サンタがくれた素敵なプレゼント、その中身とは[クローバー]
70代以上  大阪府
2018/01/14 6:17
サンタがくれた素敵なプレゼント、その中身とは[クローバー]
 
☆ ☆ ☆ 

うちの介護施設で一番の若手職員、ミズキちゃん。
高校を卒業したあと、フリーターを経てこの世界に入って来た。
仕事熱心で、とてもがんばり屋さん。



そんなミズキちゃんが、初めてのクリスマスイベントの主催に抜擢された。

大はりきりで、率先して飾りつけやらBGMの選曲やらではりきっていたのに。



でもなんだか浮かない顔・・・



「どうした? なんか悩み事でもあるんか?」
僕がそう尋ねると。

「すいません、ちょっと・・・」
言葉を濁す。



「介護っていうのはチームプレー。一人で抱えてたらあかんで。困ったことがあればメンバーみんなで共有して解決していくから」

「ありがとうございます。実は、徳次郎さんのことなんです」



徳次郎さんと言うのは施設の利用者さん。
90歳をこえた、なかなかの難しい人。


話を聞いてみると、徳さんはクリスマスパーティーの参加を断固として拒否しているらしい。


「クリスマスなんてアメリカの文化やないか。戦争でわしの家は焼夷弾で焼かれた。そんな国のまねごとなんかできるか。クリスマスなんて大っ嫌いや[exclamation]
とかなりのご立腹。


「クリスマスと戦争とか関係ないのに・・・」
ミズキちゃんは悲しそうに顔を曇らせる。


「確かにその通り。でも戦争を体験した人は、いまだにその癒えない傷を引きずっている人もいるからね」
僕は説明した。



「どうしたらいいんでしょうか? どうしたら参加してもらえるんでしょうか」

「介護っていうのはね、利用者さんの望む暮らしのお手伝いをすること。相手がイヤなことを無理強いするんは、それは職員の自己満足になるから」

そうは諭してみたものの、毎日遅くまで頑張っているミズキちゃんの労にも報いてあげたいし。






☆ ☆ ☆

さてクリスマスの当日。
職員はクリスマスの仮装をする。


トナカイ姿のミズキちゃんはかわいくてええねんけど・・・
「なんで俺だけ節分の鬼の仮装やねん? クリスマスと関係あれへんやん」


「すいません、仮装が足らなくて。☆美さんに相談したら、『先輩は笑われるのを喜ぶから、鬼やらせとったらええよ』と言われたもので・・・」
頭を下げるミズキちゃん。


ナンデヤネン[exclamation]

☆美っていうんは、日記によく出てくる、生意気な後輩である。
あいつの方こそ鬼だ。


でも利用者さんからメッチャ笑いを取れたから、まあ良しとしよう(笑)



みんなでワイワイとゲームをしたり歌を歌ったりしていると、車いすで遠巻きにこちらをチラチラ見ている徳さんがいた。


「徳次郎さんもこちらで楽しみましょう」
ミズキちゃんが声をかける。

「アメリカの文化みたいなもん誰が参加するか」
あいかわらずな徳さん。


でもわざわざ覗きにきてくれるっていうのは、やっぱり気になるからなんよね。

とは言え意地を張った手前、「参加したい」とも言いづらいみたい。

人って誰も心のうちに寂しさを抱えていて、でもそれを素直に表現できず頑固になったりしてしまうことがあるやん。

これは高齢者とか若者とか、介護を受ける側とか介護士とか、そんなんいっさい関係なくね。



「ミズキちゃん、ちょっと小芝居やってくれへんか」
僕は彼女に耳打ちして、クリスマスツリーの赤や緑のランプの配線を緩める。



「あれ? 電気が点いたり消えたりします。どうなってるんでしょうか」

「ホンマや、故障かな」

ミズキちゃんと僕が打ち合わせた芝居をする。
うまくいくかどうか不安やけど。



「どうしたんや」
遠巻きにしていた徳さんが車いすを操作してやってきた。


「ああ、徳さんええとこに。ほらこれランプがおかしいねん」
僕はツリーを指さした。


「わしに見せてみいや」
徳さんは配線をチェックする。

徳さんは長年電気屋の仕事をしていたから、職人の魂が揺さぶられたんやろな。



「ああこれ、配線がゆるんどるだけやがな」
そう言いながら元に戻してくれた。




「徳次郎さん、ありがとうございます」

「さすが徳さん」

ミズキちゃんと僕がお礼を言うと、徳さんはちょいと照れた顔をした。



「徳さん、お礼にケーキなんかいかがです」

「ケーキか、わしは甘いもんはあんまり好きやないけどなあ」

と言いつつも、徳さんはまんざらでもなさそう。



「ミズキちゃん、徳さんにケーキをお持ちして」

「はーい、すぐお持ちしますね」


すると徳さん
「一番大きいやつ頼むで[グッド(上向き矢印)]






☆ ☆ ☆

その後またみんなでゲームや歌で楽しむ。

すっかり徳さんもなじんでいる。



そして記念写真。

「おい、わしにもあんな帽子ないんか?」

徳さんは、他の利用者さんがかぶっていたサンタ帽を指さした。


「あれっ? 徳さんサンタ帽かぶりたかったんや」
ツッコミを入れると

「なんにも無いと、このハゲ頭が寂しいからな」
笑いながらそう答える徳さん。



「徳さん、その帽子よう似合ってるよ。はいピース」
サンタ帽の徳さんと、トナカイの仮装のミズキちゃんの2ショット写真を撮った。

二人ともいい笑顔やね[グッド(上向き矢印)]



「クリスマスもまんざら悪くないな、また来年も頼むで」
すっかりニコニコ顔の徳さんは、これまた笑顔のまぶしいミズキちゃんと握手していた。



ミズキちゃん企画のクリスマスイベントが成功して良かった。
一生懸命に作り上げたからこそ、利用者さんに喜んでもらえたんよね。


徳さんもひとりで寂しい思いをしなくて、良かった良かった。






☆ ☆ ☆

クリスマス。

それぞれの胸にいろいろな思いはあれど、みんなが笑顔で終わってホンマに嬉しい。



もしかしたら、サンタクロースっていうのは実在するのかもしれない。

ただサンタがくれるプレゼントは、お菓子でもおもちゃでもなく、きっと「笑顔」なんやろな。

そんなことに気づかせてくれた。


クリスマスに起きた小さなミラクル、とても嬉しかったお話[クローバー]
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コメント

40代半ば  福岡県

2018/01/14 7:25

6. おはようございます♪
クリスマスイベントが最終的に無事
皆さんで成功された様子

日記の最後の文の
サンタの本当のプレゼントは『笑顔』
の一文に
此方まで笑顔にさせられました❣

朝から良い日記を読ませて頂き
ありがとうございましたぁ(ノ∀`*)

70代以上  新潟県

2018/01/14 7:22

5. 
ジジィの 意固地さ
(よく居ますよね 頑固者)
ガロ兄の 露出プレイ
(寒い時期に腹巻きアフロのみって!)

ミズキちゃんの 
健気で献身的な 優しさ

皆様の笑顔 思い出
ホントに『サンタクロース』からの
プレゼントですね!

デモね!
サンタクロースは居なくなりましたよね
最近 オイラの処には 来てません……

70代以上  大阪府

2018/01/14 7:16

4.  >>2 Augusutさん
おはよう( ´ ▽ ` )ノ

ははは、ツンデレ、言いえて妙やな(笑)
ひとは、心の内に変わらないものもあれば、変化していく部分もあるよね。

どちらも、その人を形作る大切なワンピースだと思う。
( ^▽^) 

70代以上  大阪府

2018/01/14 7:11

3.  >>1 [リボン]リリコ[リボン]さん
おはよう(⌒‐⌒)

奇跡っていうのは、きっと日常のささやかなところに輝いているんやと思う。
それに気づけるかどうか、なんやろね。

ありがとう(^-^)

40代前半  東京都

2018/01/14 7:10

2. おはようございます。
徳さん、実はツンデレなおじいちゃんですね[泣き笑い]

戦争を経験した高齢者達は死ぬ時まで嫌な思いを引きずりますよね~。
例えクリスマスのようなイベントでも嫌がりますよね…。
それでも無意識に皆に笑顔のプレゼントする優しいサンタクロースになるんだろうな…って思いました[にこにこ]

70代以上  東京都

2018/01/14 7:08

1. おはようございます🌞素敵なお話ほっこりしました^_^

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