見えない、だからこそ温もりを感じたい
◇ ◆ ◇ ◆
何年か前の話になる
視覚障がい者のための「ガイドヘルパー」の資格を取りに、講習に通ったことがある
これは、目の不自由な人の外出をサポートするための資格だ
講習ではペアを組み、ガイド役と視覚障がい者役に分かれて実地訓練をする
視覚障がい者役はアイマスクを装着するので、前が見えない
これが想像以上にたいへんだった
人は、情報の8割を視覚から得ていると言われるが、それを遮断されると、たまらなく不安にとらわれる
たとえ遮る物が目の前に何もなくても、見えない状況だと、なにか壁のようなものがある気がしてくる
不安で、一歩を踏み出しにくくなってしまう
また逆に、ガイドする側もこれまた難しい
「何もないから大丈夫ですよ」
とつい口にするけど、言われた方は、何がどう大丈夫なのか分からないから、不安は消えない
だから徹底的に具体的に説明する必要がある
「目の前に障害物がありますよ」
これではダメ
「5歩歩いた先に、5㎝くらいの地面の盛り上がりがあります」
みたいに細かく伝えないといけない
説明の技術もそうだけど何より問われるのは、ガイドの信頼性だろう
命を預けているわけだから
◇ ◆ ◇ ◆
そんな実習中に衝突が起きた
定年退職した60代の男性と20代の若い女性のペアが喧嘩を始めた
「アンタあほなん、なんで指示の間違いばかりするんよ」
「いや、ワシも一生懸命やってるがな」
「こんな爺さんと一緒にやりたくないわ、ペア代えてよ」
「誰が爺さんやねん、ワシもペア代えてくれ」
こんな感じで
とりあえず昼休みになったので、俺はその男性を誘って飯に行った
講座の申し込みの時に一緒だった縁もあるから、話をしようと思って
「なんであんな小娘に偉そうに言われなあかんねん」
と男性はブーブー怒っている
俺は
「確かに、彼女の口のききかたも感心はでけへんね」
と同意しつつも
「でもここで年齢うんぬんは違うと思う」
そう答えた
「若くても歳とってようと、同じ受講者には違いないやん、ここで年齢を持ちだしたらあかんのんとちゃいますか」
「そやな・・・」
神妙な面持ちの男性
「それと一生懸命やってるから間違えてもええわけないでしょ、命あずけてるパートナーなんやから」
そういう話をした
まあ、そういっぱしに語ってる俺も、学びに来ている同じ受講生なんやけど(笑)
◇ ◆ ◇ ◆
いよいよ講習の最終日
最終試験が行われる
これは実際に街へ出て、電車に乗って繁華街へ繰り出す実地訓練だ
目的地の喫茶店でお茶を飲んで、ガイドと視覚障がい者の役割をチェンジして戻ってくる
もちろん、一方はアイマスクを着用している
プールの訓練を受けた者が実地で海で泳ぐ、そんな感じかな
俺のパートナーは同年代の男性
彼の肘のあたりをつかみ、ガイドに従い歩いていく
電車の乗り降りはホームとの間にすき間があるから、特に注意を要する
階段も難しいけど、動いているエスカレーターに乗り降りするのは、ガイド側も視覚障がい者役も一段と緊張した
お互いのペースと呼吸を合わせないと事故につながる
「一人では歩けないけど、パートナーがいるから歩ける」
そう実感する
全行程を無事に終えて、パートナーと感謝と労わりの言葉を交わしあう
見ると、喧嘩していた例の60代男性と20代女性のペアも笑顔で感謝しあっていた
良かった良かった
世の中には、実際に体験しないと分からないことがたくさんある
ガイドヘルパーの講習では、貴重な体験ができ多くの学びを得られました
◇ ◆ ◇ ◆
その後ガイドヘルパーの資格はとても役立ち、利用者さんからも高い評価をいただきました
しかし、自分のこれまでの人生は、しょちゅうつまづいて転んできた感じがする
特に恋愛ではね(笑)
「プライベートでは転んでも、仕事では利用者さんを転ばせない」
それがプロです(キリッ)
コメント
2020/08/23 14:30
9. >>7 かよさん
自分でも前回のチンコ日記との落差にイヤになるくらいで
あ、またチンコて書いてもうたがな('◇')ゞ
共感力か、これはなかなか難しいね
人はそれぞれ感受性も生きてきた経歴も違うから、同じものを見て体験しても、違う思いを持つはず
良かれと思ったことがおせっかいになったり、距離をとったら冷淡と誤解されたり
うまくいかないことも多いんよ
返コメ
2020/08/23 12:56
8. 見える人の『視点』を伝えるのは難しいよね。
分かりやすさを、素早く適切に丁寧に伝えるのは大変。
昔、俺もやったけど、目か隠しして付き添われて踏み切りを渡るのは怖かったなぁ。
関係ないけど、目隠ししてエッチすると感度が上がるとか。←
返コメ
2020/08/23 12:49
7. それは、相手にとって、とても助かることです。
ガロンさんの「共感力」は、本当にピカイチ!!
渡辺淳一さんの「鈍感力」になぞらえて、ガロンさんの「共感力」って本出して欲しいくらい。(笑)
同人誌からどうでしょう?(笑)
返コメ
2020/08/23 12:43
6. 「障害物や、距離感の説明を間違えたら」命取り。
障害をもつ者とサポートする者、両者共々、危険のないように、緊張しながら慎重に歩く・・・。「本当にそうだなぁ。」と思いました。(最初けんかしていた)60歳代の方と20歳代の方も、ガロンさんのお話で最後はお互いを理解しあって、手を取り合って実習を終えられてよかったです。(^^)いつも思うのは、ガロンさんが、「それぞれの立場の方々の気持ち」に寄り添いつつ、「違うことは違う、ダメなことはダメ」と言うから、言われた方も納得する。ということです。
返コメ
2020/08/23 12:31
5. こんにちは。前の日記と続けて読んだので、真面目な内容の日記とのギャップに「ギャップ萌え」してしまっている私。(笑) ガロンさんの読者を鷲掴みにする手法に、「思考と感情をがっちり鷲掴み」されてしまいました。(笑) 「視界を遮られると、何処にどんなものがあるか具体的に言わないと不安になる。」というのは、勉強になりました。「情報の8割を視覚から得ている」のなら、不安にならない訳がない。 さまざまな年代の受講者がいる中で、「年齢を持ち出すのは如何なものか?」 「視覚障害者の方の命を預かる」介助者に、
返コメ
2020/08/23 8:36
4. >>3
もも
さん
おはよう(^-^)
8割の情報が遮断されると、半径1メートルくらいの世界でもスムースに動けなくなってしまうんよね
ふだんどれほど視覚に頼っていたのか、それがよく分かった
当たり前が当たり前でなくなると、いろいろなことが分かってくる
転んで恋愛が上達するのは大歓迎だよ(笑)
返コメ
2020/08/23 8:16
3. おはようございます
視覚は人にとり大切なものなんですね。ひとつまた知れました^_^ありがとうございます
恋愛は上手くいかない方が上手くいく方に繋がっていく
️とすっころんできた私は思っています←意味不Σ(・□・;)
返コメ
2020/08/23 7:38
2. >>1 マリネさん
まい丼(^-^)
ヘルパーとか初任者研修でも視覚障がい者への介助を少し学んだと思うけど
あれをさらに専門的にした感じかな
ぜひやってみるといいよ
恋愛のヘルパーか
それはヘルパーステーションに頼んでも派遣してくれんやろな(笑)
返コメ
2020/08/23 7:28
1. おはよガロ兄ちゃんo(^o^)o
すごく勉強になったわ
アタシもガイドヘルパーとりにいきたくなったよ
でもお兄ちゃんは
恋愛のヘルパーがいるよねw
返コメ