その日、本を買うため街へ繰り出した俺は、後ろから名前を呼びかけられた。
振り返ると、小柄な身体全体から、バキバキとエネルギーがほとばしっている感じの女性が立っている。
「あ、姉さん
![[exclamation]](https://img.550909.com/emoji/ic_biccuri.gif)
」
懐かしさが胸にこみあげてきた。
数年前まで一緒に介護の仕事をしていた鈴子さんだ。
鈴子さんが60歳の定年で仕事を退いてから、久しぶりの再会だ。
お茶でも飲もうと喫茶店に入る。
「姉さん、今何やってんねん?」
俺が尋ねると
「見て分からない?」
と鈴子姉さんは両手を広げる。
「女子高生よ、現役のね」
「女子高生やて
![[!?]](https://img.550909.com/emoji/ic_question.gif)
」
思わずコーヒーが気管にはいってむせかけた。
話を聞いていくと鈴子さん、今はスーパーでパートをやりながら定時制の高校に通っているらしい。
「ほら、私って昔から勉強嫌いだったじゃない」
「そやな。職場の研修とか、いつも俺が肩代わりに参加してやったもんな」
そう返すと鈴子姉さんは舌をだして首を縮める。
「私、中卒で介護始めて、他の事なんにも知らなくてさ」
コーヒーを飲む事を忘れ、俺は話に聞きいる。
「でもね定年になって、介護以外に何も知らない自分に気がついてね。いろいろ学びたくなったのよ」
「で、定時制に通ったわけや」
「うん、ほんとはセーラー服を着て通いたかったんやけど、旦那にそれは止められてさ」
「当たり前や、それは犯罪やがな」
俺は愛情をこめてつっこませていただく(笑)。
「今ね、凄く楽しいんだ。65歳になって、今まで知らなかった世界が見えてきてね」
姉さんは目を輝かせていきいきと語る。
「孫みたいな同級生と一緒に学んでるんやな」
「失礼な。せめて子供みたいな、と言いなさいよ」
姉さんは俺の頭を笑いながらポカリとたたく。
現役の介護士時代、姉さんは誰より元気だった。
その元気さはまったく衰えていない。
むしろ昔よりずっと若く見えるくらいだ。
「実は俺も、介護士の傍ら大学で心理学を学んでいるねん。卒業したら大学院に進学したいんよ」
「いいねえ、ぜひ大学教授を目指しなさいよ」
「大学教授か、それも悪くはないな」
二人は夢中でお互いの夢を語りあった。
いつしかコーヒーはすっかり冷め切っていた。
鈴子姉さんを駅までおくる。
改札をくぐった姉さんは両手の親指を立て、ダブルでグッドラックサインをしてくれた。
「お互いに、まだまだ人生これからだよ」
力強くそう宣言した。
俺もグッドラックを返す。
向こうがダブルならこっちはトリプルや。
両手にプラスして片足も挙げる。
靴を履いているから足の親指まではわからないやろけど(笑)
これは大うけで、鈴子姉さんは手をパンパンたたいて喜んでくれた。
「姉さん、キラキラ輝いているで」
人生に遅すぎる事はない。
いつからだって、どこからだって新たなスタートはきれるんやからね。
現役の女子高生とのデートは、とても楽しい時間やったで
コメント
2016/02/17 5:55
2. >>1 ぎんじろう猫(=∵=)さん![[るんるん]](https://img.550909.com/emoji/ic_note.gif)
おはよう
そやねん、学割で映画が観られる身分なんや。
まだ使った事はないけどね(笑)
人生のやり残しをね、ひとつひとつ片づけていきたいと思っているんよ
返コメ
2016/02/17 5:46
1.
|ョ'ω'〃)おはようございます♪
確かに現役女子高生ですね(笑)
ガロンさんも大学生なんですね。
何かを目標に進む、見習いたいものです。
返コメ