ひとつの恋が、静かに眠りにつく
70代以上  大阪府
2017/05/02 6:23
ひとつの恋が、静かに眠りにつく
 

「ガロンさんのギャグ日記ってぜんぜん笑えないけど、時おり書く恋の日記は、せつなくていいですね。他にも読んでみたい」

とたまに言われる。



これは喜んでええんかい?

なんか複雑な気分やで、特に前半部分(笑)


でね、昔に書いた恋の日記を読み返してみたんよ。


「せつない」ちゅうか、失恋日記ばっかりやんか(笑)


まあ、成就しなかったから、今もわびしいシングルなわけなんやが・・・



そんなわけでリクエストにお応えし、今回は5年前に書いた日記のリライトです。

よかったら読んでみてくださいね。



「いつかは恋を叶え、熱く燃え上がるラブラブ日記を書いてやるぞー!」
の願いをこめて。

そんな日が来るんかいな(笑)




  ↓ ↓ ↓




 【ひとつの恋が、静かに眠りにつく】



この話は、まだ携帯電話が普及していなかった時代の、ある恋の思い出。




その当時の男は、好きな女の子の自宅に電話をかけるとき、少なからず緊張を強いられたものだ。

必ず彼女が電話にでる保証がないし、相手のお父さんがでて

「うちの娘に何の用だ!」

と怒鳴りつけられる覚悟もいる。



だから、かける時間を決めたり、2回コールをしてかけ直したりとか、二人だけの取り決めのサインを楽しんだりしたものだ。



待ち合わせにしたって簡単に連絡がとれないから、やきもきしながら何時間も来ない彼女を待ったり、駅の伝言板にチョークでメッセージを残したり・・・


今から思えば不自由だったかも知れないけど、今より人との距離はずっと近かった、そんな気がする時代だった。




☆ ☆ ☆



28  27  26・・・


テレフォンカードの度数が減っていく。

それは恋の終焉へのカウントダウンでもあった。



電話ボックスの外は、大阪では珍しく雪。

凍りつく寒さは、そのせいばかりではない。
受話器を握る僕の手は、ガチガチに震えていた。



ひとつの恋が今、終わろうとしている・・・



離れていく彼女を繋ぎとめようと僕は、いくつもの愛の言葉を重ねていたが、虚しく響くだけ。

なぜ今までもっと大切にしてやれなかったんだろう。
恋の終わりはいつも、そんな後悔だけが身を貫く。





15  14  13・・・


僕の心を置き去りにするかのように、減り続けるテレフォンカード。


言葉がつき、静寂と吐息だけが支配する夜の電話ボックス。




「そこ寒いんでしょ」

彼女が気づかってくれる。
いつも優しい子だった。



「寒くないよ」

震えながら僕は答える。
いつも身勝手な男だった。




「もう無理なの。だから、わかって・・・」

哀願する少しハスキーな甘い声。

これまで何度も耳にしたその声が、途絶えようとしている。




わかってはいる。

わかってはいるけど、認めたくはない。





9  8  7・・・


静寂の中で、カチッカチッとテレカのカウントされる音だけが響いていた。



度数がゼロになれば、無情にも会話は切られてしまう。

それだけは、嫌だった。

最後に、何か伝えたい。

せめて、言葉だけでも記憶に残してほしかった。



でも、この言葉しか出てこなかった。



「今まで、ありがとうな・・・」



「私も、ありがとうね・・・」




受話器を叩きつけた。

悲しげな電子音をたて、カードが吐き出される。

残り度数は、「3」だった。




テレカを電話ボックスへ残し、僕は街をさまよった。

革ジャンを通して伝わる冷気に、体が震えあがる。



コンビニに飛び込み、温かい缶コーヒーを一気にあおった。


ゆっくりと落ち着きが戻ってくる。


それと同時に、残してきたテレフォンカードが気にかかる。
最後の会話をした記念品。



取り戻したい。



それに、残り度数がまだあったじゃないか。
もしかしたら、もう一度電話をかけたら、彼女の心を取り戻せるかも知れない。



男は、身勝手で未練がましい生き物だ。



人は怒りや悲しみをたとえ制御できたとしても、狂おしく心を揺さぶる「せつなさ」だけは抑えきれない。

最も人を惑わせる感情は、この「せつなさ」なのかもしれない。



走って電話ボックスへ戻ってみると、カードは使用済みのゴミ箱に捨てられていた。

残り度数はゼロになっていた。



きっと僕の後に入った誰かが、もったいないから使ったのだろう。



誰が何を、話したのだろうか。



家路につくお父さんが家族へ
「今から帰るよ」
と伝えたのか。


何かの記念日に、デリバリーのピザを注文したのか。


恋人どおしが次のデートの待ちきれない約束をしたのか。



わずか3度数の時間。


そこで何が語られたのか、何に使われたのかは僕にはわからない。



でもどうせなら、明るく楽しい会話だったらいいな。

そんな気持ちになった。



未練がましくカードを持って帰るのはやめにした。



恋は終わったんだ。



そうして消え去った恋は、思い出と言う名の心のボックスにそっとしまわれる。

身を引き裂かれるこの痛みも、いつしかゆっくりと凍結されていくのだろう。




今は街中で公衆電話を見る機会も少ない。



思い出を振り返る事もなくなり、そっと静かに眠り続けている。


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コメント

60代半ば  広島県

2017/05/02 9:44

19. 良い話です… やはり 昔の方が 良かったよね… 携帯電話は 便利だけど 情緒ないしさ~

70代以上  大阪府

2017/05/02 8:36

18.  >>17 クリちゃん(笑)緩く絡む人は好感~[目がハート]〓さん
アバターは日記の内容を彷彿させるように変えているんやけど、今回はwho you
(冬)の思い出だったんで。
('◇')ゞ

自宅にmy公衆電話を設置するとかどやろ(笑)

70代以上  愛知県

2017/05/02 8:28

17.  >>4 ガロンさん
(E)ガロン様[わーい(嬉しい顔)]アバターが冬仕様ですね~[雪][雪][雪][雪]公衆電話は緊急時は勿論、通話料無料フリーダイヤル0120等でかける時、有り難いですね[携帯電話][携帯電話][携帯電話]通販で注文する際、ケータイからだと0120等が使えず有料回線の番号でかけるハメになり、日中なら公衆電話でかけたり(セコイ[ドル袋][あせあせ(飛び散る汗)])最も近場で徒歩10分の所に公衆電話があります[電話][電話]徒歩5分以内の所にあれば有り難いですね〓

70代以上  大阪府

2017/05/02 8:22

16.  >>15 ☆JUN☆さん
おはマイ丼。
(^o^)丿

たまに恋の日記を書くとね
「オチは何ですか、どこで笑うんですか?」
と聞かれるんよ・・・
これじゃあ恋ではなく、故意の日記だな(笑)

ロマンチックよりガロンチックです。
サンキュー一休!

40代後半  山形県

2017/05/02 8:16

15. ロマンチックな詩人の
ガロンさんも……素敵ですょ

たまにポエムとか
真面目な日記も期待しています
(*ノ▽ノ)♪

70代以上  大阪府

2017/05/02 7:41

14.  >>13 春瀬 [芽]さん
おはようございます。

ありがとうございます!
光栄です。

もうボックスは失恋の古傷で満杯ですわ(笑)
でもコンピューターと違い簡単にデリートできないところが、人間の人間たる味わいなのかもしれません。

春瀬 [芽][退]
50代半ば  北海道(道央)

2017/05/02 7:35

13. ガロンさん、おはよう御座います。
いつも、いい言葉のフレーズが
出て来ますね。

消え去った恋は、思い出と言う名の
心のボックスの中にそっと
しまわれる。

これからも良い日記を
期待しています。

70代以上  大阪府

2017/05/02 7:22

12.  >>11 フェロモンさん
誰やねん!?
一瞬身構えたがな(笑)
アバター芸はいつもながら見事やなあ。

フェロモンよりホルモンが食べたくなったで。
('◇')ゞ

50代半ば  神奈川県

2017/05/02 7:18

11. 学生の頃、相手のお父さんが出ないように祈りながら電話していました。
今は、その関門がないのが羨ましくもあり、つまらなくもある。

過ぎた恋はみな、美しいですね。

初コメ、失礼しました。

70代以上  大阪府

2017/05/02 7:17

10.  >>8 Augusutさん
おはまいど(^o^)丿

これドラマ化してくれんかな。
彼女役はななせまる、俺の役は福士蒼汰あたりで(笑)

法律で何平方メートルに一つ、みたいに決まっているのかも。
でもなぜか壊れているのが多い(笑)

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