる。
僕はそのまま手を引っ込めて、
足早に改札へ向かう。
車内では、一躍おじさんはヒーローかなぁ…
なんて思いながら、差し伸べたあの手のことを考えると恥ずかしい。
そうか、僕がヒーローになるのは
まぁまだ先だな。
大事なその時まで、とっておこう。