(元)No.2キャバクラ嬢叫ぶ「〇っぱいをなめるな[exclamation]
70代以上  大阪府
2017/02/02 6:06
(元)No.2キャバクラ嬢叫ぶ「〇っぱいをなめるな[exclamation]

[クローバー][クローバー][クローバー]


まみちゃんは、お日様みたいに明るく元気な28歳。

俺が出会った最高の介護士のひとりで、その前はキャバクラに勤めていた。


「兄(にい)やん、あたし、No.2の嬢やってんよぉ」
いつもそう言う。


「どうせ二人しかおらんキャバクラやってんやろ」
俺はいつもからかう。



当時の俺は40代半ば。
ウマがあうから、仕事帰りに二人でよく飲みにいったものだ。


介護の仕事も丁寧で利用者さんにも人気が高いまみちゃんは、気配りがうまく、一緒に飲んでいてメチャ楽しい。


「No.2にタダでお酌してもらえる兄やんは、幸せもんやねぇ」

いきつけのホルモン屋でビールをついでくれながら、まみちゃんは潤んだ目をより細めて、冗談ぽく微笑む。


「そんなんええから、一度、No.1の子に会わせてえや」


「あほ」
頭をベコンと、どつかれたがな。


怒らすと怖い。





[クローバー][クローバー][クローバー]


ある日、Aちゃんと言う新人の女の子が、利用者さんの移乗介助に失敗し、しりもちをつかせた。

Aちゃんが舌を出しながら、
「でもケガさせなくて良かったですぅ」
なんて報告をしたもんやから、まみちゃん怒る怒る。


「それ違うやろ!ケガをさせなくて良かったとかごまかさんと、自分のミスを受け止めや」
まみちゃんは筋の通らないことが大嫌い。


「私、まだ新人なんで・・・」


「新人とかベテランとか、利用者さんに何にも関係あれへん。あんたも介護士の端くれやったら、プロとして自覚を持ちなさい。失敗をなめてたら、後でとんでもないツケ回ってくるんよ」



『しっぱいをなめるな』

が、プロ意識の高いまみちゃんの口グセ。





[クローバー][クローバー][クローバー]


職場の飲み会でのこと。

I君という男の子がいて、何かというと大企業にいた経歴自慢をし、介護業界の悪口を言う。


それを聞いていたまみちゃん、飲んでいたジョッキを、テーブルにドスン。

「過去の自慢はもうええやん。今は介護士やろ。なんで介護の悪口言うん」
泣きそうに怒るまみちゃん。


I君も顔を真っ赤にし、
「あなただって過去にとらわれてますよね。No.1になれなかったキャバ嬢のあなたに、偉そうにされる覚えはないです」


「何言うてんねん、あたしは枕せんでNo.2や。客と寝まくりのNo.1と一緒にせんといてや!」


激しいバトル。


俺も、見かねて
「介護はチームワークが一番大事なんや。仲間内でケンカなんかすんな」
と一喝した。


おさまらないまみちゃんはI君に
「いっぱし言うんやったら、オムツくらいまっすぐにあてぇや。利用者さん失禁だらけやないか。根性が曲がってるから、オムツも曲がるんや!」


これについてはまみちゃんが正しい。
オムツをきっちりあてられない介護士が介護を批判する権利はない。


でもまみちゃんの偉いところは、叱った相手のフォローをちゃんとするところ。
仕事が終わってからも、自発的にAちゃんやI君の指導を開始した。





[クローバー][クローバー][クローバー]


まだ肌寒さの残る3月。
まみちゃんが、寿退職する日が来た。


送別会の帰りの駅の改札。

まみちゃんはじっと俺の顔を見ていたが、ひとりごとみたいにボソッとささやいた。

「あたし兄やんの事、好きやってんけどなぁ。何で気づかへんかなぁ」


俺は焦る。


「俺、まみみたいなやんちゃ、タイプやないからなぁ」


「あほ」

また頭をベコンとどつかれたがな。




「兄やんキスして」


駅の階段の途中で、急に立ち止まったまみちゃんが言った。


その時俺の頭に一瞬まみちゃんの婚約者の顔が浮かんだのは事実。
でもごめん、それはすぐ消えていた。


まみちゃんをぐいっと抱きしめ唇を重ねていた。
ぽちゃっとしたまみちゃんの体の柔らかさと、さらに柔らかな唇。
甘いけど、ちょっぴり背徳の苦い味がした。


時間が止まった。
叶うなら時間を巻き戻せたらと願った。


「ほんまは俺もまみのこと・・・」
抱きしめた腕にさらに力が加わる。


「ごめんなさい兄やん、これ以上はあかん」
俺の腕からすり抜けた。


「あたし、兄やんの背中をいつも見てた。介護でこの人には勝てないなって」
まみちゃんは恥ずかし気に顔を伏せる。


「キャバでも1番にはなれんかった、でもねあたし、明日からNo.1のお嫁さんになったるねん」
まみちゃんは人差し指を立てた。


なにも言えず、俺の胸も張り裂けそうに痛む。


「だから兄やんはあたしの好きな男、No.2に格下げや」
涙をにじませ笑うまみちゃん。



ホームへ静かに電車が入ってきた。


「ごめんな、兄やんは1本あとの電車で帰ってな」

飛び乗って、まみちゃんは去っていく。



No.1より輝いているNo.2。
それがまみちゃんだ。



(数年前に書いた、まみちゃんの日記何本かを加筆し再編集してみました)
コメントする

コメント

70代以上  大阪府

2017/02/02 6:50

2.  >>1 Augusutさん
おはよう[exclamation]

そやね間違いなくNo.1のお嫁さんになっている思う。

人はなぜ無くしたあとにその大切さに気づくんやろね。

純ココアを粉末で一気に飲んだくらい苦いです[バッド(下向き矢印)]

40代前半  東京都

2017/02/02 6:38

1. おはようございます。
あらっ、ほろ苦い恋の想い出じゃないですか~[ウッシッシ]
まみちゃん、イイ女ですね~。
今はステキなお嫁さんNo.1になってますね~。
うん、間違いない…って、あるピン芸人のネタかよってΣ🖐[泣き笑い]

…━…━…━…

無料会員登録はコチラ

…━…━…━…