ひとつの恋が、静かに眠りにつく
「ガロンさんのギャグ日記ってぜんぜん笑えないけど、時おり書く恋の日記は、せつなくていいですね。他にも読んでみたい」
とたまに言われる。
これは喜んでええんかい?
なんか複雑な気分やで、特に前半部分(笑)
でね、昔に書いた恋の日記を読み返してみたんよ。
「せつない」ちゅうか、失恋日記ばっかりやんか(笑)
まあ、成就しなかったから、今もわびしいシングルなわけなんやが・・・
そんなわけでリクエストにお応えし、今回は5年前に書いた日記のリライトです。
よかったら読んでみてくださいね。
「いつかは恋を叶え、熱く燃え上がるラブラブ日記を書いてやるぞー!」
の願いをこめて。
そんな日が来るんかいな(笑)
↓ ↓ ↓
【ひとつの恋が、静かに眠りにつく】
この話は、まだ携帯電話が普及していなかった時代の、ある恋の思い出。
その当時の男は、好きな女の子の自宅に電話をかけるとき、少なからず緊張を強いられたものだ。
必ず彼女が電話にでる保証がないし、相手のお父さんがでて
「うちの娘に何の用だ!」
と怒鳴りつけられる覚悟もいる。
だから、かける時間を決めたり、2回コールをしてかけ直したりとか、二人だけの取り決めのサインを楽しんだりしたものだ。
待ち合わせにしたって簡単に連絡がとれないから、やきもきしながら何時間も来ない彼女を待ったり、駅の伝言板にチョークでメッセージを残したり・・・
今から思えば不自由だったかも知れないけど、今より人との距離はずっと近かった、そんな気がする時代だった。
☆ ☆ ☆
28 27 26・・・
テレフォンカードの度数が減っていく。
それは恋の終焉へのカウントダウンでもあった。
電話ボックスの外は、大阪では珍しく雪。
凍りつく寒さは、そのせいばかりではない。
受話器を握る僕の手は、ガチガチに震えていた。
ひとつの恋が今、終わろうとしている・・・
離れていく彼女を繋ぎとめようと僕は、いくつもの愛の言葉を重ねていたが、虚しく響くだけ。
なぜ今までもっと大切にしてやれなかったんだろう。
恋の終わりはいつも、そんな後悔だけが身を貫く。
15 14 13・・・
僕の心を置き去りにするかのように、減り続けるテレフォンカード。
言葉がつき、静寂と吐息だけが支配する夜の電話ボックス。
「そこ寒いんでしょ」
彼女が気づかってくれる。
いつも優しい子だった。
「寒くないよ」
震えながら僕は答える。
いつも身勝手な男だった。
「もう無理なの。だから、わかって・・・」
哀願する少しハスキーな甘い声。
これまで何度も耳にしたその声が、途絶えようとしている。
わかってはいる。
わかってはいるけど、認めたくはない。
9 8 7・・・
静寂の中で、カチッカチッとテレカのカウントされる音だけが響いていた。
度数がゼロになれば、無情にも会話は切られてしまう。
それだけは、嫌だった。
最後に、何か伝えたい。
せめて、言葉だけでも記憶に残してほしかった。
でも、この言葉しか出てこなかった。
「今まで、ありがとうな・・・」
「私も、ありがとうね・・・」
受話器を叩きつけた。
悲しげな電子音をたて、カードが吐き出される。
残り度数は、「3」だった。
テレカを電話ボックスへ残し、僕は街をさまよった。
革ジャンを通して伝わる冷気に、体が震えあがる。
コンビニに飛び込み、温かい缶コーヒーを一気にあおった。
ゆっくりと落ち着きが戻ってくる。
それと同時に、残してきたテレフォンカードが気にかかる。
最後の会話をした記念品。
取り戻したい。
それに、残り度数がまだあったじゃないか。
もしかしたら、もう一度電話をかけたら、彼女の心を取り戻せるかも知れない。
男は、身勝手で未練がましい生き物だ。
人は怒りや悲しみをたとえ制御できたとしても、狂おしく心を揺さぶる「せつなさ」だけは抑えきれない。
最も人を惑わせる感情は、この「せつなさ」なのかもしれない。
走って電話ボックスへ戻ってみると、カードは使用済みのゴミ箱に捨てられていた。
残り度数はゼロになっていた。
きっと僕の後に入った誰かが、もったいないから使ったのだろう。
誰が何を、話したのだろうか。
家路につくお父さんが家族へ
「今から帰るよ」
と伝えたのか。
何かの記念日に、デリバリーのピザを注文したのか。
恋人どおしが次のデートの待ちきれない約束をしたのか。
わずか3度数の時間。
そこで何が語られたのか、何に使われたのかは僕にはわからない。
でもどうせなら、明るく楽しい会話だったらいいな。
そんな気持ちになった。
未練がましくカードを持って帰るのはやめにした。
恋は終わったんだ。
そうして消え去った恋は、思い出と言う名の心のボックスにそっとしまわれる。
身を引き裂かれるこの痛みも、いつしかゆっくりと凍結されていくのだろう。
今は街中で公衆電話を見る機会も少ない。
思い出を振り返る事もなくなり、そっと静かに眠り続けている。
コメント
2017/05/02 18:32
59. ガロンさんこんばんは!
昔の恋は濃いですね~
子供たちの恋愛見てるとえっ?それって付き合ってるって言うの?って事がしばしば(´∵`)
恋を薄くした一つは携帯かもしれないですね。
返コメ
2017/05/02 17:31
58. >>57 百合@私だけ非公開ならフォローいらねー!さん
何かを選択するってことは、その陰には無数の「選ばれなかったものたち」があるわけです。
だから「お陰様」の気持ちは忘れずにいたいなと、それは考えますね。
重ねてのコメントを感謝します。
返コメ
2017/05/02 17:05
57. >>56 ガロンさん
![[あせあせ(飛び散る汗)]](https://img.550909.com/emoji/ic_asease.gif)
変わりませんね…
まさに思い出はタイムマシンで今とは違うかも…と考えてしまいます。
でも過去が有って今の私が有ると言い聞かせてます(苦笑)
お互いに年代も近いのでより一層あの時を大事に考えてるのかも知れないですね(´ー`*)…とにかく連絡の術が家電か公衆電話で( ´△`)その度父親に《誰や!?》と聞かれてましたから
連コメ失礼致しましたm(_ _)m
返コメ
2017/05/02 16:43
56. >>54 百合@私だけ非公開ならフォローいらねー!さん
初コメントをありがとうございます。
(*´∀`)
それぞれの年代でアイテムは変われど、せつない気持ちは変わらないですよね。
思い出はまさにタイムマシン、当時へと連れて行ってくれる。
返コメ
2017/05/02 16:40
55. >>52
逢・愛・哀
さん
寺尾聡か、渋い。
ザベストテンの1位連続記録とかやったな。
返コメ
2017/05/02 16:38
54. 初コメ失礼しますm(_ _)m
テレカ…懐かしいですね。
私の時代はポケベルでした(;・∀・)
でも切なさは同じです(>︿<。)
昔を回想して余韻に浸りましたm(_ _)m
あー!もう少し勇気が有れば今とは違うかもです(;_;)
返コメ
2017/05/02 16:38
53. >>51 みこさん
苦手分野やけど、勉強してみよう。
魔多酔老至佝(またよろしく)
返コメ
2017/05/02 15:40
52. >>50 ガロンさん![[ほっとした顔]](https://img.550909.com/emoji/ic_face_relief.gif)
![[ほっとした顔]](https://img.550909.com/emoji/ic_face_relief.gif)
![[涙]](https://img.550909.com/emoji/ic_face_tear.gif)
ってとっても理解が出来ました![[冷や汗2]](https://img.550909.com/emoji/ic_face_csweat02.gif)
![[涙]](https://img.550909.com/emoji/ic_face_tear.gif)
五年前でもガロンさんの作った言葉はガロンさんの言葉ですよ
許可頂いてありがとうございました
日記の内容切なくて
「ああ昭和だなあ」
「ルビーの指輪」を思い出したわ
返コメ
2017/05/02 15:32
51. >>44 ガロンさん![[ぴかぴか(新しい)]](https://img.550909.com/emoji/ic_pikapika.gif)
ヤンキー言葉もいいですね
ネタが揃い次第、ぜひ(≧▼≦)
返コメ
2017/05/02 15:10
50. >>47
逢・愛・哀
さん
考えたのは5年前のガロンなんで、いわば俺も拝借したようなもんか。
自分の言葉を自分で無断で使うのは、盗用にはならんやろから。
なんのこっちゃ('◇')ゞ
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