真実と幻想、はざまで人は生きている
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介護施設の、ある70代の利用者さん
仮に「信子さん」と呼んでおこう
部屋を訪れると、信子さんはいつも笑顔で出迎えてくれる
「これ見てください、いいでしょう」
信子さんは、誰に対してもいつもおだやかな人だ
「このマフラー、先週に息子が買ってきてくれたんですよ、わたしの誕生日プレゼントに」
首に巻いたその『マフラー』に頬ずりしながら、ニッコリとほほ笑む
「本当に優しい息子なの」
でも、信子さんの息子さんは、何年も前に亡くなっている
そして首に巻かれたマフラーは、施設で使用しているタオルだ
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事故で息子を失ったショックを受け入れられず、信子さんはその後、虚構の世界で生きることになった
いや、虚構と呼ぶのは失礼だろう
信子さんの中では、今も息子さんは元気な昔の姿のままだから
こんな時、介護士やケアマネはどのように対応したらいいのだろうか?
「あなたの息子さんは既に亡くなっているのですよ、これはマフラーではなくタオル、現実を見てください」
なんて否定にかかる職員がいたら、冷淡だと言わざるを得ない
じゃあぎゃくに
「いい息子さんですね、素敵なマフラーですよ」
なんて話を合わせたらいいのか
これもまた正解ではない
その結果、妄想が酷くなってしまうことさえある
こんな時職員は
「受容」
ということを教えられる
「受容」、受け容れる(うけいれる)こと
相手の言葉を、肯定も否定もせず、あるがままにうけいれることが大切だと教わる
たとえ信じられなくても、その人の存在を丸ごと認めてあげる
これを「受容」という
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この「受容」という概念は、介護福祉士試験やケアマネの試験には必ず出題される
臨床心理学の世界でも出てくる
言葉を暗記するのは難しくないが、それを実践することはかなりの困難だ
あるがままにうけいれる、と言っても、つい我々は価値判断をしてしまう
「その考えは間違っている」
「そんなことはありえない」
なんて否定してしまう
思い返してみれば、昔学校で習った教科というのは、正解がある世界だった(それも一つだけ)
それをたくさん暗記しておけば、良い成績が取れた
ところが社会に出てみると、正解の導き出せない問題なんて世の中にはゴロゴロあふれかえっている
むしろ、簡単に一つの答えが出せるような問題の方が少ない
ある人の「正解」は別な人の「不正解」もあれば
ある人の「不正解」は別な人の「正解」もある
信子さんの世界は、第三者から見れば『虚構』かもしれないけれど、彼女にとっては守り抜きたい「真実」
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そもそも誰も100%の真実にも、100%の虚構にも生きられないと思う
それぞれ立ち位置は違っても、その間のどこかで生きているはずだ
日常生活では、職場や家庭、町内の人とのやりとり、友人同士の交流
それぞれでいろいろな顔がある
そのどれもが自分であって、どれが本当でどれが嘘かなんて決められるものでもない
ではこのワクワクはどうだろう?
アバターはどう見ても、その人の本当の姿ではないだろう
実物はアバターみたいにかわいくはないだろうし、皺もあれば髪も白かったり少なかったりする
「いや自分はアバターと瓜二つだ」
という人がいたら、謝っておくが(笑)
じゃあこのワクワクは完全なバーチャルか? と言えば、そうじゃない
にこやかに笑っているアバターの後ろには、泣いたり怒ったり、傷ついたりする生身の人間がいる
それは忘れてはいけないと思う
そこをおさえておかないと、簡単に誰かを中傷してしまう
「人を切り裂くだけの冷たい真実なら、むしろ、あたたかい嘘につつまれたい」
信子さんがそう教えてくれた気がする
コメント
2020/01/22 8:16
3. おはようございます
信子さんの中におられる
息子さんは今も優しい方のまま。そうそれが正に真実。人を余程苦しめ壊さない限りは現実と対峙する事だけが真実ではないと思います。夢でもいい。信子さんの毎日が息子さんからの愛で包まれておられるなら。大人になって人に対して最低限の想像力が持てない人間は不正解だと思います。自分さえ良ければいい。嘘がバレなければいい。黙っていたら穏便になる。素晴らしい日記に対する的確なコメ…私のボキャでは書けませんでした。コメは人が書いているんですよね^^
返コメ
2020/01/22 7:46
2. >>1 マリネさん
おはよう( ´ ▽ ` )ノ
なんでもそうだけど、否定するって簡単なんよ
だから自分の理解できないことについて、それをしてしまう
たとえ理解できなくても、そのことを受け止めてあげられたら
その人とのつながりは生まれる
俺も、あらためてそのことを考えてみたよ
返コメ
2020/01/22 7:34
1. おはよガロ兄ちゃん@o(^o^)o@
うんうんわかる
その人がたいせつにしたい世界
それってだれも否定しちゃいけないよね
その人の幸せって
その人がきめたらいいんだもんね
返コメ