暇無し月ノ輪熊。

何も知らないと言うのはある意味幸せなの
かも知れない。

本当に腹が立ったと言うか呆れたと言うか…
今は令和ですがな(＃ﾟДﾟ)

話があるとの事で来客を迎え主任保育士さんと
園長室に向かう。

すると…
身体の大きな男が私を見つけ立ち上がり大声で
わざとらしく

「いや～どうも！どうも！○○さん！ご無沙汰
しておりますm(_ _)m」

私は軽く会釈し相手は右手を差し出して来たが
握手は拒否。

最初からパフォーマンス？
名刺を受け取り一応其々自己紹介を終える。

一瞬、私を睨んだが周りに悟られない様に
上手く隠した様だ。

主任保育士さんと私も椅子に座り来客の
面々をガン見。

園長の同級生の初老の女性とオドオドしてる
30代前半の母親、それとお邪魔虫の役立たず
市会議員。

園長は私と市会議員が知り合いとは
思わなかったらしく困惑してる。

「それで早速ですが用件は此方の幼稚園で
此方の方のお孫さんの面倒を見て頂きたいと
言う事でお願いに参りました。私は此方の
○○さんのご主人とは竹馬の友でして色々
お世話になってまして。難しいとの事ですが
そこは考えを曲げて対応して貰う訳には
行かないでしょうか？」

私は臨時の立場なので主任保育士さんに
視線を向けた。

静かに口を開いた。

「転園希望と言う事で園長からお話を頂戴
しましたが当園ではお子様の対応は難しいと
保育士達一致の意見です。失礼ですが前の
幼稚園に問い合わせてトラブルの内容をお聞き
しました。幼稚園の対応が悪いとお婆様も
お母様もスタッフを責めたと聞いております。
お子様が女子園児に怪我をさせたらしいですね。
好意を持ってたらしく普段からしつこくしてた
とか？」

園児の祖母が目を吊り上げて反論する。

「一々子供がやる事に目くじら立てるのも
どうなんですか？先生達がもっと孫に気配り
してくれてたら問題は起こらなかったと
思ってます。女の子に怪我をさせてしまった
のは申し訳無いと思ってますがそもそも
知的障害児を腫れ物を触る様に何気に差別が
あったと認識してます。迎えに来る保護者の
方々も娘が話し掛けようとしても避けると
聞いてますし孫にしてみればわざとお友達に
危害を加えようと行動した訳ではありません！
仲良くしたかっだけなんです！！」

主任保育士さんと私は顔を見合わせた。
知的障害の根本的な事を理解してない。

更に祖母が続ける。

「訴えるって大騒ぎになって強制退園ですよ！
散々迷惑を掛けられた…持ち物を壊された…と
集団で文句を言って来たんです。自分達の器量の
無さが原因なのに此方は月謝を払って孫をお任せ
してるんです。それを皆で娘を責めて(＃ﾟДﾟ)」

主任保育士さんが再度口を開いた。

「○○さん？それとお母様も知的障害を理解
していらっしゃいますか？それとも敢えて
健常児と同じく保育をして欲しいとの希望
ですか？酷ですが知的障害児は行動に予測が
出来ないんです。本能の赴くままに行動する…
それを躾て自覚させるのは無理です。専門施設も
ありますしそう言う施設では専門スタッフが
おります。先ずは行政に相談して方向性を
決めた方がお子様にとっても楽だと思うんです。
当園でお預かりする事ははっきり言いまして
無理です。」

すると役立たず市会議員が口を挟む。

「○○さんのお孫さんは年長さんになると
聞いてますし、たかが1年じゃありませんか！
園児1人に目くじら立てるのもどうかと思います。
あなた達保育のプロなんでしょ？周りの目を気に
して困ってる人を見捨てるなんて保育の現場は
どうなってるんですかねぇ…」

ムカッ！とし思わず口を挟む。

「○○さん？口では綺麗事を言えますよ。
知的障害児を引き受けるって事は生半可な
事ではありません。周りの園児も怖がったり
逆に面白がって虐めに発展する事もあるんです。
此方さんとお知り合いと聞きましたが俺が
何とかします！なんて言って無いでしょうね？
部外者のあなたが幼稚園内の事に口を挟むのは
筋違いでしょう？園児は1人だけじゃありません。
私達は日々公平に保育業務を行う事を心掛けて
ます。誰だって自分の子供は良くして貰いたい…
だがそれをやってたら保育士になる人材なんて
居ません。格好つけるのも結構ですが口出しは
無用です。園長？お引き受けは無理と言う事で
宜しいですね？」

園長に話をするが返事をしない。
昨日否定された事が余程気に触ってるらしい。

それでも市会議員がしつこく喰い下がる。

「いやいやいや！無理とか引き受けないとか
そう言うのは良いですから！お願いします！
何とかして貰わないと困るんです！( ｀Д´)/」

またムカッ！

「俺が来たから何とかなる？そう思ってるんじゃ
ありませんか？コネなんかこの幼稚園じゃ通用
しません。いや…させません。大変申し訳ありま
せんがご希望に添えません。お引き取り下さい。
園児達が待ってますので…話は終わりで宜しい
ですね？園長？」

知的障害児の母親は俯き一言も口を開かない。
園長も不貞腐れてるのか返事をしない。
祖母と市会議員は私を凄い目で睨んでる。

席を立とうとした時、市会議員が声を荒げ
口を開いた。

「俺がわざわざ頼みに来てやったのにその
態度は何だぁ！人を下に見やがって！特に
貴様ぁ！目上に対して失礼だぞ！嫌な仕事
だってやらなきゃならない時があるだろうが！
( ｀Д´)/」

私もガチギレ…

「やっかましい！立てる義理が何処にある？
能無し議員が意気がってんじゃねぇ！誰に
向かって貴様だ？おい？もう1回言ってみろ…
テメエに指図される筋合いはねえんだよ！
日本語分かるか？あ？(＃ﾟДﾟ)」

「……((( ；ﾟДﾟ)))」

「熊先生！！(>д<*)」

主任保育士さんが止めてくれたので何とか
堪えた。

そのまま業務に戻ったのだがいつの間にか
園長もろとも居なくなってた。

それよりも保護者間のグループLINEで
問い合わせが殺到(^^;

噂は早いよねぇ。
さて？明日はあの市会議員宅に出向くか。
腹立ちは抑えるが明日はどうなるか？

口から出た言質はボイスレコーダーで
話し合いの様子は私に装着したボディー
カメラで全て記録。

月曜日以降市長に面会求めても良いかと思う。
やられっぱなしは性に合わない(＃ﾟДﾟ)