半分死んで産まれてきた赤ちゃん
「あなたは、半分死んで産まれてきた赤ちゃんだったのよ」
物心つく頃から、母にそう言われてきた。
半分死ぬ、その意味が幼いころの僕にはさっぱり意味が分からなかった・・・
★ ☆ ★ ☆
後に理解するのだけど、僕は産まれた時にへその緒が首に巻き付いていて、グッタリして母親の胎内から取り出されたらしい。
産声もあげることなく。
救命処置を取られようやく息を吹き返した。
その間の時間、
「一生で一番つらく長い時間だった」
と母は語った。
そして
「一生分の祈りを捧げた」
と。
「半分死んでいた」
という意味には、母の様々な思いがあったことを知る。
そのような出生の反動かどうか、その後の僕は病気知らず医者知らずで育った。
★ ☆ ★ ☆
日本文学史に名を刻む小説家の三島由紀夫は、作品「仮面の告白」で、自分が産湯につかった記憶があると記述していた。
それが本当かどうか知る由もないが、僕は幸いにも出生の記憶は残っていない。
それは忘れ去っただけなのかも知れない。
胎児は、母親の胎内にいながらも外で起きている様々な音を聞いているという研究報告がある。
だから、出生時の記憶が残っていても不思議ではないと思う。
母のくり返して語る出生時の話が記憶に刻まれ、自分の命は
「いただいたもの」
という思いが僕にはずっとあった。
だから子供の頃から「生や死」に対して関心が強く、その手の本をよく読んだものだ。
死とは決して遠い未来の世界ではなく、常に自分の隣り合わせにある感覚、それが誰よりも強かった。
★ ☆ ★ ☆
先日新しい保険証が交付された。
保険証には、脳死や心臓死の状態になった時の臓器提供の意志を示す欄がある。
脳死の場合、心臓死の場合、提供する臓器の種類など、細かく指定できるようになっている。
以前はずっと無記入だったけど、何年か前から提供を希望することを記入するようになった。
僕はこれまで献血を100回以上行い、現在は髪の毛をヘアドネーションで寄付するため伸ばしている。
ただ臓器の場合、血液や髪の毛とは違う感覚があるから、簡単には決められずにいた。
でも、自分が亡きあとにも
「何か人様のお役にたつなら」
との思いで提供を決めた。
★ ☆ ★ ☆
そもそも脳死は人の死かどうか、これは意見が大きく分かれるところだ。
脳が回復不可能な損傷を受けていて、心臓は動いていて呼吸もしている状態。
それを「死」と呼べるのか、それを受け入れられるのか。
これは難しくデリケートな問題だ。
脳は身体のトップにあり
「人の心は脳の活動から生まれる」
という考え方がある。
でも歴史をさかのぼると、古代では人体の中心は心臓にあった。
心臓を英語で「ハート」と呼ぶ。
ハートには「心臓」のほかに「心」の意味もある。
古代人はそこに人間の源が宿っていると考えていたらしい。
不思議な話だが、心臓移植を受けた人の性格が元の持ち主の性格のように変わったという報告もある。
最新の研究では、脳以外の様々な臓器も血流やホルモンやの増減に関わるシグナルを発していることが分かっている。
脳だけではなく、人体の臓器のネットワークが「思考」しているわけだ。
こう考えると、人の心っていうのは、髪の毛から足の爪先すべてに宿っていると言ってもいいかもしれない。
★ ☆ ★ ☆
父と母を充分な中でおくってやれなかった後悔が、今も僕にはある。
おかしな話だけど、人は誰もが死ぬって頭では理解はしていても、自分の家族に対してはその手の話は「縁起が悪い」と避けてきた。
でもこれは間違いだ。
ちゃんと語っておくべきだった。
死とは何か、これに対して誰も明確な答えは出せないだろう。
死ですべてが終わりなのか、死の先に何があるのか、これも誰にも分からない。
僕は宗教をやってはいないが、魂とか霊魂とかいうものの存在は信じている。
だから何十年かして僕が向こうの世界へ行ったとき、また両親に会えると信じている。
それは救いであり心の拠り所になっている。
一つ確実に言えるのは
「生きている時間は有限だ」
ということ。
その期限ある時間の中で、人は笑ったり怒ったり泣いたりする。
そしていつどのような形になるかは予測できないけれど、誰にも終わりの日はやってくる。
だから自分の死や家族の死に対して、普段からちゃんと向き合い考えておくことが必要だ。
そして限りある時間なら
「笑顔で過ごせる日を一日でも多く持ちたいな」
と願っている。
コメント
2018/10/19 6:05
31. >>30 夏妃なつき:日記整理中(^ー^;Aさん
ありがとう( =^ω^)
「海より深い母の恩」て言葉があるけど、そんな感じがするよ。
命懸けで産んでくれた。
だから子供って母親には頭が上がらないんだよね。
そうそう、赤ちゃんて産まれた時からけっこう目も見えているらしいね。
音は胎内にいる頃から聞こえているし。
そう考えると、どこかにその時の記憶が残っているのかもしれないな。
命の尊さ、あらためて感謝せずにはいられないと感じたよ。
返コメ
2018/10/18 23:12
30. ガロンさん(^-^)産まれてくれてありがとう(^-^)
お母様はほんとにそう思われたに違いない。
私自身、子持ちですが私のような母のもとで
君たち良かったのか?そう思う事があるんだよね。私の場合、必死で分からなくて、失敗だらけで、でも回りの人の手助けを受けてた。子供を持って沢山学ばせて貰った。なので息子たちに感謝です。一つ今分かること、赤ちゃんてなにも分からないっていうのは嘘だよ。ちゃんとおかあさんやら大切な人のところを見て呼んでるんだよね。
長文失礼しました(^-^)
返コメ
2018/10/18 17:50
29. >>27
もも
さん
お疲れ様(*^-^*)
考えてみればね、人類が誕生して何万年もたつわけでしょ。
その中で一人の人間の一生って、ほんとに点のようなもの。
でもその点は限りあるけど、無限大の密度がある気がする。
ここワクワクでも、同時代に生きているからこそ出会える縁があるわけでね。
(^^)
返コメ
2018/10/18 17:41
28. >>25 アギーさん
まさに「死を記憶せよ」って感じやな。
臓器売買の闇とかあって、東南アジアの子供の臓器が買いたたかれて欧米で売られている話も聞いたことがある。
どこまでが本当か判断できないけど、医学の「死」が絶対だとは俺も思えない。
どこかで線引きは必要だろうけど、危うさと脆さは否定できんね。
胸が苦しくなるのは、やっぱり心臓が感じているのかもね。
昭和初期に書かれた夢野久作の「ドグラマグラ」なんかは、今読んでも斬新過ぎて予言書めいている。
返コメ
2018/10/18 17:35
27. 今の私にはとてもとても心に響く染み渡るような日記でした。日々を悔いなく生きたいです…泣
返コメ
2018/10/18 17:34
26. >>24 みこさん
こんにちは(*^。^*)
8年前、いろいろあってそれを乗り越えてきたんだね。
抱えきれないくらい悩んで苦しむ時ってあるよね。
その扉を開いたら「なんであんなに悩んだんだろう」って後にスッキリすることもある。
頭の中の記憶だけやなく、人って体でも様々なことを記憶しているはずなんや。
ホログラム映像みたいに、一部に全部がつまっているみたいな感覚で。
魂にも、同じく思い出は刻まれていくんやなかろうか。
返コメ
2018/10/18 16:08
25. メメント・モリだね!
臓器移植に関しては、臓器売買やら何やらあるし、医者がやりたがる気持ちが強すぎて。
【死】を医療関係者だけで決めても良いのか、昔から議論が別れるよね。
ただ、中枢は末梢の奴隷という言葉もあるくらいで、身体は脳よりも心臓を大切に思っているんだろうね。
悲しかったり、切なかったりすると、頭ではなく胸が苦しくなる。
心は身体にも宿っていると思う。
返コメ
2018/10/18 15:05
24. こんにちは(・∀・)ノ
![[あせあせ(飛び散る汗)]](https://img.550909.com/emoji/ic_asease.gif)
仮死状態ってことですね
原因は知らないけど同級生にも同じ人いました。
自分にその時の記憶はなくても、お母さんの話を聞いてていつも愛情を感じてると、自然と生のありがたみを感じれるのかもしれないですね。
魂は永遠みたいなので、死は怖くないけど、今の自分は期間限定なので精一杯生きないとだなぁ。
と、今はそう思ってるけどつい8年前は死にたいと思ってましたが(^^;
返コメ
2018/10/18 12:07
23. >>20 ミワ/フォロワー受付てませんm(__)mさん
多かったのかもしれないな。
医療設備とかも、現在みたいに発達していなかった理由もあるのかも。
この日記のコメントだけでも同じような人が何人かいたからね。
そこで助かった命と、助からなかった命。
それを分けるものは何なんだろうか、って思わず考えてしまったよ。
それにしても4.2は逞しいなあ。
笑って話す義母さんも器がデカいし(^^)
死について考えることは、命を考えることに繋がるから大切だよなあ。
返コメ
2018/10/18 12:01
22. >>19 ポチャポチャコブタさん
うん、虐待の連鎖って、本当に不幸なことだなあ。
子供って親を選べないわけでしょ。
2種類のどちらの子供に産まれるのかって、人生が変わってしまうよね。
幼い子供とか特に逃げ場を持てないから、虐待される自分が悪いんだって間違って思い込むなんてことも多いらしいよ。
そんなことはないのに、そう錯覚してしまうことでさらに傷が深くなる・・・
自分がもし脳死になったら延命は望まないし、使える臓器は使ってもらおうって考えている。
自分の分身が誰かの命をつなぐって想像したら、嬉しくなるしね。
返コメ