呪われた大黒天
70代以上  大阪府
2016/10/29 5:20
呪われた大黒天

前回の日記で取り上げた、下書き状態のままアップされなかった
「77本の未公開日記」
その中の一編を、今回は蔵出しいたします。


かなり不気味な話なので、怖い話が苦手な方は、ここから先はご遠慮ください。



  ↓↓↓↓



Sさんは70代。
活動的な男性で、小さな会社を経営していた。

ある時、仕事の出先で骨董市が開かれていたのに出会う。
古い瀬戸物や書画などを売る店がいくつか出ていた。

「これはお宝があるかもしれない」
Sさんはちょいと覗いてみることにした。



もちろんSさんは、骨董の目利きができるようなマニアではない。
しかし趣味が歴史なだけに、古い物に対する関心があった。


そこで見つけたのが、黒塗りの木彫りの大黒天。
米俵に腰をかけ、背中に大きな袋をせたらえた、おなじみの福の神「大黒様」だ。


「これはいくらですか?」
Sさんは店のあるじに尋ねた。


分厚い眼鏡をかけた、若いんだか年寄りだかわからない骨董屋のあるじは
「お客さんが値段をつけてください」
とモゴモゴ喋る。


「ならば千円でどうかな?」
からかい半分にでたらめな値段を提出すると

「まいどあり」
とあっさり、あるじは大黒天の仏像を売ってくれた。


「掘り出し物が安く手に入ったぞ」
とSさんは大いに喜び、家の居間にそれを飾った。





ところがそれから悪いことがたて続けに起きる。



階段から足を滑らせた奥さんが足を骨折。

仕事へ行く途中の娘さんが引ったくりにあいバッグを盗まれる。

Sさんの会社も取り引き先とトラブルを起こし、かなりの損害を出してしまった。


「なんでこんなに悪いことが続くのだろう?」
Sさんは悩んだ。



「お父さん見てよこの仏像、顔つきが変よ!」
娘さんが例の大黒天を指差した。

確かにその通りだった。
柔和だった大黒様の顔が、なにやら険しくなっている感じがした。
穏やかだった笑顔が不気味な薄ら嗤いに変わっている。



さすがに怖くなって、その道に詳しい人づてに聞いた
『拝み屋』
へ、Sさんはその像を持ち込んだ。

拝み屋とは、まじないや霊祓いなどを生業とする人である。

拝み屋、のイメージから「白髪の老婆」みたいなのを想像していたSさんだが、その人は50代くらいで「ごく普通の主婦」といった感じの人であった。
魔除けのためか、首から三連の翡翠のネックレスをかけていた。



ところが大黒天の像を見るなり、拝み屋の目が白眼に変わった。



「あんた、これをどこで手に入れたんや[exclamation]
詰問するかのような拝み屋の声。

Sさんは震える声で、それまでのいきさつを話した。



拝み屋のおかみさんが、大黒天をあちこちいじっていると、とつぜん像の首が急にポロリと落ちた。



「これはカラクリ仕掛けやね。見てみなさい、中が空洞になっとるんよ」
拝み屋が大黒天を逆さまにすると・・・
中から、髪の毛やら爪のきれはしやらがポロポロこぼれ落ちる。


そして幾重にも折りたたまれた半紙が。


拝み屋がそれを開くと中には、どす黒い血のような色で、男女の名前が裏向きに書かれていた。
漢字やら記号やら判読できない気味悪い文字もびっしりと書き連ねてあった。


「裏向き」つまり「恨む気」という意味を判じた呪い文字である。



「おそらくね色恋沙汰の三角関係やろね。呪いをこの像に封じこめたんよ」



大黒天は、日本では福の神として祀られているが、元はヒンズー教の荒ぶる神シヴァである。
戦国時代の武将は、敵方の呪殺に用いたことがあるとも言われている。


いや、そもそもこの像は本当に大黒天なのだろうか?
姿は似ているが、まったく違う邪神の可能性もあった。

そしてどのようないきさつで、あの骨董品屋にわたったのか。

恐ろしい呪われた像を手に入れたSさんは、まるでもらい事故のように祟られてしまったのだ。



オカルトにはまったく興味がなかったSさんも、一連の災いから、さすがに拝み屋の言葉を否定することはできなかった。
まとまった金を払ってお祓いを頼み、その場を後にした。





呪いはとけて、これで一件落着、となったのだろうか。

それは誰にもわからない。
なぜならそれから間もなくして、Sさんが行方不明になってしまったからだ。

仕事に失敗して蒸発したとも、なにかの事件に巻き込まれたとも。
さまざまな噂が飛び交った。
しかし真相は不明のまま。

今、Sさんはどこで何をしているのだろう・・・・・・



あの呪われた大黒天は、今もどこかの骨董市に並んでいるのかも。



いくら安くても、正体のわからない仏像なんか気安く手に入れるものではない。





★★★

また機会を見つけ、残りの未公開日記76本も公開したいと思っています。
コメントする

コメント

70代以上  大阪府

2016/10/30 5:48

38.  >>35 土竜~天勅黒龍王《ハロウィンコスプレ中》さん
なるほど[ひらめき]

さすれば、呪術を請け負っているプロが背後に存在している可能性がありますな。

そうなるとさらに怖くてやっかいな話であります[たらーっ(汗)]

70代以上  大阪府

2016/10/30 5:44

37.  >>34 エリ[るんるん]Ca ira mon amour♪さん
ですよね。
どんな邪念が封じ込められているかわからない。

特にわけありで、泣く泣く手放してしまったものとかは、持ち主の後悔の気持ちが残っているような気もしますね。

70代以上  大阪府

2016/10/30 5:39

36.  >>33 夏妃なつき・晩秋ですな(* ̄∇ ̄)ノさん
いわゆる「霊感体質」の人は、見たくないものまで見えてしまうから、苦労するらしいよね。

お祓いしてもさらに近づいてこられたら、これは怖すぎるわ[あせあせ(飛び散る汗)]

50代前半  埼玉県

2016/10/30 3:28

35. このての呪術は基本を踏まえてるからプロの仕事ですな

(・ω・)

50代半ば  大阪府

2016/10/30 0:28

34. すごく興味深いお話でした[ぴかぴか(新しい)]

生きてる人の念は強いですよね
骨董品とか中古品とか古着は、前の持ち主の気が宿るので、私は買えないです[あせあせ(飛び散る汗)]

買ったら、御線香とかで気を抜くといいらしいですょ

50代後半  長野県

2016/10/30 0:26

33. こんばんはー(((((゜゜;)こっちでも生き霊を祓うお方がおるそうな。しかしながら祓ってもらっても呼んでしまう人もおるようだ。亡き母が霊感が強くて苦労してたよ。おかしな魘され方をしていたんで、必死に起こした事がありますだ。連れていかれる事があると聞いたんで。調べてちゃんとしたお寺さんで供養して貰うのが一番だと思うよ。

70代以上  大阪府

2016/10/29 23:47

32.  >>30 れんげさん
残念ながら俺には呪う力はないで。
動作がのろいとこはあるけど(笑)

あかん、いつものダジャレコメントになったがな[たらーっ(汗)]

70代以上  大阪府

2016/10/29 23:45

31.  >>29 一三【時々休み】さん
およそ常識を越えた不思議な力を持った人は確かにいると思うねん。

会ったことの無いお母さんと同じ泣き姿…

その神付きのお婆さんも、きっとそんな力を持った人なんやろね。

50代前半  大阪府

2016/10/29 22:52

30. 怖い話は苦手な私。やめとこうと思ったのに、怖いもん見たさみたいなか、読んでもうだかな( ̄▽ ̄;)へ
ガロンの呪いやなっ(笑)

60代前半  北海道(道央)

2016/10/29 22:47

29. 世の中には本当に不思議な事があるよね。

おがみやとか、神降ろしとか、信じて居なかったけど、

母が亡くなった時、叔母が
神付きの人に みてもらう というので
一緒について行きました。

70才くらいのお婆さんで
それを仕事としている訳でなく
頼まれたら 神降ろしをする人で

床の間みたいな所で
3つの掛け軸に向かい拝み始めました。

私は信用してなく
様子をみていたけど

お婆さんが泣き始めまた時、
その泣きかたが、私の 母そっくりで
驚きました。

…━…━…━…

無料会員登録はコチラ

…━…━…━…