彼女との出会いは高校2年生だった。
高校時代、私は生徒会の役員をしていた。
そこで、彼女と知り合った。
彼女は生徒会副会長
私は生徒会書記
当時、彼女には3年生の先輩と付き合っていたが、関係が上手くいかなくなっていた。
私と彼女は仲が良かった事もあり、彼女はその先輩との悩みを私に相談していた。
私は親身になって話を聞いた。
そして、恋愛経験もろくにないくせに、精一杯のアドバイスをした。
彼女は頭も良く、目がクリっとして、とても可愛い。
ぶっちゃけ、タイプでした( ´艸`)
出来れば、私がお付き合いしたいくらいだが、恋愛相談されている相手に『付き合ってくれ』なんて言えなかった。
それに、私自身も彼女と別れたばかりで、とても新しい恋には踏み切れる気分でもなかった。
私と彼女は仲の良い友達…
関係を壊したくない…
そんな想いがあった。
彼女を恋愛対象として見ないようにして日々を生活していた。
ある日の夕方
生徒会室には彼女と私の2人…
いつものように、相談にのっていた時に彼女が言った何気ない一言で、私の気持ちが大きく動いた。
あ~あ~
彼と付き合っていなかったら、
トマト君と付き合っていたのになぁ~
その言葉に衝撃をうけた。
恋愛経験も少ない17歳
それに…
生徒会役員
バンドのボーカル
モテるはずのポジションにいながら、全くモテなかった私にはかなりの衝撃のセリフでした。
ましてや、自分のタイプの女性に言われたので尚更です。
しかし…
ここで慌ててはいけない。
私はとびっきりのぎこちない笑顔で
そ…
そうだね。
そうだったら良かったかもね。
と震えながらカミカミで言った
舌が噛み切れるのではないかという勢いだったと思う。
その言葉を言われた瞬間、彼女は友達から恋愛対象へと大きく変わった。
なんて単純なんでしょう。
でもしばらくは、彼女の恋愛相談にのってあげた。
しかし、私の中では、あのセリフ以降、彼女は完全に恋愛対象。
思いっきり、彼女の事を好きになっていた。
彼女の恋愛相談に対して
とっとと別れてしまえヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
と思う自分と
彼女の悲しむ顔が見たくない。゚(つД`)゚。
という気持ちが混同していた。
そんな複雑な想いの日々が続いたある日…
彼女は私に
彼と別れた…
と言ってきた。
内心、ガッツポーズをしていたのを覚えている。
よ~し
今こそ告白チャンス( ´艸`)
じゃあ、俺と付き合わないか?
とびっきりのドヤ顔で言おうとしたその瞬間…
彼女は
彼と別れて、◯◯君と付き合う事にしたの。
工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工
ホエ?(´д` ) ホエ?(´д`) ホエ?( ´д`) ホエ?
(;´༎ຶД༎ຶ`)
◯◯君とは彼女と同じクラスの男
予想もしていなかった名前の登場に衝撃をうけた。
なんで…?
泣きそうなのをグッと堪えて彼女に聞いた。
◯◯君から告白されたの
私には彼氏がいるって言ったら
そいつと別れて俺と付き合えよ!
って言われて付き合う事にしたの…
そうだったのかぁ~( ̄Д ̄;)
私は彼女から恋愛相談されている時、
何度も『そいつと別れて俺と付き合えよ』
と言おうと思ったが言えなかった。
だから、彼氏と別れるのを待って告白しようと思った。
完全なる作戦ミス
もっと強引で良かったんだぁ~(;´༎ຶД༎ຶ`)
そして彼女は私にトドメをさすように
◯◯君との事も色々相談させてね。
トマト君はいつも親身になって聞いてくれるから…
彼女は悪気で言っているのではない事は分かる。
だけど、私の心にその言葉は突き刺さった。
その後…
毎日、生徒会室に彼女を迎えにくる◯◯君
一緒に帰る背中を眺め、ため息がでる日々…
一緒に帰る相手が私である可能性があっただけに悔やまれる…
◯◯君と付き合う事になってからは彼女は私に恋愛相談をしなくなった。
という事は順調なんだろう…。
喜んで良いのかよく分からなかった。
そうして、生徒会役員の任期が終わった。
彼女と会う機会が激減したとはいっても、廊下で会うと気軽に話しかける間柄だった。
でも、前みたいに毎日は会えなくなったし、話す事も少なくなった。
その年が開けた正月、彼女から年賀状をもらった。
そこには彼女の手書きでメッセージが書かれていた。
去年は親身に相談にのってくれてありがとう。
トマト君には助けられました。
一生友達でいようね。
一生友達…
なんか素直には喜べなかった。
恋愛に発展する事を完全否定された気分だったからだ。
高校3年生
卒業間近のある日…。
廊下で彼女に呼び止められた。
『夜、電話していい?』
突然の言葉にびっくりしたが、
俺は当然のようにOKした。
当時は携帯電話なんてない。
家に帰って、晩御飯を食べた後、電話機の前に座って、彼女からの電話を待った。
そして、彼女から電話が来た。
◯◯君と別れようと思う
彼女はそう言って来た。
彼女は県内でトップクラスの大学への進学が決まっていた。
一方で◯◯君は大学に落ちて浪人が決まっていた。
会えなくなる事と、彼が浪人になる事で間違いなく関係が上手くいかなくなる。
ならば、今のうちに別れようと思う。
彼女はそう言った。
気持ちは分からなくもない。
今こそ、あの時言えなかったセリフを言う時かもしれない…
しかし、私は私で彼女とは違う大学に進学する…
言うべきか迷った…
でも、多分このタイミングを逃したら、もう言うチャンスはない!
意を決して言った
だったら別れろよ
そして…
…
…
おそらく2秒位の間だったのだが、私には途方もなく間を開けたつもりだった。
俺と付き合わないか?
キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!
言えたぁ~ヽ( ̄▽ ̄)ノ
今までの悔しい想い。
2人で帰る背中を寂しそうに眺めていた日々が走馬灯のように蘇る。
今、ようやく言えたぁ~
と思ったのもつかの間…
ゴメンね
トマト君とは友達でいたいから…
わずか2秒で玉砕Σ(>д<)
そして彼女の電話を切った後
大粒の涙が出てきた…
やはり、私の作戦ミスだった。
大学での新たな出会いに胸を膨らませている彼女に言うべきではなかった言葉だった…
想いを伝える…
それは単なる自己満足でしかなかった。
そして高校を卒業…
この電話を最後に彼女と電話する事はなかった。
年賀状も来ていない。
そして、今に至るまで彼女とは会う事もなかった。
一生友達…
自分の作戦ミスで、彼氏になる事もなく
自分の作戦ミスで、友達にもなれなかった
こんな恋のはなし
あの生徒会室で過ごした夏も今年のように暑い夏だった。
ふと、こんな恋のはなしを思い出しました。
コメント
2014/08/08 11:54
6. >>3 あゆさん
ファーストキス…
なんか、あの時の感情って本当に純粋でしたね。
味を感じる余裕すらなかったです。
トキメキっていう感情もなったかもしれませんね。
高校生時代って、なんだかんだ言って1番甘く切ない恋をする時代だと思います。
娘さんもそんな素晴らしい時にいるんですよね。
親としては心配かと思いますけどねヽ( ̄▽ ̄)ノ
返コメ
2014/08/08 11:49
5. >>2 nicoさん
あの頃の純粋さは今では…
えっ?
nicoさんと一生お友達?
ねーねー
どんなお友達?
ねーねー
→20数年という月日は私から純粋という言葉を奪っていった…
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2014/08/08 11:47
4. >>1 みーさん
思い出って美化される事ってありますよね。
今の気持ちであの頃に行ったら、もっと違う青春だったかもしれませんね。
不器用だからこそ感じる気持ちってあると思います。
だけど、不器用な経験をしたからこそ今がありますからね。
今の自分が当時の自分を励ましてあげるというより、見守るって感じかもしれませんね。
返コメ
2014/08/08 11:41
3. 恋は甘くて、せつなく、ほろ苦い。若さは、その感情を、より一層鮮烈なものにします。
私のファーストキスは、レモン味だった。そしてグリーンガム……。トマトさんは?
トマトさんは、トキメキと出会っていますか?
私は、当時と同じようなトキメキや切なさは、もう感じられないかもしれない。
高校生の長女が、ちょっと(いや、かなり)羨ましい。
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2014/08/08 11:13
2. トマトさんのピュア時代の思い出…。
うん、素敵です←
あれから20年余り経過して…。
うん、グッと大人になりましたねwww
あ、私とも一生友達でいて下さい️
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2014/08/08 10:21
1. 私も生徒会室から、憧れの先輩が想いが通じた女子と一緒に帰るのを切ない気持ちで見送っていた事を思い出しました……
告白されたクラスの男子とお付き合いしても、ずっと心に引っ掛かっていた。
そんな思いではなぜか放課後のみんな帰ったあとの時間。
学校、生徒会、雑談、恋愛、
全てが鮮明に思い出されるのは、まだピュアだった自分を励ましてあげたいから?
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